街の人々に愛される、ずっと変わらない上品な味わい『レストラン オオタニ』[大山]
薄い玉子焼きに包まれた正統派のオムライス。ケチャップライスは深みのあるしっかりとした味なのに食べ心地は軽やかだ。
1965年に創業した当時は、マヨネーズやソースなど全てを一から作り、ホテルクラスの高級な国産食材を使うのが当たり前だった。時代が変わり便利になっても、当時のレシピや食材を変えていないという。その真摯(しんし)な取り組みが、品のあるやさしい味わいに表れているのだ。親子3代、4代で来るお客さんも多いそうで「今があるのは皆さんのおかげ」と言うが、感謝するのはこっちのほうだ。
【こちらも必食!】 若鶏・チキンソテー
ジュウジュウと音を立てながら運ばれてくるビッグサイズの若鶏・チキンソテー1450円。
材料をミキサーにかけたあと、1週間ほど熟成させることで味が落ち着くというタレは、自家製のガムシロップを用いたサラリとした甘みが特徴。タレが染み込んだポテトもうまい!
『レストラン オオタニ』店舗詳細
父が作り出したレシピを母と娘が受け継ぐ『AIDA』[新板橋]
ホイルを開くと立ち上がる、ビーフシチューの濃厚な香りがたまらない!
ハンバーグに絡めて食べると、深い甘みとコクがじんわり広がる。決め手はソースの元になる自家製のルウだ。「特別な材料は使ってないんですけど、弱火でじっくり炒めてから強火で仕上げて、野菜のおいしさを引き出すことを心掛けています」。そう話すのは、2020年に逝去されたご主人のレシピを受け継ぐ妻の間宮ゆみ子さん。この春からは、「店を継ぐ!」と宣言した娘の來未さんが共に厨房に立つように。これからは母娘2人で父の味を守っていく。
【こちらも必食!】 ロールキャベツセット・トマトのファルシーサラダ
ディナータイムのロールキャベツセット1200円(ライスまたはパン付き)は土鍋で提供。キャベツの甘みが溶け出したスープと内側のお肉がマッチ。『つばめグリル』でもおなじみのトマトのファルシーサラダ600円は、中に詰めているローストチキンがポイント。
『AIDA』店舗詳細
豊洲で仕入れた旬の魚介を惜しみなく提供『洋食専門店かわしま』[大山]
洋食は定番メニューが多いため、季節感を出すために始めたのが豊洲ランチ。その名のとおり、オーナーシェフの川島紀彦さんが豊洲まで魚介を買い付けに行く。「洋食店では珍しいかもしれませんが旬も分かるし、店に合った食材を選べます」。この日はお値打ちだったというマダイに、エビとカニクリームコロッケの3点。小鉢の山かけには贅沢(ぜいたく)に本マグロを使う。
メニューには鮮魚のポワレやポークリエットなど、以前働いていたというフレンチも。洋食に合うワインも揃うので、夜はアラカルトで楽しむのもおすすめだ。
【こちらも必食!】 おまかせ前菜盛り5品
川島さんのさまざまな経験が垣間見えるのが、おまかせ前菜盛り5品1300円(3品800円)。+700円でワインセットにも。パテ・ド・カンパーニュ、ラタトゥイユ、つぶ貝の煮つけ、有明産赤クラゲの酢の物、ホタルイカのくんせいの5品(内容は日替わり)。
『洋食専門店かわしま』店舗詳細
“映え”だけじゃない唯一無二のアイデアが光る『キッチン亀』[中板橋]
1959年に開業し、居酒屋から町の食堂を経て、1999年から洋食中心に。現在一番人気のへそハンバーグは、フレンチや中華の経験がある4代目の原田隆さんが考案。ユニークなビジュアルが注目されるが、ふわふわなのに肉感もあるハンバーグの食感も抜群! ブロック肉で仕入れ、やわらかい部分は手切り、筋の部分はペーストなど状態に合わせて挽き方を変えるひと手間がおいしさの秘訣だ。
厨房では、84歳の母親・トシ子さんがヘルプ。ちゃちゃっと目分量で味を決める長い経験で培われた技術も大事な戦力だ。
【こちらも必食!】 バーグきのこオムライス
炒飯のチャーシューの代わりに、焼いたハンバーグを崩して炒め合わせたバーグきのこオムライス920円。中華醤や味噌を合わせたタレとハンバーグの肉汁、キノコのうまみがごはんに染み込んでいる。生クリームたっぷりのふわふわオムレツと相性ぴったり。
『キッチン亀』店舗詳細
取材・文=井島加恵 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2023年6月号より