イーストサイドはこんなところ
①個性豊かなショップが豊富
五日市街道沿いに立つ『ジャルダン吉祥寺』。間口は小さいが、おもちゃ、レコード、雑貨など、興味をそそられるお店がずらり。
②人気店が点在する末広通り
末広通りには、『白髭のシュークリーム工房』、『Ryumon coffee stand』、ラーメン店『真風』など行列ができる店も。
③高架下もイーストならでは
2009年オープンの『CAFE ZENON& ZENON SAKABA』は、吉祥寺がアニメで盛り上がるきっかけになった。
④街を支える公共施設あり
公共施設の半径200m以内は風俗店を作れない風営法を用いた環境整備として、1987年に図書館、2005年に『吉祥寺シアター』が開館。
熱意で変わる現在のイーストサイド
かつて“近鉄裏”と呼ばれ、新宿・歌舞伎町に並ぶ歓楽街として栄えたイーストサイドだが、その面影が薄らいできている。今や、その時代を知らない若者も多いのではないだろうか。現在は、熱意あふれる個性的なショップや飲食店が点在し、わざわざ足を延ばす人も増えてきた。
「コロナ禍で客足が減ったのを機に、このエリアをもっと知ってもらうため、昨年春に始めたのが、『イーストサイド アクティベーション』です」とは、武蔵野市開発公社まちづくり課の西山徹さん。Web サイト(kichijojiesa.com)でイーストサイドのインタビュー記事や店紹介動画をコツコツ公開している。さらに、11月には「吉祥寺イーストサイドかるた製作プロジェクト」も始動した。
「『吉祥寺かるた』の産みの親である徳永健さんの“ご当地かるたは街のガイドブックになる”という話を聞いて、まちづくりプロジェクトとして発展させたいと考えました」
紆余曲折の歴史を経て、個性あふれるエリアに進化
実際に読み札を募集すると、SNSでの投稿も合わせて500以上に及んだ。さらにワークショップでは実際に街を歩いてネタ探し。吉祥寺で生まれ育った人でも知らないことがあり、「へぇ〜」という声が飛び交った。最終的に多彩なおもしろい読み札が集まったのは、参加者や投稿者それぞれが街に思いを馳(は)せ、読み札を考えた証しだ。その結果、イーストサイドの街に生きた「地域らしさ」が見えてきたという。
市民の長年の努力による環境浄化の取り組みで、街も少しずつ変化してきた。大規模な開発が行われなかったエリアだからこそ、個々のお店が存在感を放っている。それに、あえて街の中心から外れたところで勝負したいという人も多い。中心部より家賃が安いのも後押しして、個人の趣味・嗜好(しこう)を前面に押し出したお店を呼び寄せることとなった。20年ほど前を知っている世代なら、「昔の吉祥寺ってこんな感じでわくわくしたなぁ」と思わずにはいられない。
地域の魅力が詰まったイーストサイド版の「吉祥寺かるた」は、まもなく完成する。読み札の場所に行ったり、自分なりの読み札を考えたりすれば、さらなる魅力を発見できそう。イーストサイドの盛り上がりはまだまだこれから!
イーストサイド版「吉祥寺かるた」 まもなく完成!
まもなく完成する「吉祥寺かるた 行くぜ! イースト」。読み札はガイドの役割をもつ解説文付き。どんな札が登場するのか、乞うご期待!
『ぺろきち商店』(perokichi.stores.jp)ほか、吉祥寺の書店などで4月29日発売開始。2000円。
取材・文=井島加恵 撮影=加藤熊三 写真提供=武蔵野市開発公社
『散歩の達人』2022年4月号より