南インドのカレーをベースにした一皿。『かりい食堂』
高円寺在住歴20年の店主が営む『かりい食堂』は、間借り期間を含め5年近くこの街で愛されるカレー店だ。そんなこの店で味わえるのは、増川さんが改良に改良を重ねた看板メニューのカーリーチキンカリーと月替わりのカレー。ホールやパウダーなど、20種類のスパイスを独自にブレンドし、3段階のスパイス使いによって作られたチキンカリーは、一口食べただけでスパイスの衝撃をダイレクトに感じられる。月替わりのカレーには、増川さんが追求する「ここではないどこかへトリップできるカレー」の真髄を表現。メキシコや日本の代表料理や食材を融合し、旅気分を味わえるような一皿を作り上げている。
『かりい食堂』店舗詳細
自家製クラフトビール×本格カレーの贅沢コンビ。『アンドビール』
高円寺と阿佐ケ谷の中間となる場所で営業を行う『アンドビール』は、夫婦で営むブルーパブ。すぐそばのブルワリーで造られるクラフトビールとともに、カレーなどのスパイシーフードが楽しめる。フードを担当するのは、夫の安藤耕史さん。インド亜大陸のカレーをベースにしたカレーを3~4種類ほぼ全て日替わりで提供している。レパートリー考案のもととなるのは、学生時代からの趣味である旅を通して訪れた国々で味わってきた名物料理や郷土料理だという。そんな安藤さんが作るカレーは、基本的にどれもスパイシーながら、それぞれの食材の風味を活かした味わいとなっている。
『アンドビール』店舗詳細
日本人の嗜好に合わせたカレーを追求。『大江カレー』
高南通りの路地裏に2019年にオープンした『大江カレー』。スパイスを駆使しながらも、あくまで日本人が食べなれた味わいのカレーを追求する新進気鋭のカレー店だ。店内は、店主の大江健太郎さんが毎年通うほど好きだという沖縄の海を感じさせる空間となっている。そんなこの店でいただけるのは、鶏肉、野菜、魚介のカレー3種。その中から1種または2種から選ぶスタイルで提供している。仕上げのパウダースパイスは、それぞれ個性の異なるカレーに合わせて配合。仕上げに加えることで、スパイスの香りが最高潮に達した状態で提供できるのだという。
『大江カレー』店舗詳細
埼玉の人気カレー店の味を東京でも!『negombo33高円寺』
埼玉県所沢市に本店を構える『negombo33』の姉妹店が2018年に高円寺に進出。その後、川越と新宿にも出店を果たしている。高円寺店のカレーメニューは、本店で長らく愛され続けているオリジナルのラムキーマカレーとポークビンダルーの2種類が基本。タイミングによって、川越店限定メニューのさつまいもを使ったカレーなど、期間限定のカレーメニューが追加されることもあるという。通常メニューとなる2つのカレーは、オーナーの山田孝二さんがこだわり抜いた食材や製法を踏襲して作られているため、高円寺店でも本店と変わらない味を楽しめる。
『negombo33 高円寺』店舗詳細
“香りを食べる”新感覚のカレー。『スパイスカレー青藍』
近年人気が高まっているスパイスカレーだが、この店のそれは多くの人がイメージするものとはひと味違う。間借りカレー店の営業を経て、2017年にオープンした『スパイスカレー青藍』が提供するスパイスカレーは、まるで香りそのものを味わっているかのような新鮮な香りが特徴である。オーダーごとにオリジナル配合のホールスパイスを炒めて仕上げるスパイシーチキンカレーZ定食は、その感覚を最も体感できる一品であり、この店の看板メニューだ。まわりに添えられた色とりどりの野菜惣菜にも、味わいや食感、栄養のバランスを追求した。
『スパイスカレー青藍』店舗詳細
本格派のビリヤニを数多く揃える。『ERICK SOUTH 高円寺カレー&ビリヤニセンター』
