『daidai』高円寺でも古株。ポップなかわいさの中に毒がある
高円寺にたくさんある古着店の中でも『daidai(ダイダイ)』は古株のひとつだ。店のコンセプトはおもちゃ箱をひっくり返したような古着店。洋服や靴、アクセサリーから人形まで、ダイダイ色を中心にカラフルなアイテムが並んでいる。
『daidai』を運営する会社の佐久間ヒロコさんは、タウン誌『SHOW-OFF(ショウオフ)』の編集長や『高円寺フェス』の仕掛け人としても知られる。長く高円寺や古着の業界を知る佐久間さんに『daidai』が長く続く理由を尋ねると「それは彼女がいてくれるから」。
佐久間さんが頼りにするのは、店長の小嶋美緒さんだ。刺繍やパッチワーク、いちごやアニマルモチーフなどファンシーでレトロなアイテムは、「でも少しだけ毒があるところがポイントです」と小嶋さん。
『daidai』店舗詳細
『WHISTLER』圧巻のアイテム数にいい出会いがありそう!
店の前にずらりと革靴が並ぶお店『WHISTLER(ウィスラー)』。靴は店の中にもさらに壁一面にディスプレイ。ジャケット類は天井からも吊り下げられているし、シャツ、ネクタイ、スカーフ、セーター……とびっしりだ。店長さん曰く「この店に来たら何かあるだろうと思って来る方も多いので、少しでも探しやすいように置いています」とのこと。
2001年にオープンした『WHISTLER』だが、のちに同じビル内に『chart(チャート)』という名前のお店を開いて、実質的に拡張。
最近は、パートナーの男性に連れられてきたことをきっかけに、自分用にヴィンテージアイテムを購入する女性も増えているという。高円寺でヴィンテージを探すなら、必ず訪れたい店のひとつだ。
『WHISTLER』店舗詳細
『MarcoPolo Gumi』Z世代注目のY2Kファッションが並ぶ
「このお店で今、注目しているのはY2Kファッションです」と話す『MarcoPolo Gumi(マルコポーログミ)』の店長、山之口華緒里(やまのくちかおり)さん。
山之口さんはいわゆるZ世代で、彼女たちが注目するY2Kとは、2000年代のこと。つまり『MarcoPolo gumi』には、2000年代にはすでに大人だった世代にとって、青春時代を彩った数々のブランドが並んでいる古着店なのだ。
これが古着として新しいし、流行しているといわれると、当時ブランドファッションに憧れていた世代としては、新鮮さと同時にどこか気恥ずかしい気持ちが入り混じる。2000年前後にファッションに敏感だった世代にとっては、懐かしいアイテムに出会える店だ。
『MarcoPolo Gumi』詳細
『Frescade』あと一歩自分を印象付けるアイテムが見つかる
『Frescade(フレスケード)』は、パル商店街を抜けたルック商店街に入ってすぐのところにある。2013年にオープンして以来、高円寺で2度、引っ越しをした。
コンセプトは“大人が楽しいヴィンテージショップ”。誰もが知る有名ブランドからカジュアルブランドの1960年代から90年代のものをメインに幅広く取り揃えている。
レディースとメンズは、ほぼ半々の割合。素材がカラフルで凝ったデザインのものもあれば、表面はシンプルでも、裏地のプリントが凝っているものもあって、洋服がしっかり作られていた時代の余裕と上品さが感じられる。コレクターズアイテムというよりも、身に付ける楽しみを感じられるものばかりだ。
『Frescade』店舗詳細
『Anthony』今すぐ取り入れたくなる大人向けアイテムが並ぶ
高円寺のエトアール通りにある『Anthony(アンソニー)』。高円寺で長く古着店を営んできたオーナーの小山さん夫妻が2020年にオープンした。『Anthony』に並ぶのは大人が日常的な着こなしに取り入れられそうなアイテムだ。そこにはアパレルメーカーでレディースブランドのデザイン・企画を担当していた妻・佑美さんの考えが反映されている。
「全身のスタイルをイメージして、自分たちが、今、いいと思うものを買い付けています」と佑美さんは話す。新品のブランドで行われるように、「古着も誰かが着て、スタイリングが成立している状態をSNSで見せると、リアルに感じてもらえる」とスタイリングをSNSで発信することも心がけている。
『Anthony』店舗詳細
『はやとちり』世界に誇る異世界ブティック!作家の個性が光る1点ものも
2008年にオープン。店主の後藤慶光(ごとうよしひこ)さんは、最初将棋の駒を使ったピアスなどを作っていたところ、将棋の勉強を初めてどハマり。熱心な勉強の結果、初段まで獲得し、将棋の駒をデザインしたオリジナルのMA1ブルゾンまで作るというハマりっぷりだ。
