立石おでんブームの火付け役『おでん丸忠』
立石に住む人々の間で「おでん」といえば、知らない人はいない『丸忠蒲鉾店』。その隣で営業を行う『おでん丸忠』は、『丸忠蒲鉾店』で販売しているおでん種を酒と一緒にいただくことができる居酒屋だ。40種以上あるおでんメニューは、大根や玉子などの定番から、トマトや海苔といった変わり種まで、幅広いラインナップがそろう。この店の出汁は、「昆布とかつお節で取っただけ」という、あっさりした味わいが特長。その出汁がしっかりと染みたおでん種は、酒との相性も抜群だ。ビールや酎ハイのほか、この店のおでんと相性のよい辛口の日本酒と一緒に味わってみてほしい。
『おでん丸忠』店舗詳細
立石で55年以上愛される飲んべえの関所『江戸っ子』
昭和38年創業の『江戸っ子』は、いい飲み屋が多い立石でも「立石三大もつ焼き」に数えられる名店。立石で半世紀以上愛されるこの店の名物は、看板メニューでもある串焼きだ。タン・ハツ・レバーなどおよそ10種類の部位と、塩・タレ・辛タレの3種類の味付けから選べる串焼きは、大きめのカットで食べ応え満点。それを特製のハイボールと一緒に味わえば、気分はまるで飲み歩きの達人だ。この店のハイボールは、ウイスキーではなく焼酎ベースで、秘伝のエキスとのど越し抜群の炭酸をプラスすることで、ここでしか飲めない一杯に仕上がっている。氷が入っていない分、いつまでもアルコールが一定なところも、酒好きにはたまらない。
『江戸っ子』店舗詳細
住宅地に現れる“酒飲みたちのオアシス”『四ツ木製麺所』
“せんべろの街”立石の魅力は、駅前周辺だけじゃない。駅から少し離れた場所にも、わざわざ足を延ばしてまで訪れたい名店がある。その一つが『四ツ木製麺所』だ。隣町の四ツ木で長らく営んでいた製麺所にルーツを持つため、この店の名物はうどんが中心。しかし、平日夜と土日の営業時間は、お酒に合うおつまみメニューも提供され、平日昼の時間帯とは一転、居酒屋へと姿を変える。フライに天ぷらといった揚げ物や刺身など、うどんと負けず劣らず実力派の一品がそろう。もちろん名物のうどんもいただくことができるので、シメの一杯にこちらも味わっていただきたい。
『四ツ木製麺所』店舗詳細
ピンク色の外観が目印『たみちゃん』
立石仲見世商店街の中で、ひと際目を引く外観の店がある。ピンク色に包まれたその店の名は『たみちゃん』。優しい笑顔で客を迎える姿が印象的な店主・渡辺民子さんの愛称が店名のゆえんだ。カウンターの上には、大皿に盛られたたくさんの料理。人気メニューだというポテトサラダをはじめ、焼き魚や煮ものなど家庭的な料理がそろう。創業以来、女性が一人でも入りやすい店を目指して営業を続けてきた。そんなたゆまぬ努力が実を結び、今では多くの女性客にも愛される居酒屋に。まるで“立石のお母さん”のような温かさと包容力を持つ店主の人柄も、人気の理由なのだろう。
『たみちゃん』店舗詳細
立石でクラフトビールが飲みたくなったらココ『abbina』
昭和の面影が色濃く残るこのエリアにおよそ3年前、クラフトビールという新風をもたらした『abbina』。淡いサーモンピンクの壁に囲まれた店内は、随所に店主のセンスが光る。カウンターには6種類のタップ。国内外のさまざまなブルワリーから取り寄せた、ホップの苦味が効いたものから、フルーティーな味わいのものまでバランスよくそろう。銘柄は、およそ1~2週間に一度の周期で入れ替わるため、訪れるたびに新しい出会いが楽しめる。料理も、ビールに合うこだわりのメニューが目白押し。立石にある酒場の中では珍しく落ち着いた雰囲気が味わえるため、ひとり客にも人気だという。
『abbina』店舗詳細
立石の路地裏で“ホームパーティー”『LABURI』
かつて、京成押上線の線路沿いで10年以上営業を続けた店『ABURI』が、京成線の連続立体交差事業により移転し、2018年に『LABURI』としてリニューアルオープンを行った。店のコンセプトなどはABURI時代と大きく変わることになったが、他店で目にすることの少ないアルコールメニューがそろう酒の豊富さと、かねてより人気の「生のりスープパスタ」といったメニューは今も健在だ。そんな同店の新しいコンセプトは“ホームパーティー”。店内の空間づくりから料理にいたるまで、ホームパーティー気分を楽しめる仕掛けが満載。おもてなしの名手が集うこの店で、特別なひと時を楽しんでみてはいかがだろう。
『LABURI』店舗詳細
地元に愛される小粋な居酒屋『かまとと』
鎌形さん夫妻が営む魚(=とと)の店だから、かまとと。日本酒に力を入れている店だが、おすすめはさっぱりとした辛味と甘酸っぱさが癖になる、鮮やかなピンクのガリハイ。寿司の相棒といえばガリ。刺し身、天ぷらなどの旬魚料理と合わないわけがない。「千住の市場でその日に買い付けてくるから、魚介の鮮度は折り紙つきだよ」と店主・鎌形浩一さん。そんな魚料理と並ぶこの店の名物「紙とんかつ」は、ビールとの相性抜群。ごく薄い豚肉にバリッとした衣。汁気がないのでザクザク感は失われず、冷えたら冷えたでまたうまい。軽くまぶされた青のりは、下町っぽくも上品さを感じさせるこの店ならではの特徴だ。
『かまとと』店舗詳細
【番外編!】SWEET BITTERS COFFEE(青木コーヒー)
酒場地帯の“コーヒー共和国”
中学時代からミルで挽いたコーヒーを淹れていた青木正憲さんが、「立石にない夜のコーヒー屋を」と開店。昼間のメニューはなく、青木さんが焙煎するアレンジコーヒーが主役。コーヒー酎はブラジルのピーベリー種を深煎りし、プレスで抽出して甘みを引き出し、岐阜産の焼酎で割る看板だ。つまみは持ち込み自由で、夜更けほどにぎわう。
『SWEET BITTERS COFFEE(青木コーヒー)』店舗詳細
構成=柿崎真英 取材・文=柿崎真英、石原たきび・臺代裕夢・戸田恭子・野田りえ・平野貴大(風来堂)、かつとんたろう、松井一恵(teamまめ) 撮影=柿崎真英、丸毛 透、オカダタカオ、高野尚人、小野広幸