「さんサポミーティングin押上」とは、さんたつ公式サポーター限定のトーク&街歩きイベントで、街歩きの専門家と共に、押上・曳舟・向島あたりを巡るというもの。

世にはさまざまな専門家がいるけれど、「街歩き」の「専門家」がいたとは!
頭頂がひらけて何かがプハっと噴霧(キノコの胞子的な)されることしきりでした。
つまり、感嘆と嬉しいの連続でした。

参加された街歩きの専門家は写真家・中里和人さんと路上園芸鑑賞家・村田あやこさん。
そして、街歩きの玄人集団・さんたつ編集部の皆さま。

人は死ぬとき、走馬灯で今まで生きてきた景色を見ると言うけれど、
私はこの日のことも走馬灯で映し出されるに違いあるまい、そう確信するのでした。

巡ったのは、押上駅前から、いきなり路地に入って線路沿いの花壇を愛でつつ電車目の前のトレインビューからの路地、路地、路地。
東京の昭和生まれの私としては、子どもの頃に当たり前だった風景が、令和の今になっても残っているこの界隈。
今見ると懐かしくもあり、そして、とってもアートでした。

写真家の中里さんの街を見る目の豊かさ、面白さ、知識の詰まったお話しを伺いながら、
日頃は通り過ぎてしまうかもしれないところにこそ宝物がざっくざくで、
前に進むのが勿体ない。
途中からは写真を撮ることも忘れるほど、路地に没入してしまいました。

そして、コンクリートジャングルでお馴染みの東京だというのに、
家の前には、植えた樹や植木鉢やトロ箱に植えられた緑や少しの隙間から自身の力で生えてきた緑の多いこと多いこと。
東京なのに、緑がグングンと目に飛び込んできます。
そんな緑を路上園芸鑑賞家・村田あやこさんのお話しを伺いながら歩く贅沢さ。

村田さんの目のつけどころや、そこから広がる世界がとても面白くて、
家に帰って、速攻ご著書をポチっと。
(たのしい路上園芸観察・はみだす緑 黄昏の路上園芸)

路地散歩は途中、マンモス公園で伊勢屋さんのみたらし団子で休憩を取るという粋な計らいの後、今なお残る長屋や、家前の緑、キラキラ商店街、すぐにでも風で飛びそうなガレージや何も泳いでいない水槽などを見ながらGOALを迎えるのでした。

何も泳いでいない水槽ですが、少し前までは魚が泳いでいたとのこと。
魚の行方が気になるという余韻を残しながら、
この日に出会った散歩大好き参加者さまと、
「亀戸線にも乗ってみたいですね」と意気投合。
しかし、散歩好きなのに地理が苦手というメンツ(私も)で、
迷いながらも駅までたどり着き、お目当ての亀戸線に乗って帰路に着くのでした。

散歩は街を見るだけではなく、
そこには人が居て、人の何気ない世界が広がっていて、その何気ない世界はとても面白くて愛しくて、期せずしてアート。

この界隈には近日中にゆっくり訪れることにして、
これからもいろいろな街を、
ゆっくりじっくり歩きたいなと思うのでした。