【水止舞(みずどめのまい)】全国でも珍しい雨を止める奇祭

<7月10日>大田区・厳正寺(ごんしょうじ)

数多ある東京の祭りの中で、随一の奇祭として知られる「水止舞」。「全国で雨乞いの祭りはあるけれど、雨を止ませるための祭りというのはとても珍しいと思います」と教えてくれたのは水止舞保存協力会の鳴嶋さん。

起源は今から700年前。元号元年(1321)に武蔵の国一円が大干ばつに見舞われた際、厳正寺の住職が雨乞いの祈願をして雨を降らせた。ところが、その2年後、今度は長雨が続いたことで田畑が冠水したため、住職は雨を止めるための祈願を行った。3体の龍像を彫って「水止(しし)」と呼び、農民にかぶらせて舞わせ、笛や太鼓を叩かせ、ほら貝を吹かせたところ、黒雲が消えて晴れ渡ったという。それ以降、感謝の舞として「水止舞」を捧げるようになったというのだ。

当日は2部構成になっている。前半は13時から始まる「道行(みちゆき)」という雨乞いの儀式だ。大森東中学校正門前を出発し、約150m先の厳正寺まで30~40分かけて進む。龍神役の男性2人が荒縄でとぐろを巻いた「大貝」の中に入り、それらを地元の若者が5、6m担いでは地面に下ろして、容赦なく水を掛ける。龍神は水を掛けられるとほら貝を吹いて歓喜の雄叫びを表現するのだ。「バケツで水を掛けるので観客もびしょびしょになります。迫力満点ですよ」と鳴嶋さん。

寺に到着すると境内の特設舞台に龍神が押し上げられる。龍神に巻き付いていた荒縄はほどかれて、舞台を囲うように置かれる。そして、後半は雨を止ませた舞が披露される。赤い面の雄獅子、黒い面の若獅子、金の面の雌獅子の3匹の獅子が笛や唄に合わせて踊り、「水止舞」が奉納される。東京都無形民俗文化財にも指定されているユニークな伝統行事を、ぜひ現地で体感してみて。

◎JR京浜東北線大森駅からバス「大森警察」下車5分。厳正寺水止舞保存協力会☎080-4931-4321。

【店舗巡り 第27回川崎大師風鈴市】涼やかな風鈴の音色を楽しむ

<7月1日~8月7日>川崎市川崎区・川崎大師表参道と仲見世通りの協力店舗

昨年に引き続き、表参道と仲見世通りの協力店舗で全国各地の風鈴を販売。風鈴が奏でる涼やかな音色を楽しみながら、お気に入りを探そう。10:00~16:00(店舗により異なる)。※川崎大師境内での風鈴販売は行われない。

◎京急大師線川崎大師駅徒歩8分。川崎大師山門前 住吉☎044-288-4437。

【第34回くにたち朝顔市】色鮮やかな朝顔を販売

<7月2・3日>国立市・JR国立駅南口大学通り緑地帯(一橋大学正門南側)

市内の生産農家が「朝顔の里」で共同栽培した“くにたち産の日本朝顔(あんどん仕立て)”を展示販売。1鉢2000円。予約販売優先(事前予約で200円割引あり)。7:00~14:00(売り切れ次第終了)。詳細はくにたち朝顔市Facebookを。

◎JR中央線国立駅徒歩7分。くにたち朝顔市実行委員会(国立市商工会)☎042-575-1000。

【第70回湘南ひらつか七夕まつり】大きな七夕飾りが頭上を彩る

<7月8~10日>平塚市・JR平塚駅北口商店街を中心とする市内全域

メイン会場である湘南スターモールが約80本の華やかな七夕飾りで彩られる。なかには国内屈指の大きさを誇る、10m以上の大型飾りも。10:00~19:00(最終日は~17:00)。今年はライトアップの実施および露店の出店はなし。

◎JR東海道線平塚駅徒歩2分。湘南ひらつか七夕まつり実行委員会事務局☎0463-35-8107。

【成田祇園祭】豪華な山車が曳き回される

<7月8~10日>成田市・成田山表参道とその周辺

成田山新勝寺の「成田山祇園会」に合わせて開催。各町それぞれに飾り付けられた豪華絢爛な山車が曳き回され、3日間にわたり成田山表参道やその周辺一帯を巡行する。今年は総踊りや総引きの実施はなし。

◎JR成田線成田駅、京成本線京成成田駅下車。成田市観光協会☎0476-22-2102。

【四万六千日・ほおずき市】4万6000日分のご利益を授かる

<7月9・10日>台東区・浅草寺

江戸時代中期が始まりで、9・10日にお詣りすると4万6000日分の参拝に相当するご利益があると伝えられ、多くの参拝客が訪れる。境内には多くのほおずき屋やそのほかの露店も出てにぎやか。

◎私鉄・地下鉄浅草駅徒歩5分。浅草観光連盟☎03-3844-1221。

【すもも祭】府中の夏の風物詩

<7月18~20日>府中市・大国魂神社

源頼義・義家父子が戦勝祈願にスモモを神前に供えたことが由来。参道にはスモモを売る市やさまざまな露店が出てにぎわう。また、境内では期間中のみ、厄除けの「からす団扇」「からす扇子」の頒布が行われる。

◎京王線府中駅、JR南武線・武蔵野線府中本町駅徒歩5分。大国魂神社☎042-362-2130。

【第19回新宿エイサーまつり】エネルギッシュな演舞は圧巻!

<7月30日>新宿区・新宿駅東口一帯

「Oh! much do summer~お待ちどうさま!~」をキャッチコピーに3年ぶりの開催。本場沖縄からの派遣チームも含めて18団体が参加し、鮮やかな衣装を身にまとった踊り手たちが迫力ある演舞を披露する。12:00~。小雨決行。

◎JR・地下鉄・私鉄新宿駅下車すぐ。新宿エイサーまつり運営事務局 info@shinjuku-eisa.com

【第41回川越百万灯夏まつり】色とりどりの提灯は情緒たっぷり

<7月30・31日>川越市・本川越駅周辺~札の辻交差点

江戸時代に始まった提灯祭りが起源。今年は川越市市制施行100年にあたる記念の年で、色とりどりの提灯が街を彩り、「Oh通りゃんせ!!KAWAGOE」の踊りや火縄銃鉄砲隊演武などが行われる。

◎西武新宿線本川越駅徒歩3分、JR川越線・東武東上線川越駅徒歩12分。川越百万灯夏まつり実行委員会☎049-229-1810。

取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者より提供。

『散歩の達人』2022年7月号より