◆散歩コース◆

体力度:★★☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 4月~6月、9月~11月
  • 最高地点 916m(鶴脚山)
  • 登山開始地点 274m(払沢の滝入口バス停)
  • 歩行時間 5時間35分
  • 歩行距離 約10km
スタート
払沢の滝入口バス停
バス停前の豆腐店「ちとせ屋」の脇の道を入って行くと10分程度で払沢の滝へ。途中には土産物屋など。

払沢の滝
滝から戻り車道を左折。途中右手に茅倉の滝が道路から見える。しばらく行けば千足バス停。

千足バス停
バス停のすぐ先から標識に沿って右へ。柳沢林道を歩き、途中から登山道。天狗滝を過ぎれば綾滝だ。

綾滝
綾滝からつづら岩までの急坂がこのコース上、一番の難所。標高差300mを一気に登らなければならない。

つづら岩
ここまでくれば、あとはほとんど下りの縦走路に。尾根上最高峰の鶴脚山から馬頭刈山へ。展望はほぼなし。

馬頭刈山
高明神社跡を過ぎると軍道と瀬音の湯に下りる分岐。左折して軍道へ。高名神社は中腹の軍道に遷座。

軍道
軍道の集落は標高300mほどに位置する。村からの展望がいい。下の軍道バス停から武蔵五日市駅まで行ける。瀬音の湯へ歩けば約20分。

ゴール
秋川渓谷瀬音の湯バス停

アクセス:
[行き]新宿駅からJR中央線で立川駅へ。立川駅からJR青梅線で武蔵五日市駅へ。武蔵五日市駅から西東京バスで払沢の滝入口バス停まで約1時間40分。

[帰り]秋川渓谷瀬音の湯バス停から西東京バスで武蔵五日市駅へ。武蔵五日市駅からJR五日市線で立川駅へ。立川駅からJR中央線で新宿駅へ。約1時間35分

瀬音の湯からのバス便は少ないので、十里木バス停まで歩いたほうがいい。約10分度。
数馬方面から来るバスがあるので、ぐっと便利。だいたい午後は1時間に2,3便程度ある。

東京都の奥座敷、檜原村にはいくつもの滝があるが、なかでも有名なのは払沢の滝である。冬季に氷結する滝だが、近年は暖冬のせいか、あまり氷結しないことが多いようだ。最近では2020年の2月に最大で15%という低い結氷率。100%のときもあるので、理由はよくわからない。

その払沢の滝から奥多摩三大急登ともいわれる馬頭刈尾根への坂道を上がって縦走という計画だ。

バスは払沢の滝入口で下車。朝早かったせいか誰も下りず、身支度を整えて、まず払沢の滝へ向かった。

誰もいない滝は大きな水音を立てて落ちていた。何より太陽の角度の問題か、光が滝にスポットライトのように注いでいる。朝の9時台というのが、ちょうどよかったのだろうと思う。何度もこの滝へは来ているが、今回が最高だった。

落差は全四段で62mもあるという払沢の滝。見えている最下段の滝が23.3mとか。東京都では唯一「日本の滝百選」に選ばれた滝だ。昔は雨乞いの場にもなっていた。
落差は全四段で62mもあるという払沢の滝。見えている最下段の滝が23.3mとか。東京都では唯一「日本の滝百選」に選ばれた滝だ。昔は雨乞いの場にもなっていた。

来た道を戻って、車道を千足(せんぞく)の集落のほうへ歩いていく。この払沢の滝から馬頭刈尾根へのコースは、滝見コースといってもいいくらい滝が多い。それもいずれも個性的な滝ばかりである。

千足の集落の風景。どこか懐かしく、ここも東京都ではあるが、東北地方の田舎のような気もしてくる風景だ。
千足の集落の風景。どこか懐かしく、ここも東京都ではあるが、東北地方の田舎のような気もしてくる風景だ。

千足の手前にまずひと滝。茅倉(かやぐら)の滝だ。車道から見える。落差18mで細長い滝になる。

千足のバス停の先に「天狗滝・綾滝」の道標が見えてきた。ここから柳沢林道へと入って行く。20分ほどで林道が終わり、登山道になる。

千足のバス停近くで休んでいると、籠を背負ったおばさんが通り過ぎていった。最近はほとんど見かけない籠だった。
千足のバス停近くで休んでいると、籠を背負ったおばさんが通り過ぎていった。最近はほとんど見かけない籠だった。

滝見コースで最大の滝、天狗滝の水しぶきを浴びる

天狗滝の手前に小さな小天狗滝。これはたしかに名の通り小さな滝だ。次は落差が40mほどの大きな天狗滝。この滝がこの滝見コースでは最大の滝になる。一枚岩のような岩壁に沿って水しぶきをあげて落ちてくるさまは、豪快そのものだ。

