東池袋大勝軒の山岸さんのハートを継承する欧風菓子店の裏にあるつけ麺。
営業を再開したと聞き『裏サブロン』。
裏と聞いて淫靡な響きを感じるのは年のせいか。
『欧風菓子サブロン』の裏にあるから『裏サブロン』。
ほんとの裏。
元々は勝手口だったと思われる場所に無理やりカウンターを付けて始めたつけ麺。
脱サラして洋菓子店を始めるも高校生の頃に日々通った『東池袋大勝軒』を忘れられずに独学で始めて、山岸さんを訪ねアドバイスをもらい完成させた山岸さんも認めるつけ麺。
表は大道路沿い。
裏は日暮里小学校との路地裏。
期待に胸膨らませて曲がる路地の先の外待ちのベンチに待ち人。
4番目と書かれた場所に座ると小学校の木陰で日陰。
通り抜ける風が気持ち良く汗を拭う。
ゆっくりと進み1番と2番は店の前の丸椅子で炎天下。
アスファルトの照り返しをじりじりと感じる夏。
ほぼ30分。
店内の椅子が動く音にいよいよと身構えてガラガラと開く引き戸と入れ替わりで裏口。
赤のラーメンの暖簾が掛かる3席のカウンターの丸椅子に埋まる。
物腰の柔らかなコック服にハイカラな短パンの出立ちの店主に前金で1000円を渡すつけ麺一択。軽やかに流れる松田聖子チャンネルが脳内でハミングする。
暖簾の先に洋菓子店の厨房。菓子を焼くとつけ麺を作るの異空間。
先に小振りの器のつけ汁。テラと光る汁に海苔とメンマとゆで卵とネギに沈むチャーシュー。ぎゅっと詰まる大勝軒ライクに胸が躍る。
ピピピと鳴るタイマー。じゃぶじゃぶと洗う音が聴こえてどんぶりから溢れそうな麺が届く。デフォルトで330g。
わしっと麺を掴み汁に押し込みたっぷりと汁をからめてズババと頬張ると、とろりと粘度ある魚介がパンチを繰り出す汁。甘みと濃いコクの旨みが追いかけてやって来る沁みる汁。
啜る麺はもっちりぷるるのびよーんと伸びるストレートな細目な部類になるめちゃ長めの太めの麺。
このままおいしいがずっと続けば良いのに、だんだんと麺で埋まる腹に悶々とする葛藤。
終盤の330gとの格闘。
それでも固ゆでの卵の安心感。芳ばしいチャーシューの溢れる肉の旨み。ネギのほのかな辛みと食感とコリッとしたメンマの推進力でズババズバとやっつける。
ほぼ残り少なった汁をスープ割りしてもらい飲み干して浸る余韻。
満たされた山の日。
げふっと灼熱に戻る。
ごちそうさま。