都市開発の街、池袋の変身の象徴!?
近年、都市開発により新たな一面を見せるようになった池袋。それは駅前周辺だけではなく、周囲の公園も同じ。かつては近隣の小学校が「近づかないほうがいい」と生徒たちに指導していたという南池袋公園も2016年にリニューアル。青空の下、一面に敷かれた芝生を駆け回る子供たちとそれを見守る母親の姿を見ると、そんな過去があったことに驚かされるばかりだ。
そんな南池袋公園のシンボルとも言うべき存在となっているのが、『RACINES FARM TO PARK』。その名の通り、南池袋にあるビストロ『RACINES』が運営するカフェレストランで、この公園で過ごす人々を朝から夜まで癒やす憩いの場となっている。
「『RACINES』の系列店なのでお料理には自信があります! 公園内にあるカフェなので朝早くから夜遅くまで、いつ来てもおいしいものを提供できるようにするというのが私たちのモットーです」。
こう語ってくれたのは『RACINES FARM TO PARK』の上谷建太さん。まだまだ若手ながら、この店で厨房を任されるだけでなくメニュー開発などにも尽力しているスゴ腕のスタッフである。
朝はパンケーキを楽しめ、昼は子供たちを公園で遊ばせた後にママ友たちがランチ、夜になるとバルのようにお酒を嗜む人が訪れる……と、来店する時間帯によって顔つきがだいぶ変わる『RACINES FARM TO PARK』。中でも人気を集めるのがランチタイムで、連日2階席まで一杯になるほど大盛況。その人気の秘訣となっているのが上谷さんたちが腕を振るうランチメニューにある。
調理する姿が見られるのも魅力
「時間帯によってメニューが変わる」という『RACINES FARM TO PARK』。当然どの時間帯に行っても絶品の料理は食べられるのだが、ランチタイムでは4種類のメニューを提供。
『RACINES FARM TO PARK』での注文方法はホールスタッフにオーダーをするのではなく、自分で直接カウンターにオーダーをするシステム。カウンター越しに調理する姿が見えるオープンキッチンになっているので、自分のメニューを作っているのがわかる。上谷さんによると「自分の料理を作っているのが見られるライブ感がウリ」とのこと。
実は、他のお客さんが頼んだ別のメニューが見られるのもまた楽しいポイント。「前のお客さんが頼んだメニューがおいしそうだったから、今度はそっちを食べてみようということでまた来てくれるお客様もいらっしゃいますよ」と、上谷さん。
たっぷり食べられるポークジンジャーや、自家製ポン酢を使ってさっぱりと食べるハンバーグなど美味しそうなメニューばかりだが、今回は1番人気だというボルケッタサンド830円と自家製のジンジャーソーダ680円をオーダーした。
ボルケッタサンドは自家製のフランスパンに皮付きの豚肉をタップリと挟み、特製ハーブソースをかけて食べるお店オリジナルのサンドイッチ。オープン当初から提供されているメニューで、今でも不動の人気を誇っているという。
食べてみると、しっかりと引き出された豚肉特有の甘みがたまらない。豚肉は「皮と身の間においしいところがある」と言われているそうで、皮付きでしっかりとローストすることこの甘みを引き出しているのだ。これに合わせるハーブソースはバジルをベースにしつつ、春菊や大葉などの和の素材を使用した特製のもの。さわやかな味わいが心地よい。
これでもかというほどに挟まれた豚肉に一度は驚かされるが、しつこすぎないさっぱりした味わいで全体のバランスがとてもよい。
食が細い女性でもペロリと食べられるというのもうなずける。
そして自家製のジンジャーソーダは生姜からこだわりが。上谷さんにお話を伺うと「鳥取県の日光というところで作られる熟成生姜を使用しています。熟成生姜とは洞窟で半年ほど寝かせて、文字通り熟成させたもので、通常よりも辛味があるんです。ただ、オーガニックシュガーを使うことで辛味を抑え、飲みやすい味わいになっていると思います」。
確かに生姜の存在感はあるが、特有の辛味を感じることなく、むしろ甘みが際立つ味わい。これならこどもたちにも人気があるのもよくわかる。
南池袋公園に流れる優雅なひと時
ボリュームたっぷりなボルケッタサンドを頬張りながら、甘いジンジャーエールに癒やされる……まさに優雅なひと時だが、こうしたひと時をいつでも楽しめるのが『RACINES FARM TO PARK』の大きな魅力と言える。
「時間帯によって頼めるメニューが変わるので毎日でも楽しめますし、天気によっては店内から飛び出して芝生で食べてみるのもアリ。シーンによっていろんな使い方ができるレストランなので気軽来てもらいたいなって思います」。
天気のいい日には『RACINES FARM TO PARK』の名物・ボルケッタサンドを片手に公園でくつろぐ優雅な午後があってもいいだろう。
構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌弘