<散歩コース>
蛇崩川の川跡を「中目黒」駅そばにある目黒川との合流点から世田谷区にある源流まで遡上するように辿ってみます。
■目黒川合流点から三宿通りとの交差点まで
「中目黒」駅からスタートです。駅のすぐそばの山手通り(都道317号線・環状6号線)を渡って東側に目黒川との合流点があります。すっかりオシャレな人気タウンになった中目黒。緑道の始まりもキレイな小路に様変わり。ふたたび中目黒駅に戻るとその脇に細い側道があります。左側に階段状の段差があるところが昔日の川岸を思い起こしてくれます。その先の駐輪場を抜けると線路の高架と交差して右手へ進めば桜並木の緑道が始まります。
 
中目黒駅周辺の目黒川は東京でも有数の桜並木の人気スポットですが、春になれば蛇崩川緑道の桜並木もなかなか見事です。蛇崩川の名前の由来は諸説ありますが、川の流れの名残はまさに蛇がうねるように小さく細かく曲折を多く繰り返します。いかにも”川”であったということが感じられてちょっと面白い。往時の川の様子を思い描けそうです。この先、緑道は昔の橋の跡をいくつも越えて進んでいきます。
 
目黒区と世田谷区の境界を通り過ぎて三宿通りとの交差点に差しかかると緑道そばにピッツエリア「SAVOY」(三宿通り店)さんがありましたので、今回はこちらでランチをいただきました。定番の”マルゲリータ”をさっそく注文。大胆に一切れを一気に頬張ると、トマトソースの酸味、チーズの旨味そしてバジルの爽やかな香りが口いっぱいに広がります。生地もパンのような厚みはなく、クリスピーというほど薄くはなく、ちょうどいい歯応えと食感です。一枚をぺろりと平らげてお腹も満足してエネルギー補充完了。ごちそうさまでした。

■駒繁神社から弦巻通りからの分岐まで
お店を後にして緑道を西へ進みます。左手に駒繁神社の太鼓橋のような赤い橋が見えてきました。この辺りは駒留、駒沢や上馬・下馬など馬にちなんだ地名が多くあります。どうやら古来は放牧地があったようです。また源頼朝が奥州征伐の途中にこの神社へ戦勝祈願に立ち寄ったとの伝承も残されています。神社からすこし戻ったところ(緑道からは外れる)には”葦毛塚”と呼ばれる旧跡があり、そこは源頼朝の愛馬がその地で亡くなったために築いた塚だそうです。緑道からすこし上がった高台にある駒繫神社は社殿のほかに神楽の舞台もありさらに周囲を林に囲まれています。すっかり住宅街として開発された一帯にあって歴史と由緒を感じることができる貴重なスポットだと感じます。
 
緑道は世田谷区に入るとかなり整備が施されています。目黒区内では小さな川のうねりも分かるほど曲がりくねっていましたが、世田谷区内では多少の曲折は残されているもののかなり真っ直ぐに通されていました。なんだか整備されすぎてすこし寂しい気分。緑道はいったん国道246号線さらに環状7号線を渡り、世田谷郵便局と世田谷警察署の裏を通り続きます。さらに弦巻通りと並行するように西へ伸びていきます。この日は真夏日でしたので緑道に設けられた藤棚の木陰がちょっと嬉しい。

■再現された川の流れを経て源流地点へ
弦巻通りから分岐して水道管をモニュメントにしたような道に入り、その先で世田谷教育会館と小学校の間に川の流れが人工的に再現されています。池はもともとあったものを再現したのか、人工的に新たに造成したのか。またビオトープのようなスポットもありトンボが飛び交っていました。さらにその先にある公園には江戸時代の大山詣で(神奈川県伊勢原市などにある阿夫利神社)の旅人の銅像があります。緑道のすぐそばを通る世田谷通り(都道3号線)はかつての大山街道でした。大山詣では雨乞いを兼ねた江戸時代の人々には身近な物見遊山であったようです。
 
いよいよ源流地点に近づいてきました。JRA馬事公苑そばにある弦巻公園が源流だったもようです。残念ながら公園内にはその名残や痕跡はとくに見当たりません。ただここが水源だったとするとその周辺は湿地だったと思われますので、宅地造成がしにくく残された後やがて公園になったのかもしれないなーと感じました。弦巻公園の西側(つまり進行方向のさらに先)はゆるやかな上り坂となり、ちょうど微高地となっているところがいまは馬事公苑となっています。道中における古代の馬にまつわる伝承と現代の馬に親しめる公園とちょっと奇縁を感じました。馬事公苑沿いに南北にはしる現在の馬事公苑通りにはかつて玉川上水の分水である品川用水が通っておりましたので用水からの余水も水源のひとつであったのかもしれません。
 
帰りはすこし歩きますが最寄駅の東急田園都市線「桜新町」駅へ向かいます。駅近くにある洋菓子屋「PLATINO」さんに立ち寄りお土産を購入しました。内側にカシスソースが包み込まれたレアチーズケーキ”アンジュ”が人気ナンバーワン。ガーゼに優しく覆われてメレンゲのようにふんわりとしたクリームチーズの甘さと旨味とのカシスソースのさっぱりとした甘酸っぱさのコンビネーションに病みつきです。帰宅して冷やしなおしてから美味しくいただきました。
 
■まとめ
蛇崩川緑道はおおよそ全長6km強、歩行時間で約1時間40分程度。静かな住宅街のなかを抜けて通行する自動車の心配も少なくてゆっくりと沿道の緑や季節ごとの花を楽しむことができる絶好の散歩道といえるのではないかと感じました。

<行程表>
※標準的タイムによる目安(休憩などは除く)
目黒川合流点→ 上四児童遊園(15分)→ 三宿通り交差点(15分)→ 駒繁神社(5分)→ 国道246号線交差点(20分)→ 世田谷教育会館(35分)→ 弦巻公園(10分)
コースタイム: おおよそ1時間40分程度
歩行距離: おおよそ6km強
 
<アクセス>
●往路
東急東横線「中目黒」駅から徒歩約3分
●帰路
東急田園都市線「桜新町」駅まで徒歩約15分
※弦巻公園から徒歩10分程度で馬事公苑に面した世田谷通り(都道3号線)沿いに渋谷駅行きの路線バスのバス停があります。
 
<関連情報>
●SAVOY(サヴォイ)・三宿通り店
ピッツエリア・イタリアン
東京都世田谷区下馬1-23-13 フェルテロアール祐天寺 1F
●PLATINO(プラチノ)・桜新町店
洋菓子店
世田谷区新町2-35-16 サラ・グラディオ1F
 
(2024年8月21日 上町嵩広)