東武鉄道の博物館は東向島駅の高架下にあり!
『東武博物館』がある東向島駅は各駅停車のほか、区間急行、区間準急も停車します。曳舟の隣駅なので、東京メトロ半蔵門線や東急田園都市線沿線からのアクセスも便利。
入館料はなんと、大人210円(交通系電子マネーなら200円)、4歳~中学生100円。これは親子連れにうれしい! ちなみに、無料駐車場も12台用意されています。
東向島駅を出て振り返ればすぐにエントランス! 館内に入るとまず東武鉄道の開業期に活躍した「5号蒸気機関車」が登場。英国製の機関車で展示に際し開業当時の姿に復元されています。この「5号蒸気機関車」はなんと車輪が動くんです!
1日4回(11:00、13:40、14:40、16:00)実施される「SLショー」では、機関士さんが乗り込み、汽笛を鳴らしながら車輪が力強く駆動します!
※2022年1月現在は16:00を除く3回の実施。
続いて見えてくるのは「中庭」。中庭の手前には100系スペーシアの個室モックアップが展示されていて、実際に中に入ることができます。僕もスペーシアの個室は大好きなので、早速中に。浅草駅からよく乗ったなぁ。
中庭の見どころは「5700形5701号電車」と「ED101形101号電気機関車」。
さて、中庭に行きましょう。実は、『東武博物館』は2009年にリニューアルが行われており、その際に新たに収蔵されたのが、この中庭に展示されている“ネコひげ”の愛称が可愛らしい「5700形5701号電車」と「ED101形101号電気機関車」。
5700系については元々貫通扉付きタイプの先頭車両だったものを、博物館に搬入した後に今の“ネコひげ”スタイルに復元されました。
鉄道運行の仕組みを学べるコーナーもあります
その中庭に並行するように館内で展示されているのは、電気や信号、ポイントなど電車が安全に運行する上で欠かせないメカニズムを学べるコーナー。
1/45スケールの模型電車を使って安全に走るシステムを体験しながら楽しむ学ぶことができちゃう!
大人気!電車のシミュレーション
その横にあるのが大人気の「電車のシミュレーション」。『東武博物館』の運転シミュレータは50050系と8000系と10030系の3台がありますが、2021年12月現在、新型コロナ対策により、50050系、8000系の2台が体験できます。
それぞれ実際の運転台同様の設備で運転体験ができ、50050系はT字形のワンハンドルタイプの運転台、8000系はブレーキとマスコン(アクセル)が別々になっているツーハンドルの運転台となっているので、それぞれ車両の世代別に運転感を味わうことができるぞ!
貨物輸送やバスの展示も要チェック!
東武鉄道の大きな特徴として、かつて「貨物輸送」も行なっていた点があります。そんなこともあり、館内には「トキ1形貨車」、「ED5015号電気機関車」が展示されています。最盛期には43両もの電気機関車が東武に在籍していました。
「ED5015号電気機関車」の横には、これまた注目したいレア車両が。『東武博物館』は鉄道だけでなく、バスの展示があるのも楽しいポイント。
ということでご紹介したいのが、青いストライプがかっこいい「キャブオーバーバス」。昭和40年代はじめまで活躍し、乗客の多い都市間輸送で活躍したこちらのバス。ちょっと珍しいのはその燃料。バスというと軽油を使用している車両がほとんどですが、このバスはガソリン車なんです! バスがガソリンを使用していた最終期を代表する車両としてとっても大切な車両です。
さらに「キャブオーバーバス」の横にはなにやらゴンドラが……これは「明智平ロープウェイのゴンドラ」。そうです、ロープウェイのゴンドラまで展示されているんですよ、『東武博物館』は……。さすがは営業路線エリアも広い東武鉄道の博物館。収蔵ジャンルの幅も広~い!
「これがあるから何度も来る」という人も!バスのシミュレーション
電気機関車、バス、ゴンドラのバライティー豊かな展示車両の向かいには「バスのシミュレーション」があります。このシュミレーションでは主にハンドルを操作しますが、簡単そうに見えて実は結構繊細な作業が必要で難しかった……。
シミュレーションに取り付けられたタイヤがハンドル操作に連動してきちんと動くのも楽しいポイントです。
東武鉄道沿線を表した大型ジオラマも見どころ
1Fの一番奥には「SLショー」と並んで大人気の「関東平野にひろがる東武」を再現した大型ジオラマの展示!約130両の1/80スケールHOゲージの東武鉄道の車両たちがジオラマ内を駆け抜けます!こちらは10:30、11:25、13:15、14:15、15:30の1日5回(ただし、2022年1月現在15:30は15:00に変更)、一回約13分のパノラマショーが行われ、東武鉄道の1日や特徴を知ることができます。
ここでひとつトリビアを。
パノラマショーの開催中は、ショーのタイミングに合わせてナレーションによる案内が流れるのですが、これを担当している声にご注目。
東武鉄道でも500系特急「リバティ」の車内放送などを担当している、鉄道大好き女子鉄アナウンサーの久野知美さんが担当しています! 東武線車内でおなじみのあの声に、博物館でも出会えますよ!
