“和のあかり”で物語の世界を体感

絢爛豪華に装飾された7部屋を99段の長い階段廊下がつなぐ、東京都指定有形文化財「百段階段」。
絢爛豪華に装飾された7部屋を99段の長い階段廊下がつなぐ、東京都指定有形文化財「百段階段」。

『ホテル雅叙園東京』に現存する唯一の木造建築、文化財「百段階段」。階段で結ばれた7つの部屋では、古くから伝わるおとぎばなしの世界を“和のあかり”で表現した多彩な展示と、それに合わせて作られたオリジナルの音楽やアロマの香りによって、物語の世界を五感で体感できる。

竹取物語をテーマにした「十畝(じっぽ)の間」では、美しい竹灯籠や漉き和紙で作られた月の作品で、かぐや姫が月に帰ってしまう切なさや翁と媼(おうな)の深い愛を表現。60本にもおよぶ竹灯籠は放置竹林を主に使い、フリーハンドによって幾何学模様が1mm単位まで繊細に彫り上げられている。

「草丘の間」では、登竜門伝説になぞらえた迫力のある展示が出迎えてくれる。天井には紙で作られた鯉たちが、水墨画で描かれた龍と化す姿をドラマチックに表現。龍の周りを彩る生け花が、展示の期間中に移り変わる様も見どころだ。

「漁樵の間」では「葛の葉伝説~安倍晴明 誕生奇譚~」をテーマとし、歌舞伎の大道具などを用いて物語のワンシーンを切り取っている。
「漁樵の間」では「葛の葉伝説~安倍晴明 誕生奇譚~」をテーマとし、歌舞伎の大道具などを用いて物語のワンシーンを切り取っている。
「倉敷切子灯篭」をモチーフに発展させた、倉敷光作所の「希莉光あかり(切子あかり)」。
「倉敷切子灯篭」をモチーフに発展させた、倉敷光作所の「希莉光あかり(切子あかり)」。
階段を上がった最後の部屋「頂上の間」に現れる作品(作家・弦間康仁)。紙をメインの材料に使い、本物の植物を交えた作品。見る角度で印象が変わる。
階段を上がった最後の部屋「頂上の間」に現れる作品(作家・弦間康仁)。紙をメインの材料に使い、本物の植物を交えた作品。見る角度で印象が変わる。

企画を締めくくるのは、99段の階段をあがった最後の部屋「頂上の間」に現れる「天女の羽衣~終末の章~」をテーマにした展示だ。天へと帰っていった、天女の面影を感じながら帰路につこう。

企画限定のおみやげで、物語の続きを

物語の世界にたっぷりと浸ったあとは、併設のミュージアムショップに立ち寄ろう。展示に登場した作品や企画限定のアロマ、サウンドトラックなどが勢ぞろいしている。期間中しか購入できないおみやげを手に入れて、帰宅後も物語の続きを感じてみよう。

開催概要

「和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~」

開催日:2024年7月5日(金)~9月23日(月・休)
開催時間:11:00~18:00(最終入館17:30)
※8月17日(土)は~17:00(最終入館16:30)
会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」(東京都目黒区下目黒1-8-1)
料金:一般 1600円、大学生・高校生1000円、中・小学生800円
※要学生証呈示、未就学児無料。
※入場券は公式オンラインチケット(https://www.e-tix.jp/100event/akari.html)、または当日受付にて販売。
アクセス: JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩3分

【問い合わせ先】
東京都指定有形文化財「百段階段」(イベント企画 10:00~18:00)☎03-5434-3140
公式HP: https://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event/wanoakari2024

住所:東京都目黒区下目黒1-8-1/営業時間:11:00~18:00(最終入館17:30)※開催時間は企画展によって異なる場合あり。/定休日:無※企画展の開催期間以外は日によって閉館している場合あり。/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩3分

取材・文・写真=稲垣恵美