レストランの定番といえば、ナポリタン、オムライス、ハンバーグ……悩んだ挙句に『ミックスフライ定食』が勝利した。いや、その勝利は必然だった。ザクザクとした大盛りのサラダと揚げたてのアブラの香り。なんと、タルタルソースまで添えてある。ホクホクのお茶碗ライスと味噌汁……これぞ定食のフルセットである。

私は、必ず定食は汁物からと決めている。箸を濡らすためだ。前もって「すごく熱いですからね」とマスターが言っていた通り、本当に熱い味噌汁だ。これは世界一熱い味噌汁かもしれないぞ。フーッ!と強めに息を吹きかけ、ひと口飲む。確かに熱いが……ウマい! なんて優しく、懐かしい味なのだろう。よく染みた大根と豆腐だけのシンプルなのが丁度いい。

いよいよ、主役のフライの出番だ。大振りのエビとホタテ、そして……ワカサギ! 湖といったらワカサギ、これがさり気なくミックスフライに含まれているのがうれしい。ソースをタラリと回し、カリッ、サクッと、まずはエビにかぶり付く。プリッとしたエビが歯触りが何とも心地よい。ホタテもそうだ、小ぶりながらもあふれ出る旨味は半端ではない。そして、ワカザギ。こいつはタルタルソースで味変といこう。ワカサギのほろ苦さが、タルタルの甘酸っぱさと絶妙な調和がたまらない。

ハフハフと、それらフライをどっしりと受け止めるのがライスの役割。炊き上がりの甘い香りと、パンチのあるフライが、やはりどうしても合うのだ。よし、分かっていたけれどおかわりしちゃおう、もう二杯はいける。


一年中、少し肌寒いくらいのエアコンが効き、洋食の匂いのする店内に、温かでおしいしい料理。食事の後は、まったりとホットコーヒーで寛いで……やっぱり、レストランはいい、本当にいい。

暗いニュースが多い中、でも〝あんな時代もあったな〟と、また何年後かに他のレストランへ行った時に、この湖のことを思い出すのかもしれない。
そう、レストランというものは人生において、結構身近で、そして大切な存在なのだ。

今こそ、ちょいと気分転換に、
いざ、湖の見えるレストランへ。


取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)