ウチナーの優しさが漂う“宮良家”の味。『沖縄料理みやら』[東府中]
店主 ・松山豊さんの妻は石垣島出身で、旧姓「宮良(みやら)」。松山さんは、宮良家に通ううち「東京出身の私の方が沖縄の人だと間違われるほど詳しくなりました」とウチナー愛を語る。泡盛には長時間煮込んだソーキ肉がおすすめ。ゼラチン化したナンコツは、かじり付くとモチッとして甘く、テリヤキのタレと絡んで抜群のパンチ力を発揮する。海人(うみんちゅ)直送のアーサーは生のまま天ぷらに。フレッシュな磯の香りに、鼻腔が膨らむ。
『沖縄料理みやら』店舗詳細
のどかな空気が漂うネパールの食堂。『parivaar』[府中]
厨房から現地の言葉が漏れ聞こえ、のんびりした心地になる。香り高い濃厚バターのギーを用いたまろやかなカレーに合わせたいのが、ふっくらもっちりしたナン。噛めば甘みが広がり、これ目当ての客も少なくない。また、現地の食堂定番の味をアレンジしたラーメンや、チャウメンがあるのも魅力。なかでもチキンティカラーメンは、野菜スープに酢が加えられ、口に含むと思いがけない酸味に驚く。その後、スパイスの辛味が口中に押し寄せ、ハマる。
『parivaar』店舗詳細
旨味と軽さを追求する職人技。『Pizzeria CROCCHIO』[分倍河原]
「材料がシンプル。だからこそ生地を肌で感じながら作るんです」とは、ナポリピッツァ職人協会認定職人の店主の北原恵一さん。気候や湿度によって粉の練り方、イーストの配合を変え、36時間かけて発酵・熟成。すると生地が照り輝き、ふくよかな香りを放つ。460℃の薪窯で一気に焼けばモチッとしつつも軽やか。生地に生海苔を加えた揚げパンのゼッポレ、イタリア産生ハムなどの前菜、自家製ドルチェも多彩。ヴォーノと叫びたくなる。
『Pizzeria CROCCHIO』店舗詳細
アニキの心遣いにむせび泣く肉祭りな夜。『IZAKAYA? CHAIN』[分倍河原]
雑居ビルの階段を恐る恐る上がると強面の店主が出迎える。が、心配ご無用。府中っ子の鈴木正道さんは「肉ある?って聞いてくれれば、A4和牛とかカイノミとか、あれば出しますよ」と、目尻を下げる。焼き肉店で働いた経験から、4軒の肉卸と取引。出汁で炊いたシンプルな角煮やまったり芳醇な香りを放つ鶏のレバテキなど、趣向を凝らした肉料理が百花繚乱だ。「自分が食べたいものを居酒屋価格で」という信条に、舌も懐も大喜び。
『IZAKAYA? CHAIN』店舗詳細
世にも珍しいとんかつ割烹!?『とんかつ割烹 やすいみ~と』[白糸台]
肉卸『安井ミート』が1971年、食肉加工場の上におまけで設けたのが食事処。以来、サクッと軽い衣&ジューシーな旨味があふれ出る国産豚を用いたロースとんかつが名物だ。やがて、客の要望に応えるうち、煮込み、焼き鳥、牛たたきなど、酒のアテが増える一方。いつしか夜は割烹と名乗るように。さらに昨今は魚にも力を注ぐ。「魚は旬がありますから」と、スタッフの磯姫香さん。刺し身など、府中市場で目利きした魚料理も侮れない。
『とんかつ割烹 やすいみ~と』店舗詳細
飲んべえも熱烈歓迎! エネルギッシュな大衆食堂『食神 餃子王』[調布]
電通大のお膝元ゆえ定食を目当てに通う学生も多いが、こちらのメニューはお酒のアテにもうってつけだ。ひらりと羽根をまとった焼き餃子は、創業当初に誕生。大連から来た初代コックが、日本人の好みに合わせて考案した野菜多めのレシピに基づく。パリパリの羽根と、豚肉の甘み、ほとばしる肉汁が味わい深く、箸もグラスを持つ手もいっこうに止まらない。店内には注文を伝える威勢のいい中国語が飛び交い、ほろ酔い気分に拍車をかける。
『食神 餃子王』店舗詳細
熟成魚と三元豚が圧倒的旨さ『17 -unosette-』[調布]
東日本大震災発生時に東京で働いていた前川敬太さんは「自分が店を持ったら地元岩手の食材を使う!」と決意。肉や魚を岩手から仕入れている。なかでも、魚の神経を破壊し、劣化を遅らせる神経締めの熟成魚が看板メニュー。熟成5日目のアイナメは、とろりとした歯ごたえで、脂の甘みが強い。横に添えられた5種の調味料を付けて味の変化も楽しめる。また、三元豚も外せない。炭火で焼いた豚肉は薫香が残り、柔らかだ。
『17 -unosette-』店舗詳細
シンプルだが、それがいい洋食めし。『CHRISTMAS亭』[調布]
創業者の石井宏治さんは、青年時代に渡米。訪れたレストランの料理とシェフの人柄に感銘を受け「毎日がクリスマスのように幸せな空間をつくりたい」と、開店して20年を超える。料理はオムライスなど、親しみやすい定番洋食で構成。なかでも若鶏の猟師風煮込みは人気の一品だ。無農薬の野菜と鶏モモ肉をフランべし、トマトソースとケチャップを加えて煮込む。鶏肉はホロリと崩れ、トマトと野菜の甘みが口いっぱいに広がる。
『CHRISTMAS亭』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり、高橋健太、信藤舞子(teamまめ) 撮影=オカダタカオ、中込涼、金井塚太郎、高野尚人、小野千明