わにくん(『ヨシナカブレッド』)
全身細やかなトゲトゲに妥協ナシ!
龍や恐竜に間違えられることもある、35年ほど前から生息する人気者。ハサミを細かく入れて作られる全身のトゲトゲは、ちくっと刺さりそうな要注意生物だ。だが、愛嬌のあるぎょろ目はチョコレートとクッキー生地で、体長約22㎝のふっくらしたパン生地の中には細く割った板チョコがイン。パキッとしつつも少しとろけた食感がいい塩梅。
『ヨシナカブレッド』[武蔵小山]
1953年創業、旧屋号は「ヨシナカベーカリー」。2022年、2号店も開店。
チョコラ(『マルヤスベーカリー』)
チョコまみれにもほどがある
コッペパンの表面もクルクル絞ったバタークリームもすべて隠れるほどチョコまみれ。垂れて広がり固まったチョコもそのまんまとは豪快!溶かしたチョコにドプンとくぐらせ、冷やすのがポイントだ。初めはこれほどではなかったが「はみ出たチョコの“耳”がうれしい」との声から拍車がかかったとか。チョコのパリパリ感と重量級の甘さがたまらない。
『マルヤスベーカリー』[京成小岩]
創業50年以上。現在は母と息子夫婦で営む。食パンやシベリアも美味。
なかよしコンビ(『サンドウィッチパーラーまつむら』)
相性もばっちりのツートンカラー
6枚切りの食パンにあんことピーナツクリームが仲よく半分こ。隅々まできれいに均一に塗られている。
「40年くらい前からあるかな。母親の思いつきで、あんバターをちょっと変えてみようって」と4代目店主。塗りやすいようガムシロップで緩めたあんこはパンとのなじみがよく、コクあるピーナツクリームと相性バツグン。その境目は至福の味わいだ!
『サンドウィッチパーラー まつむら』[水天宮前]
大正10年(1921)創業。サンド以外のパンも豊富で、喫茶室も併設。
チョコバルーン(『成城パン』)
えっ!?アイスじゃないの?
全長17㎝の大きさといい見た目といい、アイスクリームかと見まごう完璧さ。アイス好きの店主がふとひらめき商品化して30年以上経つロングセラーだ。チョコクリームを包んだパン生地を本物のコーンに差し込んでドッキング。焼き上がりに溶かしたチョコを塗り、カラフルなチョコスプレーでデコレート。昭和っぽい愛らしさに大人もときめく。
『成城パン』[成城学園前]
創業は昭和4年(1929)。チーズドッグの味が3種類もあるのは感激。
フルーツロック(『キャプテン』)
キラキラ輝くフルーツバスケット
二方のふちの角をくるんとねじって焼き上げる、しっとり食べやすいデニッシュ生地。赤いつややかなドレンチェリーをミカン、瀬戸内産のネーブルオレンジ、リンゴがゴロゴロと取り囲む。そのさまはまるで果物の宝石箱! 使用する果物はその時々で変わることもあるが、クリームなどは入れないので果実の甘み、酸味がシンプルに味わえる。
『キャプテン』[中村橋]
1979年創業。ぶどうパンが人気。毎週水曜は特売日で全品割引に!
パン三兄弟(『ポエシー』)
見て、比べて、食べてたのしい“きょうだい”に注目だ!
町パンアートを探して気づいたのは、三色パンのバラエティーと2連コロネの意外な多さ。三色パンの中身はこしあん、イチゴジャム、カスタードが多く、本記事の4品とも同内容。だが、見比べると房の形状も上に付けるものも異なる。こしあん=ケシの実、でもないらしい。
また、2連コロネは口の向きに個性あり。バタークリーム&チョコの『成城パン』の口は同じ向きだが、カスタードとチョコの『サンドウィッチパーラーまつむら』は口が逆向き。
番外編は『キャプテン』のダブルウインナーで辛党さんにおすすめ。ウインナーは1本を縦切りして使うがこのボリューム感はうれしい。
『ポエシー』[三ノ輪橋]
創業44年ほど。クッキーなども自家製。閉店間際はお買い得品あり。
取材・文・撮影(店舗外観)=下里康子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2023年2月号より