見た目通り、店内は年季の入った天井に壁、コンクリートむき出しの床、酒で磨き抜かれたテーブルが堂々たる面持ちで迎えてくれる。ここの客となった私は、その情調に合わせて酒も日本酒からいただくことに。
銘柄はこの街と同じ『霞が関』。すっきりとした口当たりで、クイクイいけてしまう。酔っぱらう前に、続けて料理をいくつか。
『生ウニ』は、箱にたっぷりと乗せて980円という安さ。巻いて食べる用に海苔が数枚添えられているのもうれしい。安いからといって質が悪いわけがなく、粒はしっかり、ひと口食べればウニの芳醇な風味がトロリと舌にとろける。
店の焼き印が押された『玉子焼き』も必食の逸品。どっしりと、見るからに食いごたえのありそうなビジュアル。そこへ箸を刺して持ち上げると、玉子の甘い湯気がふわり。たまらず食べると、見た目とは対照的に優しい家庭的な味わいに包まれる。
「ふぅ……」
と、国内はもとより、世界を相手に働く官公庁の人々は、きっとこの升本という〝オアシス〟に立ち寄っては、スーツの上着を脱ぎ、ひと時の安らぎと英気を養っているのに違いない。