「店名にはビートルズの曲名をつけたかったのですが、一番洋食屋らしかったのが『グラス・オニオン』でした」そう話すのは店主の澤田正敏さんだ。
恵比寿で営業していたとんかつ屋を閉じ、この地に洋食屋兼バーとして『Glass Onion』を開いたのが2002年。修行時代から作っていたというオムライスが話題となり、今はオムライスの有名店だ。同時に、その店名とゆったりした雰囲気から、ビートルズ好きにも知られる店となっている。
幼少の頃からアメリカンポップスのファンだった澤田さんは、小学6年生のときにラジオから聴こえた音楽に熱狂した。それ以降、今もその音楽の虜となっている。
「最初に聴いたときは本当に衝撃的でした。ロックンロールなのにコーラスもシャウトもする。今でも店が終わった後に大音量で聴いたりしますよ」
ビートルズが日本公演を行なった1966年当時、澤田さんは中学1年生。チケットを手に入れられず悔しがった1人でもある。4人の姿を見られなかった後悔は今も残っているそうで、ジョージやポールがソロライブで来日すると、店を休みにして足を運んだ。
50年以上にわたりビートルズの音楽と歩んできた澤田さんが作った店は、近年若い年代からも人気だという。「若者でもビートルズ好きという人が来てくれて、ファンとしてうれしいことです」と、澤田さんは胸を張る。世田谷の片隅にあるオムライスの名店は、ビートルズ文化を未来につなぐ店でもあるのだ。
取材・文=半澤則吉 撮影=小野広幸