アクセス

電車:JR上野駅から上越新幹線・上信電鉄で約2時間の下仁田駅下車。南牧村へは南牧バスに乗り換え約20分の役場前下車。

車:関越自動車道練馬ICから関越自動車道・上信越自動車道を利用し、下仁田ICまで約105㎞。下仁田ICから下仁田町中心部まで約5㎞、南牧村中心部まで約15㎞。

南牧村滝巡り

村内全域に大小多彩な滝が点在

南牧村を代表する落差約50mの名瀑・三段の滝。駐車場から徒歩約40分だが、滑りやすい箇所も多いので要注意。
優美な姿で一条の線を描いて流れ落ちる、落差約35mの線ケ滝。

長野県と接する南牧村は山深い傾斜地が多く、また川の源流域に当たるため、至るところに滝が点在。車道から気軽に足を運べる滝があれば、登山装備が必要な滝もある。道の駅『オアシスなんもく』などに置かれた村作成のパンフレットには地図や留意点も載っているので、滝探訪の強い味方になるだろう。

●群馬県南牧村内各所

落差は5mほどだが、迫力十分の轟音に驚かされる住吉の滝。
黒龍山不動寺の堂宇裏手で、飛沫を上げながら舞うように流れ落ちる龍神の滝。水量は時季により変化する。

黒龍山(くろたきさん)不動寺

森閑とした空気漂う上州の奥の院

紅葉の見頃は例年11月20日前後(写真提供:南牧村情報観光課)。赤く染まる不動堂。

狭い車道を上り詰めた人里離れた地にあり、標高は870m。潮音道海禅師が延宝3年(1675)に開山した禅寺で、行基菩薩作とされる金躰不動明王が秘仏として祀られている。背後に崖が迫る境内には県指定天然記念物の大スギや趣ある山門、磨崖仏が彫られた天女窟、龍神の滝などが点在し、紅葉の名所としても名高い。

鐘楼からは下仁田方面の眺めもよい。
住所:群馬県南牧村大塩沢甲1266/営業時間:8:00〜16:00/定休日:無

なんもく村のちょっとしたcafe

パティシエが営む古民家カフェ

築150年の古民家「草木萌動」をカフェ兼ケーキ工房として活用。

東京都練馬区で小さなカフェを共同経営していたパティシエの加藤有希さんが、縁あって訪れた南牧村で2015年に開いた心和む古民家カフェ。オーガニックコーヒー(手作りクッキー付き)などドリンクは400円〜で、加藤さん自慢の本日のケーキは360円〜。南牧村の食材を中心とした、季節を感じる本日のごはん950円も楽しみ。

黒糖チーズケーキ(右)とコーヒーのケーキセット720円。
住所:群馬県南牧村大日向1517 草木萌動(そうもくめばえいずる)1F/営業時間:11:00〜15:00/定休日:日・月・木

立岩(たついわ)

対峙すると畏敬の念が湧き上がる

稜線上に居並ぶ巨岩に目を奪われる標高1287mの山塊。イタリアの岩峰群になぞらえて「西上州のドロミテ」とも呼ばれるが、麓の星尾集落から見上げた第一印象は自然の営みが造り上げた「バベルの塔」のよう。線ケ滝近くの登山口から山頂までは鎖場などを経て約1時間30分。

●群馬県南牧村星尾

星尾風穴(ほしおふうけつ)

畑の先にひっそり残る地域遺産

風穴の活用により年1回だった養蚕を複数回できるようになった。

かつて養蚕業で栄えた南牧村。岩のすき間から冷風が吹き出す風穴を蚕種(さんしゅ)の貯蔵庫として利用した遺構で、創業は下仁田町にある荒船(あらふね)風穴の建設年と同じ明治38年(1905)。目の前にそそり立つ立岩の姿にも圧倒される。

●見学自由。群馬県南牧村星尾字桧木宮430-2

荒船(あらふね)山

山中に忽然(こつぜん)と現れる巨艦のよう

内山峠へ向かう国道254号から見上げた迫力ある艫岩。

平坦な頂稜部とストンと切れ落ちた断崖が印象深い人気の山。独特の山容は巨艦にたとえられ、船尾に見える岩壁は艫(とも)岩と呼ばれる。登山口は下仁田町と長野県佐久市との境にある内山峠が一般的だが、相沢登山口からのコースは冬になると氷瀑に出合えることも。内山峠から艫岩展望台を経て、最高点(標高1423m)の経塚山(行塚山)までは約2時間40分。

●群馬県下仁田町南野牧ほか

切り立った断崖上の艫岩展望台からは真正面に浅間山を見通せる。

黛(まゆずみ)のこんにゃく屋

気前のよい試食も評判

製造・販売・飲食対応を、ほぼ一人でこなす朗らかな黛尚美さん。

下仁田町中心部から荒船山へ向かう国道254号沿いにあり、臭みの少ない昔ながらのこんにゃくを販売。店舗併設の工場で手練りしたこんにゃくは、中に気泡が入り舌触りや歯ごたえがよい。黒こんにゃくは煮物に合い、白こんにゃくは刺し身用だ(ともに3個入り350円〜)。食事もできる。

店内飲食メニューのさしみこんにゃく 400円(左)とモチモチした名物みそおでん(1本100円〜)。
住所:群馬県下仁田町南野牧9654-1/営業時間:10:00〜17:00/定休日:火(祝の場合は別の日に振り替え、臨時休あり)

下仁田ねぎは冬が旬!

