『Blood Moon-Tokyo design noodles-(ブラッド ムーン トウキョウ デザイン ヌードルズ)』お酒にも合う濃厚なゴマが決め手の担々麵
新橋駅前のSL広場から徒歩2分、居酒屋がひしめく繁華街の路地裏にたたずむのは『Blood Moon-Tokyo design noodles-』。以前は銀座でバーテンダーをしていたオーナーが2021年にオープンした店だ。「お酒とラーメンの組み合わせは面白いな、という発想からこの店をオープンしました。バーテンダーの知識を生かしてラーメンと創作中華に合うお酒も提供しています」と語る。
提供するラーメンは、旧知の仲だという錦糸町『noodles house錦鯉』のオーナーに依頼し、酒に合う担々麺をプロデュースしてもらったという。
麻辣担々麺950円は、自家挽き練りゴマとカシューナッツ、ネギ油などを合わせた特製芝麻醬で、濃厚なゴマのコクと芳醇な香りがたっぷり。さらにスープには鶏と乾物類をベースに、シジミや北海道産真昆布、シイタケなどで幾重にも広がる味の層が印象的だ。
一方、担々つけ麺1000円はレンゲでスープをすくってみると、トロリとした粘度があり麻練担々麺よりもさらに濃厚そうだ。ゴマと唐辛子の香ばしさがあり、飲んでみるとまった〜りなめらかで黒酢由来のおだやかな酸味がある。
『Blood Moon-Tokyo design noodles-』店舗詳細
『背脂煮干中華そば 和市』背脂と煮干を合わせた新潟のご当地ラーメン
JR新橋駅烏森口から3分ほど。飲食店街がひしめく烏森通りから柳通りへ入ると『背脂煮干中華そば 和市』にたどり着く。パリッと糊のきいた白いのれんをくぐって店に入ると、途端に煮干しのいい香りがする。
背脂煮干中華の醤油・塩、つけ麺、まぜそばの4つを柱に展開。さっそく看板メニューの背脂煮干中華そば 醤油850円を注文。
スープは煮干しと昆布、ほんのり乳化させた豚スープを合わせ、かえしには醤油と煮干しを加えている。背脂はトッピング用にやわらかく炊き、丼にたっぷり乗せても不思議と後味はさっぱりとしている。
甘い背脂が味にコクを与えるだけでなく、保温効果もあっていつまでもアツアツ。そのため、トッピングの生タマネギはシャキシャキ食感を残しながら、絶妙に加熱されて甘みを増している。パンチのある煮干しの風味を背脂がふんわり包み込むよう。食べ応えはあるが喉越しもいい麺とスープの相性もバツグンだ。
『背脂煮干中華そば 和市』店舗詳細
『麺屋 味方』観葉植物に囲まれながらすする二郎系ラーメンと朝限定のきしめん
JR新橋駅烏森口から徒歩5分。柳通りから一本入った路地裏に『麺屋 味方』がある。『ラーメン二郎』で10年以上修行した店主が独立してオープンした店だ。
提供するラーメンは野菜山盛り、分厚いチャーシューと豚の旨味たっぷりのスープでいただくいわゆる“二郎系”。麺は毎日オーション(小麦粉の銘柄)で自家製麺する。中太の平たい麺でややちぢれているのが特徴で、並は茹でる前で200g、写真は“ややマシ”で300gほどだ。
ボリュームのあるチャーシューは豚バラとウデをカネシ醤油に漬け込んで仕上げる。ガツンと豚の旨味が利いたスープは豚ゲンコツ、豚の背脂、バラ肉を4時間ほど煮込んだもので、丼の頂きにはシャキシャキの野菜(もやし)が山盛りに。一番人気はラーメン(塩)1000円。
朝限定のきしめんやまかないサンドなどオリジナルメニューも好評だ。つるっと喉越しのいいきしめんは、関西風のカツオだしでいただく。そしてまかないサンドはバンズかイングリッシュマフィンで、自慢の分厚いチャーシューとレタス、タルタルソースを挟んでいる。
『麺屋 味方』店舗詳細
※その日の営業についてはInstagramを参照/定休日:日(ほか不定休あり)/アクセス:JR・地下鉄・ゆりかもめ新橋駅から徒歩5分
『酒肴場 屯〜TAMURO〜』ランチ限定の濃醇煮干し醤油そばは煮干しの旨味がモーレツ!
