友人のバーのフード手伝い
静岡出身のやすこさんは、台湾やタイなどの東南アジア旅行好き。コロナ前に勤めていた出版社でリストラにあい、しばらく失業保険でブラブラしようと、西荻窪にある友人のバーを手伝うことに。フードがなかったので、おつまみがあった方がいいよねということでメニューを考えはじめる。
中華粥が大好きで、いずれはお粥屋をやりたいとほんのり思っていたので、最初はお粥を出すことに。しかし、バーでお粥はないよねということで、片手で食べられるバインミーをなんとなく考案。バインミーは現地で食べた感じと、ネットで調べた独学。
1年ほど手伝った頃、やっぱり自分のお店を出そうと西荻窪・阿佐ケ谷・高円寺で探し始めるが、なかなか希望するテイクアウトだけの小さいお店は見つからず、途方に暮れる。
『よるのひるね』で間借り営業
そんな時に相談したのが、サブカルの聖地として知られるカフェ&バー『よるのひるね』の店主、門田さん。『よるのひるね』で開催されていた金継ぎ教室に通っていたことがあり顔見知りだった。
「じゃあ、うち使いますか」という門田さんの思いがけない一声で、夕方から開店する『よるのひるね』の営業前の時間を使わせてもらえることになり、ランチタイムでバインミー屋『スキマ舎』をオープン。そんなこんなで2年ほど経った時、やすこさんもよく通っていた『よるのひるね』斜め前のカレー屋が、「閉めることにしたので、自分たちの後にどうですか」と声をかけてくれる。
立地もよく、初期投資が抑えられる居抜きという、ものすごい魅力的な条件があったものの、いきなり2階もある店舗はひとりでやるには広すぎると一度お断り。しかし悩みに悩んで、なんだかんだのご縁もあり、勢いで借りることに。
カレー屋の居抜きにオープン
2023年2月いっぱいでカレー屋が閉店したあと、さっそく3月頭より、1日もはやくオープンするため、ペンキを塗ったりDIYしたりと、自分たちで開店準備に奮闘。しかし居抜きの罠で、思った以上にすごい状態だったため、電気工事などやりなおし。一筋縄ではいかなかった。
お店の名前は、色々悩んだが結局決まらず、看板をつけるリミットがきてしまったため、『よるのひるね』間借り時代の「スキマ舎」から「スキマ食堂」を考え、そこから転じて、2階を場所貸しするため『スキマほーる』とアバウトに決定。3月21日にめでたくオープン。
アジアンフードとお酒が楽しめる憩いの場
1階はカウンター5席、テーブル席7席の合計12席だが、詰めようと思えば詰められるというので頼もしい。昼間はテイクアウトが人気で、夜は店内で飲んでいく人が多い。
メニューは間借り時代もガパオライスなどやっていたこともあり、広い店舗になったため、バインミー以外にもアジアン料理を豊富に提供。酒のつまみになりそうなものも多いので、一人飲みや女子会にももってこい。昼間はテイクアウトが人気で、夜は店内で飲んでいく人が多い。昼も飲めるので日中からゾンビになっても大丈夫。
2階は基本使っていないが、今後イベントや時間貸し、簡単なライブなどができるスペースとして考えている。「宴会、貸切パーティーも可能なので、ぜひぜひご相談ください!」とのこと。気になる人はどしどしコンタクトして欲しい。
店内にあるポップな雑貨は、コレクターであるやすこさんが家から持ってきたもの。古物商の免許を持っているので、骨董市で集めた民芸品なども並んでいる。靴下など、一部物販もあり。
オールワンマンなうえ、あれやこれやとメニューを変えたりする試行錯誤な日々に、大変だけれど楽しいというやすこさん。手軽に楽しめるバインミーとアジアンフードの店『スキマほーる』のこれからがとても楽しみである。
取材・文・撮影=千絵ノムラ