すべては、自らの好奇心の赴くままに『よばなし』

ナチュールワイン×くずし割烹料理

おまかせ5品4000円、7品5000円にも含まれる前菜盛り八寸。単品なら750円。
おまかせ5品4000円、7品5000円にも含まれる前菜盛り八寸。単品なら750円。

おまかせの一皿目として提供される前菜盛り八寸。ズッキーニのすり流し、ビーツとゴルゴンゾーラのくず豆腐など、一品一品にひねりが効いている。「割烹が基本ですが、すべての料理に醤油と和出汁を使っていません」という店主・坂口治之さんの言葉にさらに驚く。割烹で9年、イタリアンで2年半の経験から素材を生かす方法は無限だと知り、常に変化する自然な味わいの面白さから、ナチュールワインにたどり着いたという。さまざまな組み合わせに挑戦し続ける坂口さんの自由な発想がこれからも楽しみで仕方ない。

目の前でチーズを削ってくれるうすい豆と真竹、豚の焼売は、西荻の姉妹店『da Rio』にいる頃に思いついたとか。奥はスノーホワイトチェリバレー鴨の炭火焼。
目の前でチーズを削ってくれるうすい豆と真竹、豚の焼売は、西荻の姉妹店『da Rio』にいる頃に思いついたとか。奥はスノーホワイトチェリバレー鴨の炭火焼。
マダコとセミドライトマトの炊き込みご飯1900円(単品)。
マダコとセミドライトマトの炊き込みご飯1900円(単品)。
ワイン担当は、水嶋りん子さん(右)。魚に肉にも合わせやすいすっきりとしたワインが多い。グラス880円~は7~8種用意。
ワイン担当は、水嶋りん子さん(右)。魚に肉にも合わせやすいすっきりとしたワインが多い。グラス880円~は7~8種用意。
調理台とフラットで重厚なカウンターがかっこいい。
調理台とフラットで重厚なカウンターがかっこいい。

『よばなし』店舗詳細

変化を加える食材選びのセンスが光る『ビストロシノワYASMIN(ヤスミン)』

ナチュールワイン×中華料理

佐藤さんは都内の中華レストランで12年間務めたあとに独立し、今年(2023年)で7周年。席の予約はお早めに。
佐藤さんは都内の中華レストランで12年間務めたあとに独立し、今年(2023年)で7周年。席の予約はお早めに。

オリジナルの料理が多いように感じるが、「食材選びで個性を出すようにしていますが、料理自体は王道なんです」と話す店主の佐藤恭生さん。なるほど、水煮肉片(シュイジュ―ロウピエン)にはエゾシカ、ネギ油の和えそばには島原の全粒粉麺を使うなど、ちょっと食材が変わることで俄然興味をそそられるし、食感や味わいが想像を超えてくる。そこに強い酸味や複雑味のある個性的なナチュールワインでインパクトをプラス。「時間が経つと味が変化して料理との相性が増すんです」と佐藤さん。いやいや、やはり王道以上だ。

ガラス張りのワインセラー。ボトル(6500円~)は中に入って自分で選べる。
ガラス張りのワインセラー。ボトル(6500円~)は中に入って自分で選べる。
水餃子4個720円は皮がもちもち。
水餃子4個720円は皮がもちもち。
よだれ鶏1100円、爽やかな辛さがクセになる自家製の台湾キムチ500円。
よだれ鶏1100円、爽やかな辛さがクセになる自家製の台湾キムチ500円。
蝦夷鹿の水煮肉片2200円はうまみのある辛さでワインが進む。ワインはボトルのほか、グラスも5種類用意。
蝦夷鹿の水煮肉片2200円はうまみのある辛さでワインが進む。ワインはボトルのほか、グラスも5種類用意。
佐藤さんがほぼ一人で調理。
佐藤さんがほぼ一人で調理。
ネギ油の和え麺1200円。シンプルな味付けにもちもち全粒麺が引き立つ。
ネギ油の和え麺1200円。シンプルな味付けにもちもち全粒麺が引き立つ。

