テイクアウトでいただく亀有のソウルフード。『吉田パン 亀有本店』[亀有 ]
次々と押し寄せる注文に笑顔で応えながら、スピーディに具を挟んでいく。そのライブ感に、誰もが釘付け。この店の元祖は、盛岡人がソウルフードと胸を張る 『福田パン』 だ。代表の吉田知史さんは義弟にすすめられ、コッペのあんバターを口にした。「もうびっくり。この味を自分も届けたいと思ったんです」
福田パンで一から教えを乞い、店を構えたのは2013年。以来、亀有の人とともに、試行錯誤しながら下町の味へと作り変えてきた。売り切れ御免の揚げ物系は精肉店製、みずみずしい野菜は八百屋仕入れ、そぼろレンコンはそば屋さんの 「そぼろ、合うから作ってみてよ」 の言葉で商品化。この味を求め、遠方から訪れる人が絶えない。
『吉田パン 亀有本店』店舗詳細
シンプルにコッペの真髄を味わう。『珈琲アロマ』[浅草]
コの字カウンターの喫茶店には、創業時からホットドッグがメニューに載っている。『ペリカン』製のコッペパンに、千切りキャベツ、ソーセージをイン。トースターで10分焼き上げた熱々は、パリっとした歯触り。ソーセージだけにかけた黒コショウがジューシーな肉汁を引き締め、後からまろやかさとパンの甘みに包まれる。「焼いといて!って電話してくる常連もいますよ」と店主の藤森甚一さん。あぁ、もう1つ食べたくなる。
『珈琲アロマ』店舗詳細
“ひと工夫”が生んだ豊富なメニュー。『サンドウイッチパーラー まつむら』[水天宮前]
大正10年(1921)の創業以来、界隈の住民や働く人々に絶大な支持を受ける「町のパン屋さん」の王者。階上にある工場で焼きあがったパンが順に並ぶ店内は壮観だ。50種近い調理パンは、店舗脇の厨房で次々作られ、毎日300個以上出るという。今も変わらず街の味を守り続けている。
『サンドウイッチパーラー まつむら』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、高野ひろし 撮影=オカダタカオ、金井塚太郎