皇居・丸の内・東京駅の基礎知識
皇居は徳川将軍の居城・江戸城だったところ。広さは皇居外苑を含めると230万平方メートルあり、東京ドーム49個分に相当する。皇居周辺散歩の楽しみは、江戸城の遺構と、それらと一体となった庭園や植栽の美しさにある。
丸の内は日本を代表するオフィス街。『三菱一号館美術館』から丸の内仲通りにかけては洗練された街並みで、都会散歩の人気コース。昼どきに現れるキッチンカーは丸の内の名物だ。隣接する商業ビルでショッピングやティーブレイクを楽しむのもいい。
コースの終点の東京駅丸の内駅舎は、建物を見るだけでも価値がある。『東京ステーションギャラリー』のレンガ壁の展示室に、駅舎の歴史がしのばれる。
1 昭和館
実物資料で学ぶ戦中・戦後の暮らし
戦中・戦後の生活上の労苦を次世代に伝える国立の施設。常設展示室は、昭和10年(1935)から30年頃の国民生活を中心に、実物資料約500点を展示。
2 北の丸公園
四季折々の草花を愛でる散策路
江戸城北の丸があった場所で、明治時代には近衛連隊の兵営地になった。昭和44年(1969)に森林公園として公開され、敷地内には武道館、科学技術館、国立近代美術館などがある。
3 科学技術館
見て、触れて、科学を体感する
現代から近未来の科学技術を学べる体験型博物館。エネルギー、電気、薬、富士山、自動車、自転車、地球などさまざまなテーマを設け、解説や実験などを通じて謎を解き明かす。
4 皇居東御苑
江戸城の遺構を訪ねる歴史庭園
江戸城の本丸、二の丸、三の丸の跡地を整備した公園。大番所、百人番所、松の廊下跡、天守台など江戸城の遺構が点在する。二の丸庭園はツツジやハナショウブの名所。
5 二重橋
定番の記念撮影ポイント
皇居正門に架かる2つの橋のうち、奥の正門鉄橋を指す。濠が深く、橋桁を支えるため二重構造となっていたことが名の由来。現在の橋は昭和39年(1964)に架け替えられたもの。
6 三菱一号館美術館
赤レンガが印象的な美術館
明治27年(1894)にジョサイア・コンドルが設計した丸の内初のオフィスビルを復元し、美術館として開館。19世紀後半から20世紀前半の近代美術を紹介する企画展を年3回開催。
M&Cカフェ
元祖ハヤシライスは明治の洋食
明治2年(1869)創業の本と文具の『丸善』直営の洋食店。創始者の早矢仕有的が考案した「早矢仕ライス」はハヤシライスの元祖といわれる。早矢仕ライス1180円。サラダ・コーヒーセットはプラス650円。
Café 1894
レトロな空間で味わうランチ
かつて銀行営業室として利用された空間を復元したミュージアムカフェ・バー。Café1894ガーデンプレートランチ(ハーブティー付き)1750円。展覧会タイアップメニューもある。
7 丸の内仲通り
丸の内のメインストリート
オフィス街を縦断する街路樹が美しい通りには、国内外の有名ブランドショップをはじめ、ハイセンスなレストランやカフェがある。ランチタイム前後には通りと一体となったオープンカフェ空間「アーバンテラス」として歩行者に開放されている。時期によりイルミネーションなどイベントが開催される。
8 東京ステーションギャラリー
東京駅丸の内駅舎内の美術館
独創的な企画展はもとより、レンガ壁の展示室やらせん階段、駅舎の歴史を紹介する2階回廊、ドーム天井の石膏彫刻など、国の重要文化財に指定される駅舎の構造を間近に見られるのが興味深い。
【街探検】ドームが美しい東京駅丸の内駅舎
開業時の姿で復原した赤レンガ造りの丸の内口駅舎
東京駅の開業は大正3年(1914)12月20日。設計は近代建築の父といわれた辰野金吾。3階建て全長約335mに及ぶ西洋建築で、外壁には埼玉県深谷市から鉄道で運ばれた赤レンガが使われた。鉄筋造りの建物は、関東大震災でも大きな被害を受けなかったほど堅牢だった。当時は、南北にドーム状の屋根があり、南口が乗車口、北口が降車口で、中央の玄関は皇室専用とされた。
しかし、昭和20年(1945)の東京大空襲によって大きな被害を出す。戦後、ただちに修復されたが、資材不足もあって、3階建てが2階建てに変更され、南北ドームが撤去されるなど、外観も大きく変わった。
2007年4月に始まった丸の内駅舎保存・復原工事は、2012年10月に完了する。失われた3階部分や南北のドームも復原され、八角形のドームの天井に取り付けられた8羽の鷲や8つの干支のレリーフも復原された。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より