森の中にたたずむ隠れ家『max and son's coffee roaster』
広大なスペースに立つカフェ。テラスや窓辺の席に座ると、四季折々の花や紅葉を見ることも。居心地のよい店の評判は口コミで広がり、毎日足を運ぶ人が絶えない癒やしの空間だ。「うちは昔ながらの喫茶店」と店主の松本義一さんは話す。自家焙煎をしたり、コーヒーの自家栽培をしながら、松本さんは30年近く世界中を回った。その経験から、コーヒー豆にはとことんこだわり、独自の澄んだコーヒーをサーブする。
『max and son's coffee roaster』店舗詳細
人と人の縁をつないでいくスペース『Cafe 279』
店名の「279」は「ツナグ」という意味。訪れる人との“縁”を大事にしている店主の原口康子さん。「近隣にカフェがなく、くつろげる場所をつくりたい」という思いで自宅をリノベーションして、2017年に開業した。高校生の娘を持つ母親でもある原口さんならではの経験を生かして、赤ちゃん連れから大人まで居心地のいい空間つくりを心がけている。ワークショップのイベントスペースとしても開放し、お茶を飲みながらハンドメイドを楽しむこともできる。
『Cafe 279』店舗詳細
アメリカントレーラーが目印『トレーラーcafe 銀色』
レトロなトレーラーはオーナーが船で輸送してきたもので、現役で使用していたときのまま残された部分が多く、アンティークや乗り物ファンにはたまらない空間。トレーラーの横はオープンデッキ、それを囲む庭にテーブルと椅子が置かれ、好きな場所をセレクトできる。「子供や犬連れのお客様が多い」という店長の岡さん。7~8割は地元で採れる野菜中心のメニューとなっている。
『トレーラーcafe 銀色』店舗詳細
世界チャンピオンのトップバリスタが営む『PHILOCOFFEA 201』
ワールドブリュワーズカップのアジア人初の世界チャンピオン・粕谷哲氏がオーナーのカフェ。日本が世界に誇るトップバリスタで、世界中のバリスタを指導するトップコーチでもある粕谷氏のコーヒーと美味しいスイーツが味わえる。
古い雑居ビル2階にある店内は、白と黒を基調にしたインテリア、木のカウンターにビンテージ感のあるアイアンのテーブルが5卓。美味しいコーヒーを淹れるために計算しつくされたメソッドで、最高に美味しい状態に丁寧に淹れられたコーヒーを楽しむための空間だ。
スペシャルティコーヒーを提供する『PHILOCOFFEA 201』では、豆によって淹れる温度も淹れ方も変え、イートインではカップにもこだわる。また、同店ではイートインのほか、テイクアウトや自家焙煎コーヒーの販売も行う。お湯とカップさえあれば淹れられるディップスタイルコーヒーもあり、世界チャンピオンのコーヒーを家でもアウトドアでも手軽に楽しむことができる。
『PHILOCOFFEA 201』店舗詳細
愛煙家のためのコーヒー『Café&Salt Bar TJ』
船橋駅南口を出て仲通り商店街を抜けた御殿通りにあるカフェバー。喫煙可能店で、周りに気を遣うことなくタバコ片手に美味しいコーヒーが飲める愛煙家のオアシスだ。コーヒーの種類は、柑橘系の独特な香りのエチオピアイルガチェフェ、甘い香りのバリアラビカ神山、さわやかな甘みのブラジルパッセイオ農園の3種類のストレートコーヒーとブレンドコーヒーの全4種類。
なかでも愛煙家におすすめなのが、「タバコを吸う人のための、タバコに合うコーヒー」にこだわって豆を厳選したブレンドコーヒー。タバコのフレーバーに負けることなくコーヒーの香りが感じられるように選び抜かれた、ブラジル種とケニア種のブレンドだ。ちょっぴり苦めでありながら、甘い香りがして後味がすっきりしている。
エスプレッソ用の豆で落としたコーヒーで作る自家製のコーヒーゼリーも人気の一品だ。夜のバータイムには、約20種類の国内外産の塩をお料理に合わせて選び、お酒とともに楽しむことができる。