現在『はやとちり』で販売されている商品は、日本の古着が半分。残りは後藤さんのオリジナルブランド「ラッキー大吉」と国内の作家7人、シンガポールとイギリスに住む作家3名ほどが手がける服や帽子、バッグなどがある。特に作家ものは、唯一無二のデザイン、色使いに目を奪われる。「服の作り方が独特なものが好きなんですよ。作る人のおもしろさが出ていると思います」と店主の後藤さん。異空間のような店内で、ふと手にしたアイテムが、作り手の思いや素材の背景に共感できる出会いになる。そんなことを期待して訪れてみたい。
『はやとちり』店舗詳細
『Suntrap』世界のプロも認める希少性!アメリカ1930~60年代のアイテムが揃う
1998年のオープン当時から高円寺の古着文化の一端を担ってきた『Suntrap』。奥行きのある店内に足を踏み入れると、たくさんのシャツやジャケットがハンガーにかけられ、棚にはセーターにパンツ、ピカピカに磨かれた革靴などが整然と並んでいる。引き出しやガラスケースにはデッドストックの靴紐、洋服と同年代に作られたボタン、マグカップなどの雑貨も並ぶ。1930年代から1960年代に作られた主に東海岸から買い付けてきた服はは洗濯したり、ボタンをつけるなど丁寧に直してから店に出している。
有名なファッションブランドのデザイナーたちが、洋服のアイデアを見つけようと訪れることもある、高円寺にありながら世界が認める古着店だ。
『Suntrap』店舗詳細
『SHINTO』ポップな品揃えとナチュラルな店内
『SHINTO』の品揃えは1990年代から2000年代のメンズ古着が中心。よくファッションのトレンドは繰り返されると言われるが、今若い世代は90年代から2000年代のファッションを取り入れている。
ミッキーマウスやトムとジェリーなど、懐かしさもあるキャラクターのプリントTシャツや、独特な色合いが興味深いヨーロッパのミリタリーアイテムなど、ポップなアイテムの品揃えも『SHINTO』の特徴だ。
天井から吊り下げられたドライフラワーも存在感を放っている。このドライフラワーはただのディスプレイではなく、オープンから1年ほど経ってから扱い始めた商品でもある。ドライフラワーがあることで店内にはやさしいナチュラルな雰囲気も漂い、足を踏み入れやすい。
『Shinto』店舗詳細
『SPOT』大人の女性が長く着られるアイテムが揃う
『SPOT』を営むのは元エステティシャンの山口美穂さん。長く趣味として古着を愛用し、ときめくアイテムをコレクションしてきた。古着を買い集めるための海外旅行にも何度も出かけ、かつての同僚たちから「変わった服を着ているね」と言われることもあったそう。
店の前は人通りがそれほど多くない。なぜこの場所を選んだのかと聞くと「ゆっくり話しながら、服を見て、触って選んでもらいたいから」とのこと。
ディテールや質感はもちろん、体型をきれいに見せてくれるものを勧めたいと、女性の体に寄り添ってきた山口さんは考えている。流行のデザインよりも長く着られることを重視するのも方針のひとつだ。
『SPOT』店舗詳細
『古着屋 深緑』オーナーの愛が詰まったカラフルな古着でハッピー!
『深緑』があるのは高円寺駅南口から徒歩3分ほどの小さな店あかりがいくつもある通りの2階。目印はオーナーのshogoさんが段ボールに緑のマジックで手書きした”看板”だ。オープンしたときに貼り付けて以来、もう何年もこのスタイルのまま(笑)。自由でワイルドなDIYを横目に階段を上がってドアを開けると色の洪水のような古着の数々が目に飛び込んでくる。
店のオリジナルアイテムにはオーナーがハマっている銭湯通いを反映。オリジナルの銭湯Tシャツ、TOTONOU(トトノウ)Tシャツは12のカラーバリエーション。フロントにプリントされた写真は「外国人観光客が銭湯でほっこりしている姿をイメージ」とのこと。
『古着屋 深緑』店舗詳細
『BoobyTRAP』安く流行を取り入れたいならここ。高円寺で20年以上の老舗
ルック商店街にある古着店『BoobyTRAP』は緑色のテントが目印。現在高円寺に3店舗を展開する古着店グループ「グラスホッパー」の1号店で、安く古着が買える店として知られている。代表の飯塚敏雄さん、通称サクさんが1998年に独立したときは新品の衣類を扱う店だったが、数年後に古着ばかりを扱うように。
バンドTシャツやスーツのセットアップ、たった100円のネクタイなど、品揃えの幅広さ、価格の安さのおかげか、お店にはさまざまな年代の人が立ち寄っていく。昼間は年齢層が高く、夕方になると若い世代が多いというのも『BoobyTRAP』の特徴だ。「高円寺は古いけどいいもの、安いけどいいものを欲しがる土壌があります。お金がない分、知識のある厳しいお客さんが多いんです」と街を長く見てきたサクさんは話してくれた。
『BoobyTRAP』店舗詳細
取材・文・撮影=野崎さおり