『ビストロシノワYASMIN』店舗詳細

韓国料理の新たな世界が開かれる『Onggi(オンギ)』

ナチュールワイン×韓国料理

美しい盛り付けのナムル、コングクスから着想を得た大豆のすり流し。
美しい盛り付けのナムル、コングクスから着想を得た大豆のすり流し。

「野菜をたっぷり使った韓国料理を少しずつ丁寧に整えて提供しています」と話す店主のカン・グヌさん。日本人好みにアレンジしているのではなく、釜山の実家で食べていた母の味がベースだという。メニューは4皿または7皿のおまかせのみで、最初に登場するナムルも味加減が繊細!ナムルでこんなに野菜のおいしさを感じたのは初めてだ。素材の味を生かしたカンさんの韓国料理には、自然の力で作られるナチュールワインが合わないわけがない。おすすめは、互いの持ち味を高めてくれるロゼや微発泡の薄赤!

「少しずつ食べたい日本人向けにおまかせが基本です」(カンさん)。4皿3850円前後、7皿6050円前後。グラス790円~。
「少しずつ食べたい日本人向けにおまかせが基本です」(カンさん)。4皿3850円前後、7皿6050円前後。グラス790円~。
赤エビのガンジャンセウが入る海の前菜盛り。
赤エビのガンジャンセウが入る海の前菜盛り。
カルビ焼きをハンバーグに仕立てたトッカルビ。
カルビ焼きをハンバーグに仕立てたトッカルビ。
締めの冷麺の透き通ったスープは、昆布や豚、鶏などのうまみが溶け出していて、深みがあるのにすっきり。飲み干してしまうおいしさだ。
締めの冷麺の透き通ったスープは、昆布や豚、鶏などのうまみが溶け出していて、深みがあるのにすっきり。飲み干してしまうおいしさだ。
料理のやさしい味やナチュールワインにぴったりな木の温もりあふれる雰囲気。
料理のやさしい味やナチュールワインにぴったりな木の温もりあふれる雰囲気。

『Onggi』店舗詳細

巧みに引き出された素材の力を実感『りんどう』

ナチュールワイン×ネオ居酒屋料理

櫻井さん(左)と同じ長野出身の池戸浩紀さんが調理をヘルプ。
櫻井さん(左)と同じ長野出身の池戸浩紀さんが調理をヘルプ。

店主の櫻井将司さんが大切にしているのは、季節感と食材。それぞれの素材の持ち味を邪魔しないよう、多彩なジャンルの料理経験をフル活用し、ナチュールワインと合わせることをイメージしながら料理に仕上げていくという。例えば、白イカのカルパッチョはシンプルな見た目だが、山椒の風味、スダチの酸味と渋みがイカの甘みとうまみを引き立てる。同時にその複雑な味わいがワインを誘うのだ。そして、忘れてはならないのが締めの中華そば。飲み干したくなる滋味深いスープは、食後を幸せな気分で満たしてくれる。

2023年4月にオープン。ランチでは中華そば単品もオーダーOK。
2023年4月にオープン。ランチでは中華そば単品もオーダーOK。
ワインの仕入れは『ワインカーブ藤小西』から。ボトル3800円~、グラス880円~。
ワインの仕入れは『ワインカーブ藤小西』から。ボトル3800円~、グラス880円~。
吉澤農園のズッキーニと牛ハツのゆっけ1480円は、肉と野菜の食感も◎。長野・岡本養豚の千代幻豚の炭焼き2380円。
吉澤農園のズッキーニと牛ハツのゆっけ1480円は、肉と野菜の食感も◎。長野・岡本養豚の千代幻豚の炭焼き2380円。
白イカとすだち、山椒オイルのカルパッチョ1480円。
白イカとすだち、山椒オイルのカルパッチョ1480円。
「作り手の思いに共感した食材を選んでいます」(櫻井さん)。
「作り手の思いに共感した食材を選んでいます」(櫻井さん)。
かけ中華そば800円は、塩と醤油が選べる。
かけ中華そば800円は、塩と醤油が選べる。

『りんどう』店舗詳細

取材・文=井島加恵 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2023年8月号より