『Café&Salt Bar TJ』店舗詳細
三世代が集まる純喫茶『珈琲モナリザ』
船橋駅南口からまっすぐ、徒歩5分ほどのところにある、昭和55年のオープン当時からそのままの姿で地元の人々に愛され続ける喫茶店。常連さんはもちろん、昭和レトロブームに魅せられた若い人たちも多数訪れる。
オープン以来40年以上まったく改装はしておらず、イスやテーブルも、手入れをしながら大切に使っている。お食事メニューもドリンクも甘味も、品数豊富だ。メニューのこだわりは、冷凍食品を一切使わないこと。すべて素材から仕込んでいる。厨房をあずかるチーフは開店当時からのスタッフ。ほかも長く勤めているスタッフばかり。
地元の常連さんのなかにはママさんとのおしゃべりが楽しみで来るお客さんも多く、子供の頃に来ていた子が親になり、3世代で来店する家族も。周りがどんどん変わってしまってもここがあれば昔の町の面影が思い出せる、いつまでも残っていてほしいお店である。
『珈琲モナリザ』店舗詳細
異国にテレポートできる不思議なカフェ『SUNNY DROP』
ターコイズブルーとコーラルピンクのビビットな壁紙、使い込まれた風合いの木のカウンター、ポップなアメリカン・トイ、天井の星屑のような照明と心地よいボリュームで流れる音楽。さらに濃厚なコーヒーとスイーツの甘い香りに包まれる。
細い路地裏にあるカフェの扉を開けて足を踏み入れた途端、アメリカ映画に登場するようなポップな空間にテレポート(瞬間移動)した感覚になる。『SUNNY DROP』はそんな楽しいカフェだ。
「若いときからいつかは自分でお店がやってみたかった」というリツコさんが、自身の地元・船橋に『SUNNY DROP』を開いたのは2021年3月。まだオープンして間もないが、「あそこのコーヒー飲みたい!って、毎日思ってもらえるようなお店にしたい。ここで人と人が繋がれるような場所にしたいです」とも。コーヒーへのかなり熱い想いとやさしいまなざしを持った店主が待っているカフェだ。
『SUNNY DROP』店舗詳細
絶品葛きりは賞味期限10分! 甘味処『茶房つむぎ』
JR船橋駅北口・東武野田線船橋駅改札を出てすぐ、東武百貨店船橋店5階にある『茶房つむぎ』は、1977年の東武百貨店船橋店と同時オープン以来、祖母・母・娘の3代に渡り続く甘味処だ。
南九州産の本葛100%のくず粉を使い注文後に一から丁寧に作る葛きりは、できあがりまでに10分ほどの時間がかかるが、その賞味期限は作るのとほぼ同じ10分。「葛切りは性質的に、時間が経つと伸びてきてしまって弾力がなくなってしまうんです」と、店長の橋本有記さん。しかも、本葛100%のくず粉を使って作ると時間がたつほどに固くなり、透明さが失われ白っぽくなってボソボソな食感になってしまうのだとか。
『茶房つむぎ』の葛きりには、全5種類のメニューがある。自慢の大納言小豆を使ったぜんざいや白玉、きな粉とセットになった甘味好きにはたまらない葛きりも。そんな葛きりを食べにちょっと船橋まで、というのもいい。
『茶房つむぎ』店舗詳細
秘密の花園の奥にある『Cue's cafe』
西船橋駅南口を出て右方向に歩くこと約2分、お花屋さんの奥にそのカフェはある。扉を開けて中に入ると、元気な女性スタッフの声が迎えてくれる。店の奥の大きな窓から差し込む明るい光と、ゆったりとしたスペースで「あ、居心地よさそう!」というのがここ『Cue’s cafe』の第一印象だ。
店主の広瀬泰子さんがこのカフェをはじめて12年。毎朝8時には店に入って仕込みをする広瀬さんは「毎日が楽しい」と明るく笑う。仲の良さそうな老夫婦や年配の女性の2人連れ、1人でふらりと入ってきた老紳士。お客さんの年齢層はちょっと高めだが、お店の雰囲気はのんびりとして和やかで心地よい。
