小さな街のお祭りが東京の一大名物に!
徳島県発祥の阿波おどりは、約400年の歴史を有する郷土芸能。「ぞめき」といわれる2拍手の軽快なお囃子に合わせて、「ヤットサー」「ヤットヤット」などの掛け声とともに踊り歩く。その阿波おどりが東京の高円寺にやってきて、今では「高円寺といえば阿波おどり」と誰もが認識するほど地域に根付いている。
ルーツは、1957年に高円寺南口商盛会(現在の高円寺パル商店街)の青年部の若手たちが、街のにぎわいを求めて企画した「高円寺ばか踊り」。当時は白塗り化粧に浴衣姿で阿波踊りを見よう見まねで踊った。その後、江東区の木場で活動をしていた徳島県人会で結成された「木場連」と出会い、本格的な踊りの指導を受け、技量が飛躍的に向上。1963年、正式に「東京高円寺阿波おどり」に名称を変更した。高円寺では次々に独立連も誕生し、街を挙げて盛り上がっている。
圧巻の集団美に観客が熱狂する
当日は、高円寺南北商店街と高南通りの8カ所に演舞場を設けて、本場徳島連を含む、のべ161の連(約1万人)が阿波おどりを流し踊る。鉦(かね)や三味線、笛、太鼓といった鳴り物に合わせて、両手を高く上げてしなやかに踊る優美な「女踊り」と、腰を低く落として力強く踊るダイナミックな「男踊り」が隊列を組んで練り歩く。
阿波おどりの見どころはなんといっても、踊り子たちによる統一感のある集団美。円熟味あふれるシブさをただよわせる連もあれば、「暴れ踊り」と呼ばれる派手な動きを繰り出す連もあり、連ごとに個性が異なるのもポイントだ。さらに商店街の演舞場では狭い道路いっぱいに広がって踊るので、踊り子たちの息づかいさえも感じられるほどに間近で迫力ある踊りを見ることができる。
この2日間、昼間には『座・高円寺』や『セシオン杉並』で舞台公演も行われる(どちらも第一部11時30分開演、第二部14時開演、有料)。各演舞場で観られる「流し踊り」に対して、ここで繰り広げられるのは「舞台踊り」。踊りのフォーメーションや鳴り物のパターンを変えて踊る「組み踊り」をベースに、照明や音響などの演出も加わって舞台芸術としての阿波おどりを楽しむことができる。快適な空間で座席から個性ある技をじっくりと堪能できるので、こちらもおすすめだ。
開催概要
「第65回東京高円寺阿波おどり」
開催日:2024年8月24日(土)・25日(日)
開催時間:17:00~20:00
会場:高円寺駅南北商店街、高南通り(東京都杉並区高円寺南・高円寺北)
アクセス:JR中央線高円寺駅、地下鉄丸ノ内線新高円寺駅すぐ
【問い合わせ先】
東京高円寺阿波おどり振興協会 [email protected]
公式HP:https://www.koenji-awaodori.com/
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供