秘密基地みたい……館内から外に展示された車両のなかに入れるぞ。
さて、続いて2Fに行きたいところですが、ちょっとストップ! 『東武博物館』にはエントランス外にも展示車両があるのですが、このうち2車種に館内から車内に入れちゃうんです! それが東武の名車「DRC」こと「1720系デラックスロマンスカー」と「日光軌道203号」。
1720系はダイナミックなボンネット形式を持つ当時の東武鉄道のまさに「顔」とも言うべき存在だった特急車両です。車内には温かい軽食が楽しめる「ビュッフェ」やレコードを聞くことができたジュークボックスを備え付けた日本初のサロン室を設置した特急車両で、その観光色を強く意識したコンセプトは特急スペーシア100系に受け継がれました。そして、新たに2023年導入発表された新型スペーシア「N100系」についてもこのコンセプトは引き継がれていきます。
一方で「日光軌道203号」はちょっと珍しい2車体3台車連接式の機構をもつ路面電車。2両をつなぐ連結部分に台車がある連接構造が特徴の車両です。
車内からもその特徴的な機構は観察することができるのでぜひチェックしてみて!
子ども連れもでも安心のトイレなど。
1F奥には授乳室、子ども用トイレ(男女ともに)、多機能トイレが完備。小さな子ども連れでも安心。授乳室を利用したい際は係員さんに声をかけよう。
レールと同じ高さで列車を観察できるウォッチングプロムナードは必見!
さて、1階の見学を終えて、2階へ!でもぜひそのまま階段を上がってしまいましょー! そこにあるのは『東武博物館』の立地を最大限に生かした「ウォッチングプロムナード」。
ここはなーんと東向島駅のホーム下の位置ということで、目の前をまさに今走行している東武スカイツリーラインの列車たちをレールと同じ高さという有り得ないアングルで見学できるスポット!
大迫力なのは言うまでもないけど、東向島駅に停車する列車の場合、まさに目の間にデデン!と停車するので、床下機器や台車周りの構造をがっつり見学できちゃいます。いや、ここはね、なかなかないビューポイントですよ。マジで必見!
2階にも2階ならではのみどころが
いっぱい寄り道してやっと到達した2階。2階からは1階の展示を俯瞰してみることができ、ジオラマもこんな感じで見ることができちゃいます!
車両たちがよく見える1階の席も最高ですが、ジオラマの全景がしっかり楽しめる2階からの見学もおすすめ!
2階には飲み物の自動販売機と休憩コーナーもあるので、小休止にも立ち寄りたいポイントです。
ミュージアムショップも東武鉄道尽くし!
館内をゆっくり見てまわったあとはエントランス横にあるミュージアムショップへ。東武鉄道こだわりの品々が並びます!
世代を超えてアットホームに楽しめるのが東武博物館の魅力!
電車とバス、ロープウェイのゴンドラ、そしてとんでもないアングルから実際に運行中の列車を見ることができる「ウォッチングプロムナード」など、魅力満載の『東武博物館』。バライティーに富んだ展示内容から地域の人にも長く愛されている博物館でもあります。今回館内をご案内いただいた『東武博物館』業務担当の山木直子さんがこんなエピソードを教えてくれました。
「幼稚園のお子さまなどの遠足でのご利用も多いのですが、そうした行事などで小さい頃に当館に遊びにきた方が大人になり、自身の子どもを連れてきてくださるなんてこともよくあります。中にはおじいちゃんに連れられてきていた小さい男の子が、大学生になってもきてくれることもありました。こうして世代を超えてお楽しみいただけるのも当館のひとつの魅力です。」
ちなみにおすすめの来館時間を尋ねてみると、「午前中は団体のお客さまや、開館時間を目指してご来館いただく方が多いので、お昼12時くらいにご来館いただけるとちょうどよいかもしれません」とのこと。
アットホームだけど限りなくリアル体験ができる『東武博物館』、改めて今回訪れてリピーターが多い理由がとってもよくわかりました。きっとあなたも東武ファンになること間違いなし! ぜひみんなで行ってみてくださいねー!
取材・撮影・文=村上悠太(ユータアニキ)