新橋駅西口からSL広場を横切り、虎ノ門駅方向へ進むこと徒歩3分。雑居ビルの2Fに『酒肴場 屯〜TAMURO〜』がある。青森出身の店主が営む青森の食材が楽しめる居酒屋だが、平日のランチタイムにはこだわりのラーメンを提供する。
メニューは、あっさりめの津軽煮干し中華そば(味玉入り)900円と、文字通り旨味がギュッと詰まった濃醇煮干しそば(味玉入り)950円の2種。
煮干しスープには、八戸産をベースに千葉・九十九里産、長崎産、鳥取・境港産、香川・伊吹産、そして平子煮干しも加えた6種類の煮干しを加えている。何種類か合わせて入れると微妙に違う持ち味が出るという。煮干しのスープの中にほんの少し昆布や鶏と豚の動物系スープも加えて、さらに味のボディを太くしている。
自慢のスープをひとさじ口に含むと、煮干しの味が口いっぱいに広がる。これはクセがある。力強い旨味もあるが、苦味もしっかり残っている。「苦味やえぐみも含めて煮干しのおいしさ」と店主は話す。
『酒肴場 屯〜TAMURO〜』店舗詳細
『はるちゃんラーメン』じんわり染みる中華そばのあっさりまろやかスープ
サラリーマンの街・新橋のなかでもディープな優良店がひしめく新橋駅前ビル。その1階に『はるちゃんラーメン』がある。木の温もりが感じられる店内は、座っているだけでもほっこりできる。店主のはるちゃんは、「内装は木目を基調、ライトは暖色系にしてリラックス感を演出しています。お客さまには肩肘張らずに、少しいいものを召し上がっていただきたいと思っています」と語る。
現在、メニューは中華そばのみ。チャーシューを仕込むときに出る豚肉のだしに煮干しや香味野菜を加えて塩味ベースのあっさりスープ。中太の麺はやや平たく、つるっとした喉越しが心地いい。豚のウデとバラを醤油で煮たチャーシューはどちらも柔らかいが、部位による味わいの違いが楽しい。チャーシューは60g、麺は180gで、平均的に見るとやや量は多め。スープがあふれんばかりに並々にするのは、最後までアツアツを食べてほしいからとか。ミシュランガイド2023ビブグルマン受賞。
『はるちゃんラーメン』店舗詳細
『新橋 纏(まとい)』旨味がギッシリ! 万人に好まれる平子煮干そば
店と店の間の薄暗い路地を入ったところにある『新橋 纏』。客席はL字のカウンター8席のみ。テーブルの下にライトが点灯し明るくておしゃれだ。
メニューは平子煮干しと烏賊干鶏白湯の2本柱。看板メニューの特製平子煮干そばは、万人が食べやすい味を目指し、煮干のほかに昆布やシイタケ、貝類、かつお節を鶏で取ったスープと合わせている。食べてみると、煮干しのインパクトだけではなくて山海の幸が手をつないで駆け寄ってくるよう。それぞれの個性が際立ちつつも口当たりはまろやかで、最後に平子煮干の苦味を感じさせるがそれもイヤじゃない。個性が強いスープだけにストレート細麺では心もとないのではないかと心配したが、程よくコシがあるので食べ応えは十分。さすが三河屋製麺謹製だ。
ほんのりピンクのチャーシューは、しっとりと柔らかくジューシー。薬味はネギじゃなくて三つ葉、やわらかい穂先メンマを選ぶところにも店長のこだわりが垣間見える。
『新橋 纏』店舗詳細
『らぁめんほりうち 新橋店』名店の味を継承。豚と鶏のピュアなスープ
JR新橋駅烏森口から徒歩3分。新橋西口通りに『らぁめんほりうち 新橋店』がある。『らぁめん 満来』ののれん分けを受けて創業したので、今もスープ、チャーシュー、味玉、麺に至るまで『満来』のすべてを継承している。
定番はらぁめん。鶏ガラとトンコツをふんだんに入れて取ったスープは絶品で、淡麗ながら旨味の余韻が舌に広がり味わい深い。シンプルな材料で作っているのだが、何層もの味のふくらみがあるあっさりとしながらもじんわり旨味の余韻が口の中に広がる。喉越しのいい中太麺がたっぷりと極上のスープを持ち上げてくれる。
この麺はもちもちなのに中はアルデンテのようなのも特徴。噛むほどに小麦の香りや甘味もする! 厚みがあるチャーシューはとても柔らかく、軽く噛んだだけでもホロっと崩れてしまう。
シンプルなのにこの極上ラーメンが早朝から未明まで食べられるのもうれしいところ。朝食らしく納豆をのせた納豆らぁめん920円もおすすめだ。
『らぁめんほりうち 新橋店』店舗詳細
『らーめん 谷瀬家』絶え間なく進化し続ける家系ラーメン
