こだわりのクラフトビールと落ち着いた雰囲気を味わいたいときに

京成立石駅から昭和情緒あふれる商店街を背に、北口方面へと真っすぐ歩くと、これまで抱いていた立石のイメージとは異なる雰囲気を持つ店の看板が見えてくる。その店はビルの2F。まず地上から大きな窓越しに店内の雰囲気をうかがう。期待と少々の不安を胸に、吸い込まれるように階段を上って行くと……。

店のドアを開けてまず目に飛び込んできたのは、オープンキッチンに向かい合うように配置されたカウンター席と、招き猫代わりのサーベルタイガー。淡いサーモンピンクの壁に囲まれた店内には、メニューが記された黒板のほかに、世界地図や店主の私物である蔵書・LPレコードなどが飾られており、どこか友人宅に遊びに来たような居心地のよさを感じる。もつ焼きやおでんなど、和なラインナップの飲食店が多い立石では珍しいクラフトビールのこの店は、ゆっくりとした時間を過ごす方が多いというのもうなずける。

近所に住むご夫婦の常連さん。
チーズテリーヌ800円。

カウンターには6種類のタップ。店主の若松さんによると、クラフトビールは常時6種類を取りそろえているが、樽が空になったところで、別の銘柄のクラフトビールに入れ替えを行っているとのこと。およそ1~2週間に1度の周期で、ほとんどの種類が入れ替わるという。ラインナップは、国内外のさまざまなブルワリーから取り寄せた、ホップの苦味が効いたものから、フルーティーな味わいのものまで、バランスよくそろう。ちょっぴり通ぶって、タップ番号での注文も可能だそうだ。

ビールはS・M・Lからサイズを選べる。900円~ 。

こだわりのビールとともに、若松さんがおすすめしてくれた料理は、ブッラータチーズにトマトとバジルのソースが添えられた前菜 と、スペイン産のハモン・イベリコ。ハモン・イベリコは、目の前で原木から一枚一枚スライスしてくれ、その器用な手仕事すらパフォーマンスの一つとして楽しめる。

週末数量限定 メニューのブッラータ1200円。
生ハム1200円。

長らく会社員として働いていた若松さん。その頃から、近所にクラフトビールが飲める場所がほしいと思っており、地元である立石でこの店を開いたという。2016年のオープン以降、地元の方々を中心にお客さんが増え、今では外国人旅行者も多く来店するように。成田空港から電車1本でアクセスできる場所柄、立石を訪れる外国人は増えているのだそう。店内に飾られた世界地図は、そんな外国人客とのコミュニケーションツールとして使用されていたようだ。来店された海外のお客さんの名前が書かれたポストイットが、彼らの出身地にあたる場所にピン留めされている。

この店を訪れる外国人の母国はさまざま。

また、常連さんからは「女性の一人客も多い」という情報が。若松さんとの会話を楽しみに来店するお客さんも多いのだそう。筆者も女性だが、時間が経つごとに帰りたくない気持ちになる居心地のよさを感じていたため、この情報には納得。一人で来店しても、居合わせたお客さん同士で盛り上がる展開もしばしばあるそうで、そこは“立石らしさ”といえるのかもしれない。

落ち着いた雰囲気と、下町らしい気さくさを併せ持つ『abbina』。そこは一見、立石らしくない印象でありながらも、実は立石のよさをしっかりと継承している店だった。

『abbina』店舗詳細

住所:東京都葛飾区立石4-27-9 水谷ビル2F/営業時間:18:00~翌0:30LO/定休日:月/アクセス:京成電鉄押上線京成立石駅から徒歩2分

取材・文・撮影=柿崎真英