築地場外市場の観光名所はグルメだけにあらず。御朱印を求める参拝者はもとより、その謂れから厄除けや商売繁盛のご利益を授かろうと足を運ぶ人たちが多いのが「波除神社」。
まだ築地一帯が海だった江戸時代。築地だけではなく日比谷方面もまだ海だった頃、江戸城増築のため日比谷方面から今の汐留、そして築地にかけての埋め立て工事がすすめられておりました。

日比谷、汐留ときて最後が築地だったのですが、この築地の海が最も工事が難航したとのこと。聞けば、生類憐みの令でもお馴染み徳川四代目将軍・徳川家綱公の代。明暦の大火後に着工した築地の埋め立て工事は、何度も何度も波の被害に遭い、都度埋め立てた土地も台無しになってしまったとのこと。

ある夜海面に光るものをみつけた人々は、不思議に思い確かめたところ、稲荷大神のご神体だったとのこと。直ちに社殿を設けご神体をお祀りしたところ、荒れていた海は穏やかになり、工事も滞りなく完了。厄除けのご利益はこの逸話から由来されているようですね。
そして、現代にも通じる、人々で賑わう築地の歴史が始まったそうです。
さてその波除神社。実は沢山の神様が祀られているのをご存じでしょうか?毎年六月に開催される、つきじ獅子祭で担がれる巨大な獅子の頭や、雲と風を司る龍と虎、更には十二支全てが揃う賑やかな神社。

鳥居をくぐり、本殿に向かって左の奥から子、丑、寅と続いてくるのですが(ところどころに建つ海産物の塚や吉野家の塚にもぜひご注目!)、各干支の動物たちが石柱に彫られているのです。それだけではなく、卯と辰は凛々しい像まであるではありませんか!
しかし、これだけでは終わりません。むしろここからがメインです。

はい、こちら。

はい、蛇です。まごうことなき蛇です。「巳」です。


なんでしょう、見つけてしまってすみません…なのか、ラッキー!!なのか、どちらかコメントに迷ってしまった方も多いのではないでしょうか?
こちらの可愛い蛇さんが鎮座しているのは、巳年の石柱の真後ろ。そう、生きている蛇さながら地べたにいらっしゃるんです!

初めて見つけたのはまだ幼き日の娘。100cmになったかそこらだったかと思います。「へび!!」「そうだねぇ、蛇さんがいるねぇ。」と返答するも、指をさす方向が石柱ではない。どういうことかと思いきや…というのが、私と巳年の神様との出会いでした。
ご自身の干支の前にしゃがみ、手を合わせる方もいらっしゃるかと思います。その時、真正面に、いわば向かい合うよう形になりませんか?そうすると真後ろまでは意識も向かず、観光客の方であれば猶更(地元民もかもしれませんが)他の獅子頭や海老やら卵やらユニークな塚に意識が向くことでしょう。

この巳年の神様は、なぜこうもつつましやかなのか…つつましやか、というより、むしろリアル…?でもすごく可愛らしいお顔。


これから訪れるお盆休みや夏休み、築地にいらっしゃる方も多いと思います。休日は営業されていないお店や早く店仕舞いなさるところも多いのですが、こちらはその心配ご無用。ぜひ参拝ついでに、こちらの蛇さんを探してみてくださいね。