「昔の下北沢や高円寺にあったような店に」
祖師ヶ谷大蔵にある『Bar Strawberry Fields』もご多分に漏れず、店主の小松一生さんがビートルズ、特にジョンの大ファンだったことから命名されたもの。だがもうひとつ別の理由があり、子供の頃からSF映画が好きだったことにも由来しているという。確かに頭文字はSF。そう思うと「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」にSFの要素があるように聞こえてくる。
そんなユニークな視点を持ったビートルズ・ファンである小松さんが、この店を始めたのは2013年のこと。常連客として通っていた前テナントの店主から直々に打診を受け、居抜きで譲り受けた。飲食店の経験やノウハウはなかったものの、定年退職を前に「自分が居心地のいい店を作りたい」という一心で新規オープンさせた。「音楽は年齢関係なく話が通じて、上下関係なく盛り上がるところが素晴らしいと改めて思いました」
「中学生の頃、友達と一緒にビートルズ映画を観に行って、衝撃を受け、ロックバンドに目覚め、プロを目指したこともありました。今でもその頃のロックが好きですね。昔の下北沢や高円寺にあったような、ロックが流れる雰囲気のいいお店を目指しています」と語るように、店内には、レコードやポスター、楽器が所狭しと飾られ、ビートルズを中心に60~70年代のロックへの愛情が見受けられる。昭和のにおいを感じさせてくれるこの空間では、時折、小松さんのギター演奏が披露され、ヴィンテージ楽器の生音を楽しむこともできる。
取材・文=竹部吉晃 撮影=小野広幸