岩森書店
荻窪駅の発車ベルが聞こえてくる、駅近の古本屋
線路脇に店舗を構えて70年以上という古書店。L字形の店内には、天井ぎりぎりまで書棚が配され、蔵書が隙間なく並ぶ。並ぶほとんどの本に、保護のためのグラシン紙がかかり、このお店のていねいさを実感する。本の読み方も時代によって変化するとのことで、今は軽く楽しめるものと専門性の強いもの、両極端な本がよく出るのだそうだ。そんな要望に応えるため、蔵書のジャンルは多岐にわたる。ネット通販も行っているので、事前にチェックしておくのもいいかもしれない。
『岩森書店』店舗詳細
文禄堂 荻窪店
荻窪で長く愛される“街の本屋さん”
「あゆみブックス荻窪店」が新ブランドとしてリニューアルし、2015年にオープン。お店の横幅と同じ広い入口と、店頭に並べられたしゃれた雑貨コーナーが目を引く。レジの脇には、文芸から実用書、子供向けの本までさまざまなジャンルの本を紹介する「AYUMI BOOKS SELECT」を設置。「限られたスペースの中、大人にも子供にも本の楽しさに出合ってほしい」という気持ちが感じられるコーナーは、本選びの参考にしたい。24時までの営業というのもうれしいポイント。
『文禄堂 荻窪店』店舗詳細
かつら文庫
石井桃子ファン必見! 自宅を改装した“子ども図書館”
児童文学作家であり翻訳家として活躍した石井桃子さん。1958年より自宅の1室を子ども図書館「かつら文庫」として開放し、地域の子供たちへ読書体験を提供してきた。死後もその活動は引き継がれ、現在は「公益財団法人東京子ども図書館」の分室として活動しており、子供が自由に本を読める「あなたの場所」を提供し、本の貸し出しをする一方、本の読み聞かせや資料の収集にも力を入れている。改装された建物には、石井さんが使っていた書斎と居間が残るほか、日本の児童文学者で翻訳家だった故・渡辺茂男の蔵書がある書庫などがあり、いずれも見学可能だ。
ウレシカ
所狭しと並ぶ雑貨や絵本
1階には店主自らが選び抜いた絵本・自然科学などの新刊本、イラストレーターのオリジナルグッズなどが並び、2階のギャラリーではさまざまな展示とそれに合わせたワークショップやライブペイントが開かれている。毎年開催される「ペットショップにいくまえに」展にあわせて編集・発行した『てんまると家族絵日記』(石黒亜矢子)は大好評。いつ訪れてもカラフルに発熱している場所である。
『ウレシカ』店舗情報
旅の本屋 のまど
こだわらないのが、こだわり
扱う本のジャンルは「旅」を中心としながら文学、映画、料理、宗教とあらゆる方向へ広がる。地域別に分かれた棚には、新刊・古書が区別なく並び、未知の国への想像が膨らむ。旅に関する本の発売に合わせたトークイベントが月に数回開かれ、著者の生の声を聴きに人が集まる。店主の川田さんは「こだわらないのが、こだわり」と話すが、その選ばない姿勢が人の旅心をかき立てるのだろう。
『旅の本屋 のまど』店舗情報
構成=フラップネクスト 文・構成=千葉香苗、屋敷直子 取材・撮影=ミヤウチマサコ、金井塚太郎、丸毛透