【OMO7大阪(おも) by 星野リゾート】にぎわいにほれてまう!
JR新今宮駅の目の前に建つ『OMO7大阪(おも) by 星野リゾート』。駅前から広がる広大なガーデンエリアの芝生と木々の緑に、船の帆を思わせる真っ白な外観が映えて美しい。「なにわラグジュアリー」というホテルのコンセプトにぴったりの外観だ。
幸運の神様、ビリケンさんの像に出迎えられてエレベーターを上り、大きな黒丸が描かれた白い壁面のトンネルを進む。黒丸にピックがささり、マヨネーズがかかったところで、この模様はたこ焼きをモチーフにしていたんだと気付く。
トンネルを抜ければ、ご近所マップからはじまるパブリックスペース「OMO ベース」に到着だ。
フロントとライブラリーラウンジ、OMOカフェ&バル、 OMOダイニングを擁する全長約85m、高さ5mという贅沢な空間に息をのむ。カフェのガラス張りの向こうに見える開放的な空間は、先ほど外から見えた「みやぐりん」だ。
アクティビティ『ほないこか、ツウな新世界さんぽ』で大阪体験
新世界はなかなかディープで立ち入りづらいが、そんな場所こそOMOスタッフ扮するOMOレンジャーの得意分野。早速部屋に荷物を置いて、『ほないこか、ツウな新世界さんぽ』へ連れて行ってもらおう!
OMOレンジャー、踊屋(おどりや)ともこさんの案内で、まずは新世界の南東部にあたるアーケード、ジャンジャン横丁へやってきた。ミックスジュース発祥の喫茶店を横目に、幅2.5mほどの狭さと活気の中を進む。
ビリケン神社に手を合わせてから向かった通天閣のエントランスで、踊屋さんに促されて天井を見上げる。鮮やかな天井画は、化粧品メーカー『中山太陽堂(現クラブコスメチックス)』のもの。初代通天閣が解体される昭和18年(1943)まで30年以上掲出した広告を復刻させたものだという。
実は『OMO7 大阪』が建つ地に、かつて本店と工場があったそうだ。
それで OMO の部屋にも存在感を放つクラブコスメチックスのアメニティがあったのか。なるほど、知らないことがたくさんあるなぁ。
通天閣本通りを進み、新世界市場に入ったところでヒョウ柄専門店『なにわ小町』に目を奪われる。ヒョウ柄のTシャツを試着して、『なにわ小町』の高橋店長とガオーのポーズで記念写真。
そしてなんとこちらの高橋店長が、今夜『OMO7大阪』でとあるアクティビティを担当するという。
高橋店長と再会を約束して店を後にしたところで、通天閣が2つ写るという絶好の撮影スポットを教えてもらう。2(ツー)で、「ツウな」ツアーのお題回収というわけだ。旅ははじまったばかりなのに情報量が多すぎるぞ。
待ってました!食い倒れの街のディナー
OMOブランドの名称についている数字はサービスの幅を表す。一番数字が大きいOMO“7”はサービスが最も充実したフルサービスホテルだ。『OMO7大阪』のレストランであるOMOダイニングでは、OMOで唯一、フルコースディナーが楽しめる。
コースは新世界の名物である串カツに着想を得た「Naniwa KUSHI Cuisine(なにわ串キュイジーヌ)」と、大阪の郷土料理をフランス料理などの技法でアレンジした「Naniwa Neo Classic(なにわネオクラシック)」の2種類で、どちらも8品からなる。
散々迷ったが、大阪の郷土料理を知りたくて後者を選ぶ。ワインのペアリングもお願いした。
1品目は木箱に酢飯と魚介を詰める「箱寿司」のアレンジ。酢飯の代わりにパスタの一種であるリゾーニとクスクス、ジャガイモとアボカドを順に薄い層に重ね、穴子や鯛、鯖などを美しく盛り付けている。軽やかな前菜だ。ペアリングはロゼのシャンパーニュ。花のような果実のような華のある香りとキメの細かい泡に包まれながらコースがスタートした。
3 品目は食べものを無駄にしない“始末の精神”を表現した半助(ウナギの頭)の煮こごり、4 品目は伝統的なすじ肉、ではなく牛タンを煮込みフォアグラの風味を添えたどて焼き……など、ペアリングのワインと楽しむ時間は食いしん坊にはたまらない。
伝統料理の紹介動画の QR コードが添えられているので、伝統の姿と比べながら食べるのも楽しい。
箱寿司に始まった「Naniwa Neo Classic」は、締めくくりも箱寿司を模したデザート。ピスタチオやフランボワーズの生地の上にマスカルポーネ、そしてフルーツを添えた華やかなケーキ仕立てだ。1品目と同様、思わず歓声が上がる美しさ。これはぜひともご自身の目で見ていただきたい。
熟成された極甘口の白ワインと共に堪能し、食後のハーブティーを飲んだら今夜は思い残すところなし。
……のはずが、まだまだ館内のお楽しみは続くのだ。
腹ごなしに「なにわ講座」
フルコースを7種類のワインと共に満喫したところで次のアクティビティ「『なにわ』ってなんやねん講座」の時間だ。
高橋店長、待ってました!