下仁田ねぎ(写真提供:下仁田町商工観光課)。

太くて短い一本ねぎとしておなじみの下仁田ねぎ。生のままだと辛みが強いが、火を通すととろりと軟らかくなり、甘みもグンと増す。種の採取から収穫まで、水はけのよい土地で約15カ月もの歳月をかけて育てられた下仁田ねぎの旬は12月〜翌1月。町内には工夫を凝らした下仁田ねぎのソウルフードを冬限定で提供する飲食店も多い。

下仁田ジオパーク

地域の文化や食を支える地形に注目

大地が曲げられた様子がはっきり分かる大桑原のしゅう曲。
要所には詳しい解説板が立ち、理解をより深めるのに大いに役立つ。

ジオパークとは大地と人々のつながりを感じられる自然公園を指し、下仁田も日本ジオパークに認定。根なし山や地層の逆転などが見られる「跡倉(あとぐら)クリッペ」、火山活動の顕著な痕跡など、町全体が貴重な自然観察の宝庫といえる。
『下仁田町自然史館』(☎︎0274-70-3070)では、地形や地下資源と、地域の文化・産業や特産のねぎ・こんにゃくとの関係性も興味深く解説している。

●群馬県下仁田町内各所

宮室の逆転層では上下逆さになった地層を目の当たりにできる。
青色の石畳が目を引く青岩公園。背後は浅間(せんげん)山。

シモンフッド

3年間限定のカレーと珈琲の店

バターチキンとポークビンダルーの2種盛りカレー 1200円(セットのドリンクは100円引き)。

江戸末期築の米蔵を活用した下仁田チャレンジショップとして2019年秋オープン。地元出身の阿久澤慎吾さんは飲食店経験ゼロながら、東京での雑誌編集のキャリアで培った食の知識と豊富な人脈を活かし、手の込んだカレーとスペシャルティコーヒー(ブレンド500円ほか)をメインに提供している。

●11:30〜18:30LO、月・火休(祝の場合は翌水休)。群馬県下仁田町下仁田202。☎︎0274-67-5651

にょきにょき銀座

どっちを向いても奇妙な山だらけ

岩峰が林立する妙義山。多くの登山者が立ち寄る第四石門付近は落石により現在通行不可。
御堂山の稜線上で寄り添うように立つ「じぃとばぁ」。

下仁田町中心部が近づくにつれ、視界の先に目立つようになるのが奇妙な形をした山の数々。その印象は南牧村に入っても変わらない。先に触れた立岩や荒船山はじめ、一帯には火山活動や地殻変動後の浸食などに伴う奇勝が多く、眺めているだけで飽きない。

●群馬県南牧村・下仁田町内各所

南牧村と下仁田町の境にある鹿(かな)岳。
南牧村中心部から三段の滝上部にそびえる大岩(左)と碧(みどり)岩を見通す。

菓子処 古月(こげつ)堂

一番人気の本宿どうなつをパクッ!

繭と石垣をモチーフにした荒船風穴最中(左)と本宿どうなつ。

上州姫街道の宿場として栄え、今も街道風情が残る本宿(もとじゅく)地区にある。本宿どうなつ(5個入り650円〜)は北海道産の豆をふっくら炊いた自家製餡(あん)を県産小麦で包み、さっくり揚げた看板商品。甘さ控えめで何個でも食べられそう。世界遺産登録を機に考案した荒船風穴最中(5個入り750円)は白餡と小豆餡のセットだ。

住所:群馬県下仁田町本宿3760/営業時間:8:30〜18:00/定休日:火(祝の場合は翌水)

八千代温泉 芹(せり)の湯

自然に抱かれた静かな隠れ湯

雰囲気の異なる浴室は男女日替わり。加温した冷鉱泉はかけ流しだ。

軽井沢へと通じるもみじ街道(県道43号)から、さらに奥まった地に湧く素朴な日帰り温泉。浴室は内湯のみだが、ぬるぬる感のある湯が評判だ。食事処も併設(釜揚げうどん900円ほか)。

住所:群馬県下仁田町西野牧12809-1/営業時間:11:00〜20:00/定休日:木・第2金(祝の場合は営業)

【コースガイド】

もう一つある“南牧村”

南牧村のある群馬県の隣、長野県にも実は南牧村がある。こちらの呼び名は「みなみまきむら」だが、うっかり隣県に迷い込まないように。

荒船風穴は12月から冬季閉鎖

世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産である下仁田町の荒船風穴は12月から翌3月まで冬季閉鎖となる。訪問の際は注意を。

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2021年12月号より