約1500アイテムが揃う、いぐさ香る『銀座熊本館』
銀座熊本館は、有楽町のアンテナショップエリア創世期にできた店だ。棚には所狭しと物産品が並び、約1500アイテムが揃う。2021年には2階の飲食スペースがリニューアルオープンし、代表的な農産物“いぐさ”をふんだんに使った内装にパワーアップした。お話を聞くために2階へ上がったら、いぐさの香りに包まれ思わず深呼吸してしまった。
今回は1階の物販スペースをメインに案内してもらう。対応してくれたのは、『熊本銀座館』の濵田さん。
東京に来てまだ数年、28年以上熊本を出たことがなかったため、文化の違いに驚くことも多いという。住んでみて分かったのは、熊本と東京は意外に近いこと。
「九州へは飛行機で1時間半だから、新幹線で大阪へ行くのと大きく変わりません。みなさんに熊本県ならではのいいもの、おいしいものを知ってもらって、ぜひ現地にも遊びに来ていただきたいです」と話す。
濱田さん:「陣太鼓は、開くと太鼓のような形をした代表的な銘菓です。秘伝の蜜で炊き上げた餡が求肥を包んでいて、ナイフで切りながらいただきます」
老若男女に人気のお菓子が大集合。黒糖ドーナツ棒なども揃っていて、個包装の1つから買えるものが多いのは嬉しい。
濱田さん:「アベックラーメンは飲食店で食べるような特別な味ではないですが、県民のソウルフードです。私は土曜日のお昼によく食べてました」
おなじみのアベックラーメンのパッケージには、くまモンが。
濱田さん:「太平燕(タイピーエン)は外でも家でも食べる味です。学校の給食にもでます。最近はインスタントの商品も増えましたね」
太平燕といえば鶏ガラや豚骨の中華スープのイメージだったが、いろんな味があるようだ。そしてまたしてもパッケージにくまモンがいる。熊本のドンなのか。
濱田さん:「お酒がお好きと聞いたのですが、熊本県は馬肉も名産です。馬刺しはもちろん、温めるだけで食べられる馬すじの煮込みや、馬ホルモンの味噌煮込みのレトルトもあります」
おすすめしてくれたのは九州の味を担うフンドーダイの味噌煮込み。焼酎や日本酒が有名な熊本県だけにお酒にあいそうなもの多いなぁ。
その流れで焼酎や日本酒のコーナーを案内してもらう。
濱田さん:「熊本はお米も名産のひとつで、日本酒もおいしいんです。加えて、お米から作られる球磨焼酎もあり、ここでは全27の蔵元の球磨焼酎が揃っています」
高級酒から、初心者にも飲みやすい商品までバリエーション豊か。迷ったらスタッフに相談するか、2階の飲み比べセットでぜひ試してみるのもいいだろう。
焼酎コーナーの隣に、あった赤酒だ!しかも何種類も揃っている。購入せずにはいられなかったので、詳細は後ほど紹介しよう。
濱田さん:「いきなり団子はおやつによく食べます。冷凍で日持ちするので、当店ではまとめ買いされる方も多いですね。レジ横では温かいいきなり団子もお買い求めいただけます」
レジ横にいきなり団子がホカホカしているではないか。コンビニの肉まんのように並べられ、私の方をみている。(気がする)
「ひとつください」というのを堪えて、1000円セットに加えるべく冷凍を購入した。
さて、そのほか購入したものは……?
私の熊本県1000円セット
南関あげ…192円
豆腐の味噌漬け(ミニ)…432円
ソフトカップくまモン…252円
いきなり団子…146円
4つも購入したうち、3つもくまモンがいる熊本セットの完成!
創業250年以上の通潤酒造のカップ酒に、豆腐の味噌漬けと、南関あげのしらすピザをつまみに。
豆腐の味噌漬けは、水分量が少なくチーズのような食感。味噌と豆腐のコクと旨みがギュッと凝縮されていて、すっきりとした淡麗辛口の日本酒によくあう。
南関あげは熊本県南関町に古くからある伝統食。通常の揚げ豆腐より水分量を減らして揚げるので、出汁がしみこみやすく、いなり寿司の油揚げや煮物にもぴったり。常温で約3ヶ月もつのも特徴だ。
濱田さんが「チーズをのせてピザみたいにして食べるのがお気に入り」と言っていたから、アレンジしてしらすピザにしてみた。サクッと軽くて風味豊か。油揚げをピザ風にするときよりスナックっぽさがある。
デザートがわりに温めたいきなり団子を。芋とあんこの素朴な甘さをむっちりした皮が包みこんでいて、癒やされる。まとめ買いしたくなる気持ち、めちゃくちゃわかる。特に寒い時期は必須な気がしてくるのだ。
1000円オーバー!我慢できなかった追加購入品
冷凍庫に並んでいたおつまみたちを見て我慢できず、1000円セット以外にも追加購入。
毎日、店では冷蔵のからし蓮根が入荷するが、今回選んだのは一口サイズにした冷凍商品。電子レンジで温めるだけでも十分おいしいが、フライパンで軽く焼くと香ばしくなっていい。ほろ酔いで。からしのツンとした辛さに思わず笑ってしまうくらいご機嫌になっている。
馬刺しユッケは、冷凍パックを流水で7分さらすだけで解凍が完了する。卵黄をのせれば、もう今日の幸福は決まったも同然。「わ〜っ」と独り言を言いながらかき混ぜて、お酒をクピリといただく。気がつくと「焼酎も買っておけばよかった!」と少し後悔するほど進んだ。
赤酒は熊本県を中心に伝わる甘いお酒。普段はみりんのように調味料として使い、お正月にはお屠蘇として飲むのだという。古くは灰持酒(あくもちざけ)と呼ばれ、清酒と同様に、発酵と糖化を並行しておこなった“もろみ”に木灰を入れる伝統的な製造方法で作られている。
味見してみると、みりんよりも甘さ控えめで後味がすっきりしている。実家のお屠蘇は日本酒だったので、子どものころ「お屠蘇ってまずいなぁ」と思っていたけど、赤酒ならするりと飲めたかもしれない。
アンテナショップで他県の風習を知る
高知県では紙の門松を飾るし、石川県では紅白の鏡餅が習わし。各地には色んなお正月の迎え方があり、それを見つけるためにアンテナショップを訪ねるのもきっと楽しい。買って帰って、違った地域の風習を体験してみるのもいいだろう。