JR新橋駅から徒歩4分、烏森通り沿いに店を構える新進の家系ラーメン『らーめん 谷瀬家』。日夜、行列が絶えない繁盛店だ。ガッツリ濃厚な家系ラーメンは男性人気が根強いが、男性に交じって女性の一人客も並んでいる。
豚骨醤油ベースの濃厚ならーめん700円は、家系特有のスープの濃さやコッテリ感が強すぎることなく、誰もが食べやすいのが特長。麺の硬さ・スープの味の濃さ・油の量の好みを伝えて席に着く。サービスのご飯も一緒に注文するのがベストだ。
この店のスープはご飯に合うようにつくられているそうで、ご飯をスープにひたして食べたり、ご飯に卓上の調味料を加えたりして、自由に味変を楽しみながら食べるのが「谷瀬家の喰らい方の極意」。卓上には黒コショウ、おろしニンニクと無臭ニンニク、一味の醤油漬けがあり、豆板醬と生姜は店員さんに頼むと出してくれる。ラーメンがおいしいだけでなく、自分好みにアレンジしながら食べるのも楽しい。
『らーめん 谷瀬家』店舗詳細
『横濱 本丸亭 新橋店』鶏や焼きあごで丁寧に炊いたスープが自慢
2000年に神奈川県厚木市で開業した『本丸亭』創業者の金丸透さん亡き後、2人の弟子が継承。そのひとりが『横濱 本丸亭』代表の佐藤靖さん。常連だった佐藤さんは脱サラして弟子入りし、金丸さんから教えを受けた。2022年5月9日にオープンした新橋店の橋本店長も古くからの常連と、継承者たちが名店の味を守り続ける。
看板メニューは本丸塩らー麺900円。鶏や豚などの旨味に高級食材の焼きあごなど和風だしが香る、淡麗ながら旨味あふれるスープ。旨さの秘訣はモミジの爪を切り、ゲンコツをタワシで磨くなど丁寧な仕込み。合わせる麺は国産小麦100%の自家製平打ち縮れ麺。噛むごとに麺の旨味が増す。
注文ごとに自家製の皮で包むワンタンは、欠かせないトッピングだ。ラーメン店に珍しい生の春菊の風味が、スープの旨味を引き上げる。名店の変わらぬ味が新橋で楽しめる。
『横濱 本丸亭 新橋店』店舗詳細
『麺屋 周郷(すごう)』具材のひとつひとつまでこだわるつけ麺専門店
JR新橋駅烏森口から徒歩3分ほどにあるつけ麺専門店『麺屋 周郷』。前身は小岩にあった「麺屋 寿」だ。具のひとつひとつにまで徹底的にこだわりたいという店主の思いから、メニューをつけ麺1本に絞っている。
麺は福岡県産小麦100%の中太麺。箸で口元に持ってくるだけで小麦の香りをふわっと感じ、するんっとした喉越しだ。スープは濃厚でクリーミーな舌触りと甘み。そしてあとから追ってくる魚介の旨味。とろりとしたスープにストレート麺がいい感じに絡む。
別皿に盛られたチャーシューは醤油ダレに漬け込んだバラ焼豚、女性に一番人気のしっとり鶏チャーシュー、時間をかけて冷燻した肩ロースの3種類。自家製メンマは2種類で、タケノコの姫皮の部分を白だしで味付けした筍ゆばはすっきりした味わいで箸休めにちょうどいい。オーソドックスなメンマもとても上品な味付けだ。
最後に出されるのが“特製の〆”。スープ割りに具が付くのだ。仕上げにさらさらっとご飯が食べられる感覚で、スープを一滴も残さずに飲み干せてしまう。
『麺屋 周郷』店舗詳細
『麺処 銀笹』オリジナルの鯛飯茶漬けが楽しめるラーメンの名店
新橋から銀座方面に歩いていく途中、蓬莱橋付近の路地裏にひっそりと佇む『麺処 銀笹』。麺処でありながら、看板商品は鯛飯茶漬けだ。
店主は鯛茶漬けの名店をはじめ、日本料理店で18年間修業を積んだ和の達人。鯛の骨をすべて取り除くなど手間を惜しまず丁寧に仕込む。
麺類はラーメンかつけ麺、味は塩か白醤油の2択。オリジナルの鯛飯茶漬けを楽しみたいのなら、塩ラーメン850円と半鯛飯220円を注文するのがおすすめ。
鯛飯が売りだが、ラーメンのスープは鯛出汁というわけではなく、動物系と魚介系のダブルスープ。まずは魚介出汁の効いたラーメンをいただき、鯛飯をひと口。続いて鯛飯にスープをかけてお茶漬けにしていただく。
鯛飯に合うように考えられたラーメンは味のバランスが絶妙で、お茶漬けにするとスープはまた違った味わいになる。
ラーメン丼はお茶碗にスープを注ぎやすいように片口になっている。そんな店主のこだわりや配慮が至るところに見られる一流料理人のラーメン店だ。
『麺処 銀笹』店舗詳細
取材・文・撮影=丸山美紀(アート・サプライ)、パンチ広沢、コバヤシヒロミ、大熊美智代