天狗滝から半時間ほど上がると今度は細く静かに流れ落ちてくる綾滝。まさに綾織のように繊細な感じがする。周囲の雰囲気も、どこか神秘的で、魅力的な滝といえる。

まさに綾の織物を垂れ下げたような綾滝。音もなく静かに流れ落ちていた。落差は21 mほど。泡滝という別名も。
まさに綾の織物を垂れ下げたような綾滝。音もなく静かに流れ落ちていた。落差は21 mほど。泡滝という別名も。

ここで少し休憩してから出発したい。これからいよいよ三大急登が待っている。取材時は初夏だったので、気温も高い。なかなかの急坂だ。

休み休み上がっていく。日原から登る奥多摩三大急登のひとつ、稲村岩尾根よりは距離が短いのがせめてもの救いだ。

どうにか尾根に取りつくと、目の前に大きな岩山、つづら岩である。ここはクライミングの練習場になっていて、ぶら下がっている人をよく見かけるが、今日は誰もいない。と思ったら小さな岩に猿がしがみついていた。よく見ると人間だったが、岩を見るとついしがみつきたくなる人がいる。筆者の知人でも、ひとりいる。

尾根上にあるつづら岩。古くからロッククライミングのゲレンデとして使われてきた。岩壁の高さはおよそ40mほど。
尾根上にあるつづら岩。古くからロッククライミングのゲレンデとして使われてきた。岩壁の高さはおよそ40mほど。

滝見は終了して、縦走の開始。ほとんど展望のない馬頭刈尾根だが、鶴脚山近くでは大岳山の展望が少しと、三頭山の遠望と今登ってきた麓の千足集落が見える。

馬頭刈尾根の縦走路。道はつづら岩からは下りぎみの道で、道幅もあるので歩きやすい縦走路。この先に鶴脚山や馬頭刈山がある。
馬頭刈尾根の縦走路。道はつづら岩からは下りぎみの道で、道幅もあるので歩きやすい縦走路。この先に鶴脚山や馬頭刈山がある。

展望皆無の馬頭刈山山頂を過ぎると、高明山へ。ここは今は遷座して軍道集落にある高明神社があったところ。神社跡に石碑が立っていた。

神社跡から1㎞ほど下りると軍道分岐の標識。直進すればまっすぐ瀬音の湯へ、左に行けば軍道へ出てから瀬音の湯へ行ける。悩みどころだが、軍道への下山をおすすめする。軍道からの眺望が、このコース最終のハイライトだからである。

軍道の集落から下の寺岡方面を俯瞰する。左の川が養沢川、手前のコンクリートの建物は かつての小宮小学校。今は小宮ふるさと自然体験学校として利用されている。
軍道の集落から下の寺岡方面を俯瞰する。左の川が養沢川、手前のコンクリートの建物は かつての小宮小学校。今は小宮ふるさと自然体験学校として利用されている。

山歩きメモ

滝だけもっと見たいという興味があれば、つづら岩から大岳山方面へ行き。白倉分岐から養沢へ下りるコース上に、大滝がある。養沢バス停から五日市駅へ戻れる。つづら岩からバス停まで約2時間半。

アドバイス

綾滝からつづら岩までの登りが急できつい。奥多摩三大急登に入れる人もいるくらい。とくに夏場はきつい。軍道への分岐では瀬音の湯へ直行しても軍道に下りてから瀬音の湯へ向かっても時間はほぼ同じ。

高明神社(こうみょうじんじゃ)

かつては参拝するのが大変だった村の氏神様

高明山に今は高明神社跡の石碑がある。軍道までの元の参道には 鳥居や祠などが残っている。
高明山に今は高明神社跡の石碑がある。軍道までの元の参道には 鳥居や祠などが残っている。
軍道に遷座された現在の高明神社。
軍道に遷座された現在の高明神社。

現在は軍道の集落の中にあるが、1991年までは上の高明山にあった。山頂には高明神社跡石碑が立つ。村に遷座するまでは、参拝するにも大変で、軍道から500mほど登るというのは、参拝というより、まさに登山である。

秋川渓谷 瀬音の湯

高アルカリ性の泉質でお肌がすべすべになる

奥多摩エリアの公共温泉施設では、奥多摩駅近くのもえぎの湯とここが人気が高い。高アルカリ性の湯で肌がつるつるに。ちなみにpHは10.1と高い。食事もでき、外には無料の広い足湯もあるので、バスの待ち時間にも便利。

●10:00~22:00(受付は21:00まで)、1000円(3時間)。火曜休。秋川渓谷瀬音の湯バス停前 ☏042・595・2614

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ 低山をきわめる』より