都内をはじめ、全国に複数の系列店を擁する『ERICK SOUTH』。高円寺店の特徴は、店名にも表れているとおりビリヤニのバリエーションが豊富なことだ。本場の南インド料理をベースに構成されているメニューは、ビリヤニ以外にもカレーから前菜などのサイドメニューまで幅広く揃う。それらをワンプレートで楽しむことができるバラエティプレートは人気のメニュー。ビリヤニをメインに食べたい時は、古典的な製法を用いて作られるハイデラバーディクラシックシリーズがおすすめだ。本場インドでも珍しいという、オーダーを受けてから一人前ずつ炊き上げて作るビリヤニは、食べる価値ありだろう。
『ERICK SOUTH 高円寺カレー&ビリヤニセンター』店舗詳細
お酒とスパイス料理の〆カレー!『ピピネラ』
「何だこれは? 味がどんどん変化する!」と、初めて食べたスリランカのカレーに開眼した店主のタケイ・E・サカエさん。それは、スリランカのミックススパイス「トゥナパハ」を使ったシンプルな料理の数々を、食べる人が皿の上で混ぜて味が無限大に広がる世界だった。何を隠そう、飲食業とは無縁のイラストレーター。約10年前、知人のバーを手伝って以降、カレーを作る喜びに目覚めた。開店する前はヤドカリで、「さすらいのカレーマダム」と呼ばれたほどだ。自店を構えたが、毎年本場でホームステイして家庭料理を習い、食材を背負って帰る。
『ピピネラ』店舗詳細
野菜の旬をてんこ盛り。『妄想インドカレー ネグラ』
「インドは未踏だけれど、架空のインドカレーを作ろう」。飲食の仕事をしてきた大澤思朗さんが、友人で絵描きの苦虫ツヨシさんと妄想した時、方程式皆無、自由に自己表現できるカレーに心を奪われた。すぐに、パートナーの近藤麻衣子さんと、「イベントに合う特別カレー作ります」を掲げて無店舗で開業。奇天烈なライブには奇天烈なカレーをと、次々に新カレーを考案する中、旬の野菜のおいしさを存分に引き出す、スパイス最小限の独自のカレーに行き着いた。昼と夜でも内容が変わるゆえメニューはない。まずは口頭で説明される今日の皿を妄想してみよう。
『妄想インドカレー ネグラ』店舗詳細
メタラー集う食堂のだじゃれカレー。『高円寺メタルめし』
ヘヴィメタルのバンド名や曲名を延々つぶやき生み出すメニューは、すべてだじゃれ。炭水化物と肉が多めの洋食揃いだ。「これは、NoGoDの『絶頂マスカレード』から」と、店主で料理勉強家のヤスナリオさんが、ニヤリ。土鍋炊きの白飯に、ひき肉とタマネギ、そこにルーをかけ、生卵を埋め、チーズをのせて焼く。ジョニーのクリームソーダ600円と、熱い辛い、冷たい甘い、熱い辛い…で、さらに絶頂へ。
『高円寺メタルめし』店舗詳細
創業59年になる町中華の裏名物。『七面鳥』
カラリと揚がった豚カツと型抜きの白飯に、いかにも辛そうなルーがしみる。ふやけゆく衣もいとおしく、具の一つに数えたいほどだ。「カレーは自己流。何がウケているのか不思議です」と、店主・矢野根惇(あつし)さんは謙遜する。が、濃厚かつ水を乞う辛さに汗が噴き、紅生姜とスープに救われながらもスプーンが止まらない。カレーライスとカツライスが合体し、定番になったが、未だ壁の品書きに見当たらず。
『七面鳥』店舗詳細
飲んべえに効く"妙飯"は野菜がたくさん。『高円寺 舌笑(ごち)』
「さらりとライトにいけるように」と、店主の野口葉月さんは巷で流行っていたスープカレーを野菜主役で完成させた。圧力鍋で取る鶏手羽元のスープに、スパイスはシンプルに数種類。10品の野菜と厚揚げの具は、器の底までぎっしりだ。仕上げの際、店内にいい香りが漂い、注文は伝染。日本酒はカレーに不思議となじむ栗駒山1合900円を。口に含むと辛味が円くなる。
『高円寺 舌笑(ごち)』店舗詳細
沖縄酒場の苦辛~い不動のまかない。『抱瓶』
開店から40年以上という沖縄居酒屋の、お食事メニューの一番下に発見! 豚肉、タマネギ、ニンジン、那覇牧志公設市場から届くゴーヤをどっさり入れ、煮込みの最後にざく切りのトマトを投入する。「沖縄産ならではの深い苦みがいいんです」と、スタッフの灰タローさん(写真中央)。苦みと辛いルーがチャンプルーする口中は、泡盛で流すべし。歯ごたえが残るゴーヤだけを箸でつまめば、アテにもなる。
『抱瓶』店舗詳細
取材・文=松井一恵(teamまめ)、柿崎真英 撮影=井原淳一、柿崎真英