ところで、「さんたつ」では「東京ビートルズ地図」なる連載を配信している。

せっかくだから「ビートルズ」の楽曲からセレクトしてみよう。
街はもちろん、小誌『散歩の達人』の最新号で特集した荻窪と西荻窪。

誹謗中傷さえご遠慮いただければ、指摘、反論、助言、賛同、何なりとどうぞ。

荻窪さんぽの1曲は「I Want to tell You」

アルバム『Revolver』より、ジョージのラブソング。
フェードインするイントロのギターリフと、ポールが弾く歯切れの良いピアノ、表情の変わらないジョージのボーカル。
その後に突如やって来る、♭9thの不安定な音といったら!
中央線の中では比較的ノーマルと言われている荻窪で、北口の細い路地を覗き込んでしまった時の、あのちょっぴり不気味な感じが、あまりに似合う。

このへんが、"When you're here..."の部分。

アルバム単位で考えるなら『Revolver』は圧倒的に高円寺っぽいが、この1曲だけは荻窪に合わせたい。

荻窪さんぽの1枚は『Help!』

アルバム単位で選ぶなら、まるっと『Help!』がよいのではないだろうか。
というのも、荻窪のテーマ曲候補が前期~中期のジョンの曲に偏りがちなのだ。アナログ盤のB面は少々西荻臭もするし、もう少し捻った、あるいはロックなアルバムでもよいかもしれないが、消去法での選出。

西荻窪さんぽの1曲は「Rocky Raccoon」

駅前を離れて住宅街に入ったあたりのイメージだ。ちょうど『松庵文庫』に向かっている時などは特に、この曲を聴きたくなる。
『The Beatles』、所謂ホワイトアルバムから、ポールの1曲。

ポールが時折繰り出すコンパクトで軽やかな小曲ならどれも西荻とマッチするように思うのだけれど、1番を選ぶとなったらこれしかない。
住宅街を突っ切って真っ直ぐに続く細い道(五日市街道の両脇に広がるアレ)を見たときの、ちょっと気が遠くなるような、気だるい感じがバッチリなのだ。

『松庵文庫』近くの五日市街道から北東方面を見る。

晴れた秋の日の西荻でもいいが、どんよりした曇りの日や、弱い雨が降る夕暮れだとなおこの曲がよく似合う。
ちなみに、南口を出てすぐの柳小路の昼間とか、ひと気がないガード下なんかには、冒頭のディラン風な歌い回しの部分もぴったりだと思う。

ディランの「Subterranean Homesick Blues」も似合いそう。

西荻さんぽの1枚は『The Beatles (The White Album)』

ホワイトアルバムの、こちらもやはりアナログ盤のB面。「Rocky Raccoon」があるし、「Martha My Dear」 で始まって、「I will」からの「Julia」が締めとは、うーん、完璧……。

半澤氏が選ぶ荻窪の1曲は「All You Need Is Love」

ところで、荻窪×ビートルズといったら忘れちゃいけない方がいる。先述の連載「東京ビートルズ地図」でも執筆している半澤則吉氏だ。荻窪在住で、連載「町中華探検隊がゆく!」にも登場する達人。もちろん、小誌の最新号でも活躍している。
半澤氏にも、荻窪に似合うビートルズを1曲選んでもらった。

説明するまでもないかもしれないが、「愛こそはすべて」という邦題でも知られるシングル曲。ジョンが書いて歌っている。
半澤氏曰く「ゆったりしていてなんとなく優雅、でもちゃんとロックはやっているという意味で、最初に思い浮かんだのがこれ」。

言われてみれば、ジョンが好きな変拍子も中央線カルチャーの片鱗のような気がしてくるし、ラ・マルセイエーズを使ったイントロは、丸ノ内線の「終点」らしい貫禄だ。
(ベロベロでご機嫌な金曜日の帰り道、終点で空っぽになった丸ノ内線を降りて歩き出す時にこのイントロがかかったら、ステキな週末を迎えられそう……。)

「テンポ的にも早すぎないのがちょうどいいかなと思って」という選曲の理由が、荻窪に住む理由のようにも聞こえる。
半澤氏の、荻窪への愛を感じる選曲だ。

 

プレイリストを作ろうと思えばいくらでもできそうなのだけれど、あれこれアルバムを聴き始めて仕事が手につかなくなりそうなので、ひとまずここまでにする。
周囲の音を遮断して歩くのは大変危険なので、ほどよい音量で(できればインナーイヤー型イヤホンで)お楽しみを。

爆音で思い切りビートルズを聴きたいなら、ぴったりのライブハウスを紹介しているので、そちらもご参考に。

住所:東京都港区六本木5-16-52 FORUMインペリアル六本木2号館B2F/営業時間:18:00~22:30(金・土・祝前日は~23:30)/アクセス:地下鉄日比谷線・大江戸線六本木駅から徒歩4分

文=中村こより(編集部)