また豊富なメニューもこのお店の魅力。アレンジ・デザートコーヒーだけでも13種類もあり、昔ながらの喫茶店の定番、ホットケーキやレモンスカッシュも。さらに、あんみつやみつまめまでそろう。地元民が集う町中華ならぬ“町カフェ”。まさにそんな愛されカフェだ。
『Cue's cafe』店舗詳細
『Kakuya Coffee Stand』でひっそりと味わいたい悦楽
温かな明かりが照らす総木造りの空間にため息。ここではネルドリップコーヒーを。金網ドリップを手に、湯を点滴して抽出。浅煎り、深煎りの2種の豆は、約1カ月ごとに品種を変えた自家焙煎で、濃密な香りに全身の力が抜けていく。「西船の人情に惚(ほ)れて、ここにたどり着きました」と、コーヒー屋台で全国を旅した店主の蘆田格也さんは、軒下営業に始まり、焙煎工房を店に作り替えた。日々、疲れを癒やす常連客が後を絶たない。
『Kakuya Coffee Stand』店舗詳細
『SUNNY DROP』はくつろぎのコーヒースタンド
ターコイズブルー、コーラルピンクの2色の壁がアメリカンポップ。「カリフォルニアメキシカンが好きすぎて」と笑うのは、店主のりつさんだ。うっとりするのがラテ。オリジナルブレンドを濃く抽出したエスプレッソのビターな香りとクリーミーなミルクが絶妙。むっちり固いプリン、甘くほろほろのマフィンなど、アメリカンなスイーツも見逃せない。カウンター席ながらほっこり落ち着く空気感に、年配客も足しげく通う。
『SUNNY DROP』店舗詳細
『tip cafe』のウッディなリビングで香りを満喫! [高根木戸]
深緑色の天井から枯れ葉をまとうランプが下がり、木棚に自家焙煎豆が並ぶ。藤原夫妻の“好き”を形にした空間は、まるで明るい森のよう。益子焼や笠間焼のカップに注いだコーヒーは甘みと苦味が豊かで、すっきりとした後味が印象的だ。また、季節のシフォンケーキもいい。早春は「衝撃的な味」という、大網白里市発祥のクロイチゴ“真紅の美鈴”の出番だ。甘み濃く、かむと甘酸っぱい香りが弾ける。
『tip cafe』店舗詳細
『珈琲屋からす』は風情も味わいも昭和の面影あり[京成津田沼]
2体の手彫りトーテムポールが店内入り口で門柱のように置かれ、赤い椅子、木柱、円形の窓が独特の風情を醸す。1963年創業の店を彩るのは、2代目中本千絵さんの両親が修業した市川「さぼうる」(閉店)の彫刻家店主の作品だ。メニューにも心躍る。シナモンスティックをスプーン代わりに用いるカプチーノは、昭和喫茶ならでは。上品な香りが立ちのぼる中、ゆったりのんびり味わいたい。
『珈琲屋からす』店舗詳細
『SMACK COFFEE ROASTERS』で音楽とアートと、コーヒーを楽しむ[実籾]
ポップなライトが随所でともり、棚をレトロ雑貨、壁際をLPジャケットが彩る。音楽やアートの洋書、レコードもずらり。「焙煎機が置きたくて」と探し当てた元倉庫にはマスターのコレクションが満載。ミッドセンチュリーのデザイナーズチェアに身を委ね、ロック&ポップスに体を揺らし、自家焙煎のコーヒーを手にのんびり読み耽(ふけ)る人が少なくない。小腹にいいトースト系はコーヒーのお供に。
『SMACK COFFEE ROASTERS』店舗詳細
『珈琲茶房 光香(こうか)』の和室+カフェ漬けでまったりする。[二和向台]
メニューにあるのは、世にも珍しきカフェ漬け。「超浅煎りをお茶漬けにしたものです」と、店主の川田純さん。茶釜から茶杓で湯をポットに注ぎ、木肌色の焙煎豆を抽出したコーヒーは薄茶色。飲めばこっくりとした黒豆茶のよう。自家製米した7分搗(づ)きご飯と雑穀のプチプチ感、塩昆布などの箸休めと一緒に、さらさらと胃の腑に収まる。和の雰囲気の中、うとうとまったり、時が過ぎる。
『珈琲茶房 光香』店舗詳細
取材・文=深山晴代、京澤洋子・丸山美紀(アート・サプライ)、林さゆり 撮影=猪俣慎吾、京澤洋子・丸山美紀(アート・サプライ)、井原淳一