たまに見かける仏舎利塔ってどんなもの?
郊外をドライブしていると、遠くの山の中腹に、白くてまあるい肉まんに角を生やしたような建築物を見かけることはありませんか?
これが「仏舎利塔(ぶっしゃりとう)」と呼ばれる建物であることはご存知の方も多いかも知れません。
では、仏舎利塔とは一体どんな意味のある建物なのでしょう。
仏舎利塔の「仏」とはお釈迦さまのことですが、「舎利」とは、お釈迦様の遺骨を指します。
古代インドを中心とする仏教圏では、お釈迦さまが亡くなった後、遺骨を粉にして分け、塔を建てて納めました。
これが仏舎利塔の始まりです。
仏舎利塔は世界中に点在しています。
そう考えると、「一人の遺骨がそんなにたくさんあるの?」と思われるでしょう。
実は経典には、お釈迦様の身長が約4.8mあったと書かれています。
そのため、遺骨も私たちのものとは比べ物にならないくらい多いのです。
インドから遠く離れた日本にも、実際にお釈迦様の骨が納められている仏舎利塔が1カ所存在します。
ただ、多くの仏舎利塔は、仏像や仏画、戦争で亡くなった人の遺骨が納められている場合がほとんどです。
お寺にそびえる五重塔にはどんな意味があるの?
お寺の中心は本堂ですが、天に向かってすらっと伸びた五重塔は、遠くからでもそこにお寺があることがわかります。
ですが、五重塔とは一体どんなものなのでしょうか。
実は、五重塔の元になっているのは、お墓でよく見かける卒塔婆(そとば)。
卒塔婆は、仏教が考える世界を構成する五要素(地・水・火・風・空)を表現しており、それが五重塔にも引き継がれています。
五重塔で重要なのは、てっぺんにあるアンテナのような部分「相輪(そうりん)」。
さらにその中でも、一番上についている「宝珠(ほうじゅ)」は、濁った水を清め人々の願いを叶えるものとして、重要だとされています。つまり、「五重塔」という建物自体は台座にすぎないのですが、宮大工の方々の技術と情熱が詰まった建築は見ごたえのあるものばかり!
「心柱(しんばしら)」など地震大国の日本で何百年も倒れずに立ち続けるための伝統的な設計は、スカイツリーにも採用されたほどなのです!
神様と仏様ってどう違うの?
神様と仏様の違いってなんでしょう?
日本は、世界唯一といってもいい、神道と仏教を一緒に拝む「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」というスタイルを取っているので、神様と仏様の区別はつきにくいのも事実。
この区別については、宗教学者の鎌田東二さんの「神は在るもの、仏は成るもの」という説明が非常にわかりやすいでしょう。
まず、仏教の修行を積む人々は、煩悩を滅して悟りの境地を目指します。
「如来」や「ブッダ」という言葉は「目覚めたもの」「悟りを開いたもの」を意味しますが、修行者はそこを目指していて、つまりは「仏に成ろう」としているのです。
一方で、古い神道では山や岩や木に神が宿ると考えられました。また、西洋の神様は人類を想像し、天から私たちを見守っているとイメージされています。
つまり、私たちが神になるということはなく、そこに「在る(居る)」存在なのです。
また、同じ神様という言葉でも「西洋の神は垂直方向、日本の神は水平方向」からやってくるという違いもあります。
スポーツの世界大会などを見ていると、外国の選手が天に祈りや感謝を捧げているシーンをよく見かけるように、西洋では神様は天に在ると考えられています。
しかし日本人にとっての神は、木や岩に宿っていると考えられたり、なまはげ(秋田県)やパーントゥ(宮古島)のような神も、海や山など水平方向からやってくるのです。
極楽浄土ってどんなところ?
仏教における死後の世界観に地獄と極楽があります。地獄の様子についてはこの連載の【地獄ってどんな場所?】の記事にて紹介しました。一方で、極楽とはどんな場所なのでしょう。
その描写は阿弥陀経・無量寿経・観無量寿経というお経で見られます。
それによると、極楽浄土は西の彼方に存在するそう。
そして、大地は金色に輝き、池には七宝(金銀や宝石)が散りばめられて美しい蓮華の花が咲いています。
さらに美しい音楽が流れ、気温もジャストで心地よく、夏の初めによくある「エアコンをつけると寒いし、消すと暑いね」なんてことも皆無な世界です。
お腹が空けば自然に食事が現れ、満腹になると消えるなど、一切の苦悩やストレスのない世界が極楽なのです。
ただ、贅沢の限りを尽くすという意味ではないとされています。ストレスや苦悩などの取り除かれた世界であれば、集中して修行に励めるという考え方がある様です。
いずれにしても、地獄よりは圧倒的にたどり着きたい場所ですね!
建物で宗派は見分けられる?
日本には13の仏教宗派があるとされています。宗派を建物から判断することはできるかというと、個人的な感想ではありますが、かなり難しいです。
ただ、ヒントが出ている場合も多いのでそれらを紹介していきましょう。
境内の中で複数の建物が左右(東西)対称に配置されていたり、お堂の屋根の端が反り上がっているといった特徴を持っているのが「禅宗様(ぜんしゅうよう)」または「唐様(からよう)」と呼ばれる建築方式です。
こうしたお寺を見かけたら、禅宗(臨済宗や曹洞宗)のお寺であるとわかります。
また、護摩焚きをするのは真言宗や天台宗などの密教ですので、「護摩堂」がある場合も宗派を見分けるヒントになるでしょう。
さらに「大師堂」があれば真言宗である可能性が高まります。
大師というのは位の高いお坊さんへの敬称なのですが、日本で「大師」というと弘法大師(=空海)を指す場合がほとんど。
敬称だけで個人が特定できるというのは、長嶋茂雄さんが「ミスター」と呼ばれているのにも似ていますね。
今回は、私の友人知人からもらった、仏教の素朴な疑問を解説しました。
みなさんからも、「ふと気になった仏教のアレコレについて知りたい!」という声が上がれば、またご紹介いたします!
お楽しみに!
写真・文=Mr.tsubaking