まろやかな汁と なめらかさにゾッコン『稲庭うどん 七蔵』[新橋]
店主の葛西剛男さんは、旅先の田沢湖で食べたうどんにほれ込み、「天ぷら屋でしたが、うどん専門店になっちゃった」と笑う。稲庭町『後文』製のうどんはツヤツヤで、食せば舌触りツルリ。「秋田じゃすっきり出汁だけど、東京らしく」と、つけ汁はカモと鶏がベース。そこに、かつお節、昆布、ゴマなどを加え、まろやかなコクに仕上げる。秋はなめこ、正月からフキノトウを入れ、季節の香りもまとう。温麺も評判。
『稲庭うどん 七蔵』店舗詳細
とろける牛脂の旨味とくと味わえ!『浪花かすうどん むねひろ』[三田]
もとはかすうどんを知らなかった店主夫婦。ひとたび食したとき、その独特の味わいに衝撃を受けたという。出汁は関西のうどんつゆに寄せ、かつお節を多めに使用。本来は薄口醤油を使うところを濃口醤油に変え、東京の人々の口にも合うようにカスタマイズした。口にすると、油かすから溶け出した脂の甘みと旨味が、後を引く。麺をすすればネギやとろろ昆布の風味も加わり、食欲がさらに増進。一気に平らげてしまう!
『浪花かすうどん むねひろ』店舗詳細
ガシッとした歯ごたえに惚れる『手打ちうどん力丸』[富士見台]
店主の高原さんが富士吉田に赴任時、ハマったのがうどん行脚。「硬い麺がおいしくて」と、名店『くれちうどん』に教えを乞うた。24時間寝かせた手打ちは、ガシッとした強いコシ。煮干しやしいたけなどの混合出汁に、信州味噌と醤油で味を調えたお汁は、くっきりとした旨味とまろみが同居。飲み干す人、続出だ。馬肉を牛肉に変えた甘辛煮がコクを添え、味変のすりだね投入でピリリと痛烈な辛さが押し寄せる。
『手打ちうどん力丸』店舗詳細
飲んだ後にいいキリリと締まる後味『花坊』[経堂]
そば猪口を満たすのは、辛味大根の搾り汁。常連だった山城裕輔さんは、店を閉じると聞くや否や先代に学び、看板のおしぼり汁うどんも引き継いだ。もちっと弾力のある手打ちうどんは水で締めるとツヤピカ。これを、今が旬の長野県坂城町産ねずみ大根の「とびっきりの辛さ」ですすれば、徐々にヒリヒリ舌を突き刺してくる。味変アイテムは信州味噌とネギ、関西風の汁で、まろみにほっと安堵。「この辛味がクセになる」という熱烈ファンのため、冬も冷やしで提供。天ぷらで一杯の後に締めで味わうのが通だ。
『花坊』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり・高橋健太(teamまめ) 撮影=逢坂聡