『とんかつ カトレヤ』食べて、おしゃべりして、カツリョクいただきます[桜台]
「毎日、いろんな人と出会えるのが楽しくて、辞められないの~」。店主の佐久間たつ子さんは、目を輝かせながらケラケラ笑う。この地で50年以上も営み、2024年で84歳。快活で温かみある人柄が、老若男女幅広い客のハートを鷲づかみにしている。カラリと揚げられたトンカツにかぶりつけば、ザクっと軽やかな音に頬がゆるむ。「パン粉が決め手なのよ」。塩コショウの効いた肉に、くだものの風味香るソースが調和して、食欲をブースト。嗚呼、白飯がどんどん進むやつだ、これ!
『とんかつ カトレヤ』店舗詳細
『辰巳軒』満たされぬメニューは、ここにはない[石神井公園]
昭和10年(1935)に、深川からこの地に。「先代の頃から『とにかく、おなかいっぱい食べて』って、気持ちでやっててね」と、店主の中川政利さん。人気のAセットは、その言葉をカタチにしたようだ。ひと口カツに焼き豚、ロースハムなど、皿からあふれんばかり。この全部盛り感、気分アガるわ~。
『辰巳軒』店舗詳細
『満州楼』理想の町中華、ここにあり[練馬]
真っ赤なカウンターに腰かけ、カンカン響く中華鍋の音に耳を傾ける。「こんなコテコテの町中華、今時ないよねえ」と、店主の時吉強さんはニッコリ。お目見えしたレバニラ麺は、香りだけで飯がイケるやつ。プリップリのレバーとともに麺をすすれば、食欲が加速。もう止まらぬ。
『満州楼』店舗詳細
『喫茶 ボタン』純喫茶メシ、侮るなかれ[東武練馬]
小じゃれた間接照明にフワフワの椅子。絵に描いたような風情に心弾む。品書きを見れば、意外やフードが多い。「昔、ファミレスブームに対抗して増やしたの」と、店主の合田芳典さん。ナポリタンは、ソフト麺にベーコンの塩味が効いて後を引く。味噌汁が付いてるのも、なんかイイね。
『喫茶 ボタン』店舗詳細
『中華 栃尾』雰囲気ほっこり、味わいしっかり[氷川台]
「うまいもん、食べてほしいんだよ」と、店主の湯浅宗広さん。寡黙に、しかし小気味よく鉄鍋を振るう。人気のチャーハンを頬張れば口の中でほろりと崩れ、玉子の甘みや塩味、醤油の香りが一気に広がる。「おいしいでしょ?」と、妻・せつ子さん。明るいおしゃべりも隠し味ってやつですね。
『中華 栃尾』店舗詳細
取材・文=どてらい堂 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2024年6月号より