走る”自転車基地”は快適そのものだった
”輪行(りんこう)”と聞くと、タイヤを外して輪行袋に入れて、着いたら組み立てて…… 冷静に考えると、とてもハードルが高く面倒な行為だが「B.B.BASE」なら、そんな心配は不要だ。
私は折りたたみ自転車だからいいけど、いっしょに行く彼は自転車を持っていない。ある日、両国駅からサイクルトレイン「B.B.BASE」が出ていることを知った私たちは両国駅のバイシクルステーションで彼の自転車を借りて(クロスバイク1日3000円〜要予約 ☎070-2187-5500)、佐原へサイクリングに行くことにした。
朝8時12分、両国駅3番線ホームから出発。幻のホームと言われていて、貨物のターミナル駅だった名残だ。その幻のホームから出るというのも、特別感があっていい。
車両は6両編成で全99席。サイクルラックに自転車を搭載し、車内に入って行くと驚くほどゆったりしている。朝ごはんを持ち込み、移りゆく景色を見ながらもぐもぐ。途中の出発駅、東千葉駅を過ぎたあたりで「景色がのどかになってきたね」と、外を見たら一面畑の景色が広がっていた。
9時42分、あっという間に佐原駅に到着。サイクルラックから自転車を下ろして、そのまま手押しでホームに降り立ち、佐原駅の改札を共に出る。列車を降りてすぐ自転車をこげるなんて、なんだか不思議な感じ!
川沿いに広がる「北総の小江戸」佐原を颯爽とサイクリング
佐原は利根川水運の中継基地として栄えた場所で、現在でも川沿いを中心に江戸情緒あふれる古い町並みが残り、関東で初めて国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された街。「北総の小江戸」とも呼ばれている。街の中心の小野川までは、自転車で5分ほど。
同じ小江戸でも川越は車の通りも結構あるので自転車は走りづらいが、佐原のこの川沿いは道幅もちょうどよく、ゆったり走れてサイクリングにピッタリ。

乗車券といっしょについてきた500円×2枚のクーポン券でお茶したり、おみやげを買ったりしながら下流に進むと、橋から水がジャージャー流れてる! この橋は「樋橋(とよはし)」という橋で、かつて小野川の東から対岸の水田に用水を送るためにあった大樋をイメージして造られたとのこと。
その奥には日本全土の実測地図を歩いて作った元祖・散歩の達人である伊能忠敬の記念館も。


お昼はパワーをつけるためにとんかつを食べることにした。なぜならば、このあと私たちは霞ケ浦を経由して、土浦の新しくオープンした『星野リゾートBEB5土浦』に自転車といっしょに泊まる予定なのだ。
取材・文=佐藤七海(編集部) 撮影=三浦孝明 イラストマップ=tent
※『散歩の達人』5月号より