大國魂神社横のパワースポットカフェ
大国魂神社のすぐ脇という好立地は、店主の佐藤悦郎さんのご両親が住んでいた場所だという。もともと公務員だったが介護のため退職。2015年10月1日に改装して、この店をオープンした。すごく落ち着くと評判で、ここを訪れた占い師の方もパワースポットだとお墨付きをくれたという。
注文を受けてから店内で焙煎
店内には焙煎機があり、注文を受けてから焙煎する。焙煎方法は浅煎り、中煎り、深煎りの3種で、豆ごとに適した方法で煎る。店で焙煎をするのは、ひとえにおいしいコーヒーを飲んでもらいたいから。
「コーヒー豆の命は焙煎してから3日間。3日間のうちは、ハンドドリップで淹れるときに豆がふんわり膨らんで表面積が増え、豆のすみずみまで湯が行き渡りますが、1週間とか経つともう味が全然違う。それはやったことがある人じゃないとわからないと思います」
コーヒーが苦手で胃が痛くなるけど、カフェサンクのコーヒーだけは飲めるというお客さんもいるそう。「胃が痛くなるのは豆が酸化しているからじゃないかと」と佐藤さん。焙煎したての豆でコーヒーを煎れるために、店内で焙煎をする。
淹れ方で異なる味わい
カフェサンクでは、淹れ方もハンドドリップ、フレンチプレス、エアロプレスの中から選ぶことができる。「ハンドドリップはろ紙で漉すから、すっきりとした味わいに。フレンチプレスは金属のフィルターなので、コーヒーの成分が全部出るので油が浮いている。エアロプレスはその中間。いいとか悪いとかではなく、それは人それぞれの好みです」。お客さんに一番人気があるのはハンドドリップだという。普段から一番飲み慣れているからだろう。一度、同じ豆で飲み比べてみると違いがわかって楽しめそうだ。
オーディオ機器
そして、店内奥の壁面を占めるのが音響設備。「音楽もオーディオも好きで、買い足したのもあるけど、ほとんどが元から持っていたもの。店を開くなら音楽が聴ける場所にしたいと思いました」。年代物の機器はすべて現役。広いネットの海で、オーディオファンの方がこの店にたどり着けるように、佐藤さんから伺った品番を下記に記す。
両サイドにある茶色い大きなスピーカーが、イギリスのメーカーTANNOY(タンノイ)のオートグラフ。黒いスピーカーがアメリカのメーカーALTEC(アルテック)のA5。さらに内側にあるのが、日本のメーカー、CORAL(コーラル)のBL-25D。
メインアンプはマッキントッシュの275と246。プリアンプはマッキントッシュのC22。タンノイは音が横に広がり、クラシック向き。アルテックは音が前に飛ぶのでジャズに向いているという。開発時点でどんな音楽を再現するかの哲学がメーカーごとにあるのだという。実際に聞かせてもらったが、臨場感が圧倒的だった。コロナ禍の前は毎月オーディオコンサートを開催していて、第2土曜日がクラシック、第4土曜日がジャズだったという。世の中が落ち着き、また開催されますように。
店内にはさらに100インチスクリーンがあり、映画の上映会やセミナー、コンサートや劇、ダンスの練習、ラグビーやサッカーのパブリックビューイングなども行われていたという。
街を作るようにNゲージの模型ができていった
そして、今店内で存在感を放っているのがNゲージの鉄道模型。2020年、緊急事態宣言下で1ヶ月間休業している間に、家で眠らせていたものをスペースのある店で組み立てた。営業を再開したら、ミニチュアの家を作ってきてくれたお客さん、自分のNゲージ車両を走らせたいと持ってくるお客さんなど、さまざまな人の手でジオラマが作り上げられていったという。今もたびたび鉄道ファンが集まって車両を走らせている。
もちろん、ディープな趣味に興味がない人も歓迎だ。ランチタイムに利用する人も多く、軽食はピザトーストやチーズドッグ、カレー、パスタなどが人気。焙煎したコーヒー豆の販売もしている。
最後に私の適当な自宅コーヒー生活について話したら「ハンドドリップとフレンチプレスだと挽き方が違うから……」といろいろ丁寧に教えていただいてしまった。これからはちゃんとします。
構成=フリート 取材・文・撮影=藤村恭子