竹林を望む風雅な露天風呂。夜はライトアップも
最寄り駅となる西大宮駅は、2009年3月に開業した比較的新しい駅。『さいたま清河寺温泉』に向かう道に点在するスーパーや企業の建物、住宅もまだ新しく、郊外の街のフレッシュな息吹きが伝わってくる。駅から歩くこと15分超で『さいたま清河寺温泉』に到着。これから風呂に入ると思えば、ちょうどよい運動かも。
国道216号沿いに立つ建物は和の趣があり、日本旅館のような落ち着いた雰囲気を漂わせる。ここではまず、さいたま市景観賞を受賞した竹林を望む露天風呂に向かおう。露天エリアは、男女合わせて約170坪という広さがある。東屋を配し和の植栽を施した庭園風の造りで、塀越しに望む竹林は風情があり、里山の温泉宿を想像させる。竹林が風に揺れ、葉ずれの音が耳に届くと極上のBGMとなり、ライトアップされる夜も幻想的な景観を見せてくれる。この景観が『さいたま清河寺温泉』の自慢の一つ。
本物の温泉を心ゆくまで楽しめる源泉風呂
もう一つの自慢が敷地内の地下約1500mから湧出する毎分480ℓという豊富な源泉。この源泉をそのまま楽しめるのが露天エリアにある生源泉湯。加温、循環ろ過、塩素消毒なしの文字どおりの源泉かけ流し風呂だ。
pH7.9の弱アルカリ性のナトリウム-塩化物泉の湯は、少しヌルヌルするような肌触りが特徴。クレンジング効果があり皮脂の汚れを落としてくれる、いわゆる美肌の湯に属する温泉だ。源泉温度は38.3℃だが、浴槽に運ばれるまでに少し冷め、37.5℃の風呂になる。ぬる目だがよく温まり、湯上がりは肌がすべすべになる。
源泉あつ湯は、源泉を加温した42~44℃の風呂。入浴するとすぐに体が火照り、額から汗が流れ出す。一段低いところに源泉岩風呂があり、源泉あつ湯から流れてくる湯がここに注がれる。さらに、新たに加温した源泉を注ぐことで、入浴しやすい41℃の風呂になっている。この湯は、寝湯や寝ころび湯へと流れ、かけ流しで浴槽の外に流れ出す。この寝湯と寝ころび湯は、目の前に竹林を眺める特等席。横になってのんびり竹林を眺めていると、心身ともに癒やされていくのがわかる。
支配人の小坂知邦さんは、「本格的な温泉を気軽に楽しめるよう、惜しみなく源泉を使っています」と話す。その言葉を裏付けるように源泉風呂が多い。感心するのは、それぞれの浴槽に加温、循環ろ過、塩素消毒など、源泉の利用状況を示す掲示板が設けられていること。
当たり前のことのようだけど、これを実施しているところは少ない。その意味でも好感がもてる施設といえる。
内湯では温泉を使った高濃度炭酸泉とサウナで極上の癒やしを
内湯は大きなガラス窓から露天エリアを望み、高窓や天窓からの採光もあるので明るい。メインの浴槽は源泉を加温した42℃の檜風呂。炭酸が溶け込んだ高濃度炭酸泉になっているので、入浴すると気泡が肌にまとわりつく。温泉と炭酸泉を一緒に楽しめるとは、なんとも贅沢な風呂だ。
このほか、井戸水を使用したアトラクションバスには、リラクゼーションバス、ジェットバス、座マッサージ、シェイプアップバス、スーパージェットバスの5種類があり、浴槽内を移動しながら機能浴を楽しむ人もいる。高温サウナはテレビ付きだから、少し長めに頑張れそうだ。思いっきり汗をかいたら、隣接する冷水風呂でととのおう。
湯上がりは十割そばでお腹を満たし、うたた寝を楽しむ
心ゆくまで源泉風呂を楽しんだら、回廊沿いに設置された湯休み処へ。浴室のすぐ近くにあるので湯上がりの待ち合わせにも便利で、風に吹かれなが休憩できるので心地がよい。お食事処「竹膳」の一角にも休憩スペースがあるので、ビールでも飲みながらひと休みしよう。食事なら「十割そばが好評です」と小坂支配人が薦めてくれた十割そばを。
横になって仮眠をとるなら「うたたね処」へ。階段状になっているのでほかの人を気にせずに休めるし、女性専用スペースがあるのもうれしい配慮だ。
『さいたま清河寺温泉』は、浴室をはじめ、お休み処や食事処もスタンダードな規模だが、源泉風呂が多いのは温泉好きには何よりもうれしい。さらに、里山風情さえ感じさせる竹林の風景が露天風呂に趣を添え、プチ旅気分さえ楽しめる。コストパフォーマンスを考えたら、県内でもトップクラスの“いい日帰り温泉”といえるだろう。
取材・文=塙 広明 写真=さいたま清河寺温泉