「大阪のおばちゃん講座!」と題しておばちゃんとヒョウ柄事情や、大阪のおばちゃんの日常生活をじっくり聞かせてくれた。最後にヒョウ柄シャツを試着して終了。もちろん記念撮影もどうぞ。
店長のパワーの秘訣はヒョウ柄にありと知ったところで次は夜のみやぐりんへ。
息つく間もないイベント尽くしだ。
飲んで、騒いで、くつろいで。大阪の楽しい夜はこれから。
みやぐりんでは季節に合わせたイベントが開催される。秋のこの日は「PIKAPIKA紅葉ナイト」。OMOの外装いっぱいに映し出される花火や紅葉の映像は圧巻だ。
建物に張り巡らされた船の帆のような白い外装膜は、テント生地のように丈夫で熱を遮る機能も持つ優れもの。なんと裏側には約1万3000個のLEDランプが隠れていて、この間接光を利用して映像として見せているのだ。
たこ焼き発祥の店とされる『会津屋』のたこ焼きとクラフトビールを手に、椅子に沈み込む。レコードを聴きながら飲んで食べる秋の夕べはこの上なく贅沢だ。
22時までしっかり遊んだらお部屋へ。壁面の大きな大阪のマップを見つつ作戦会議しよう。
さて、明日はどこに行こうか。
翌朝は、みやぐりんのシンボル温浴棟「湯屋」からスタート。
熱湯(あつゆ)と温湯(ぬくゆ)、浅湯(あさゆ)の3種類の湯でリラックスした後は、お待ちかねの朝ごはんだ。
素敵な朝食でエネルギーチャージ
昨日あんなに食べたのに、なぜか朝にはちゃんとお腹が空く。朝ごはんの選択肢は2つあり、1つはOMOダイニングでのモーニングビュッフェ、もう1つはOMO カフェ&バルでのモーニングだ。
今朝はビュッフェを選択。まずは目の前で作るねぎ焼きとうどんに吸い寄せられる。どちらにもたっぷりのかつお節が。厚さわずか0.01mmの削り立てのかつお節は口の中でとろける!
朝食後に参加するお散歩ツアーの目的地、『大阪木津卸売市場』から届いたお惣菜も発見。ひじきの煮物や五目きんぴらなど体に優しいメニューがうれしい。
実は今回、散歩の後に2度目の朝ごはんをOMOカフェ&バルで食べた。5種類のメインから選べるモーニングのうち、「クロックおかん」が気になったのだ。パンにハムとチーズを挟んで焼いて、目玉焼きをのせるクロックマダムに対して、厚焼き玉子をのせてお好み焼き風に仕上げたもの。ほっとする味わいだ。
「ええだし出てますわツアー」で大阪の文化を知る!
最後のアクティビティは「ええだし出てますわツアー」。目的地の『大阪木津卸売市場』までの片道15分の散歩はちょうどいい腹ごなしになる。昆布、かつお節、油かす、なにわ野菜、乾物、豆、業務用スーパーの7つの店舗にお邪魔して大阪の出汁文化を知り、お土産をたくさん買ったところで解散だ。
アクティビティはもちろん、ホテルにいながら大阪の魅力を味わえる『OMO7大阪』。施設や食事、スタッフさんの心配りもまさに「なにわラグジュアリー」を体現した一流のおもてなしだった。
このまま帰るのが名残惜しい。ロッカーに荷物を預けてもう少し、この街の余韻を楽しもうかな。
約半年かけて11か所のOMOを巡り、コンセプトの「テンションあがる『街ナカ』ホテル」を体感してきた。街全体をひとつのリゾートとして捉えるOMOが、街のディープな魅力を伝えるために大切にしているのは街の人たちとの信頼関係。OMOのスタッフが徹底的に街を歩いて得た情報や街の人との良好な関係性は、OMOの基盤に違いない。泊まる人も街も共に盛り上がる、星野リゾートの都市ホテルブランドOMOは、都市観光の新しいスタイルを教えてくれた。
取材・文=原亜樹子 撮影=井原淳一