豊洲で直接仕入れた刺し身がうまい『ウオツネ』
中目黒駅から徒歩1分ほどの『ウオツネ』は2005年7月から居酒屋として営業しているが、以前は目黒川のすぐ東で食品スーパーとして長く営業していた。屋号からも想像できる通り、魚がウリのスーパーで、特に中トロの目利きのよさが自慢だった。その伝統は居酒屋『ウオツネ』にも受け継がれていて、今も豊洲から仕入れた新鮮な魚を提供している。
特上刺身定食(盛合せ)は季節ごとの魚や貝の刺し身が4種類が盛り付けられている。刺し身にわさび醤油をつけてからたっぷりのご飯と一緒に食べる贅沢。小鉢やお味噌汁が自家製なのもうれしい。
広い店内はテーブル席がメインだが、カウンターの席もあって1人でも気軽に入ることができるし、特にランチタイムは提供スピードの早さにもこだわっている。魚で季節を感じたいときにおすすめだ。
『ウオツネ』店舗詳細
贅沢なご飯と熟成和牛レアハンバーグの定食『釜元はん米衛 中目黒店』
中目黒駅から代官山方向に向かう道沿いにある『釜元はん米衛』は、1人分ずつ炊き上げられたご飯と黒毛和牛熟成肉を使ったハンバーグが食べられる、ちょっと贅沢な定食屋さんだ。
米は、京都の老舗米穀店『京都八代目儀兵衛(きょうとはちだいめぎへい)』から仕入れたブレンド米。店内のコンロで1人分の0.7合ずつ炊き上げられる。炊きたての甘い香りのご飯は、ツヤツヤピカピカ。
一方のハンバーグは、備長炭が赤々と燃える上で焼き目をつけられて、カウンターの上のコンロで各自が火を入れる。黒毛和牛を30日程度寝かせた熟成肉を使用していて、こちらも熟成香と呼ばれるナッツのようなコクのある香りに食欲を掻き立てられる。口に入れると粗挽き肉が持つ肉らしさが広がる。
ご飯とハンバーグ、2つの主役はどちらもタレや卓上調味料で味変しながらいただける。ご飯は炊きたてのおかわりがもう一度だけ可能というのもうれしい。
『釜元はん米衛 中目黒店』店舗詳細
定食スタイルのランチは自慢のおにぎりに野菜もたっぷり『Onigily Cafe』
ショーケースに並ぶテイクアウト用のおにぎりは全部で16種類。三角で、ほとんどがのりで包まれている。
ランチタイムには、定食スタイルのプレートを提供。人気のよくばりプレートは、シンプルな塩おにぎりにプラスして好きなおにぎりをひとつ選べる。さらにおかずとして、揚げてから時間が経っても衣がサクサクの唐揚げが2つ、総菜が2種類にお味噌汁とシンプルながらも充実し、野菜もたくさん食べられる。
使う米は長野県佐久市で栽培されたコシヒカリだ。粒が大きめで、もちもち感がある。ふんわり握ると、握りたては点と点がくっつくように仕上がるとのこと。
『Onigily Cafe』店舗詳細
異文化をも皿の上でミックスした5色のカレー『グラフィカリー』
世界のいろいろな地域にあるカレーを「全部をひと皿の中で混ぜ合わせたらおもしろそう」という発想から生まれたのが『グラフィカリー』のカレーだ。常時、紅(AKA)、黒(KURO)、黄(KI)、橙(DAIDAI)、碧(MIDORI)と5種類のカレーが用意されている。
紅(AKA)はカレーという料理のないメキシコの唐辛子で作ったカレー。有名なハラペーニョを燻製にしたチレ・モリータのほか、複数の唐辛子と8種類のスパイスが使われていてる。
付け合わせとして添えられる総菜も複数の国のレシピを参考にしている。スリランカの総菜をアレンジした三つ葉のサンボル、キャベツを使った南インドの総菜であるトーレン、自家製の干し大根と黒ゴマのアチャール、寝かせて乳酸発酵させたトマトのアチャール、そしてスパイスを効かせた味付け卵など。『グラフィカリー』は、カラフルなだけでなくひと皿で世界の味を試せる店だ。
『グラフィカリー』店舗詳細
/アクセス:東急電鉄東横線・地下鉄日比谷線中目黒駅から徒歩7分
約20種類のスパイスを使い分けた本格カリー 『Cafe REDBOOK』
カリーはどれも本格派で、スパイスはホールとパウダー合わせて20種類ほどを使い分けている。なおスパイスの仕入れ先は種類によって異なるというから、そのこだわりは並ではない。
メニューは定番が5種類、季節のメニューが2~3種類ほどあり、辛さもそれぞれだ。
店主が好きでよく食べるという豚肉のカリーは、ポークビンダルーと呼ばれるもの。角切りにした豚肉を、ビネガーとマスタードシードで作ったマリネ液にひと晩漬け込んでから、スパイスと一緒に煮ている。メニューに「甘酸っぱいカリー」とコメントされているが、辛さレベルは5段階中の4。程よくとろみのあるルーは辛さが前面に出ているものの、ワインビネガーからくる酸味と甘みがふとした瞬間に感じられる。辛いのに、どこか甘いという不思議さにスプーンが進む。
『Cafe REDBOOK』店舗詳細
元気を求めて駆け込みたい薬膳カレー『香食楽』
「日本の土地に合った、体を温める効果が持続するカレーを作りたい」と考えた店主が2005年にオープンした『香食楽(かくら)』。
定番となっているカレーは4種類。気を巡らせる食材がたくさん入っているのは巡るカレー、消化器系全般を補う食材を中心としたかくらカレー、黒胡麻、豆鼓(とうち)など黒い食材が入った黒カレー、肝、脾、心、肺、腎の五臓全体を補うベジカレーだ。入っているのは、たまねぎなどの野菜や鶏肉など一般的な食材がメイン。薬膳というから薬っぽさを感じるのかと予想したが、そんなことはまったくない。
近年、健康や美容への関心がずいぶんと高まったことで、オープン当時では考えられないほど幅広い年齢層が店を訪れるという。カレーがメインのため、ランチ、ディナーともに1人でも入りやすく居心地がいい。
『香食楽』店舗詳細
ボリューム満点のテクスメクス『JUNKADELIC』
メキシコの店をイメージしたインテリアも魅力の『JUNKADELIC』は、20年以上営業を続ける歴史深い店。中目黒駅から祐天寺方向に歩いて7分ほどの、住宅地や商店が混じり合う場所にある。
提供するのはかつてメキシコの一部だったテキサス州で発展したテクスメクス料理。タコスの他に、ブリトーやチミチャンガス、ケサディーヤなどもアメリカンなボリューム感で提供している。
トルティーヤに具材を包んで油で揚げたチミチャンガスは自慢のひと皿。野菜、チキン、ビーフ、ポークの4種類からひとつ選べるメイン具材と、メキシカンライスを包んで油で揚げたものに、メキシコ風の煮豆、フリホーレス、アボカドなどをたっぷり添えて提供。ひとつでおなかがいっぱいになるので、「おなかをすかせてきてほしい」とのこと。カリフォルニアとメキシコに共通するにぎやかで開放的な雰囲気も一緒にワイワイと味わいたい。
『JUNKADELIC』店舗詳細
タイと岩手の融合を味わう『タイランドキッチン たびする子ぞう 中目黒店』
中目黒駅から目黒川を通って代官山に向かう道にある『タイランドキッチン たびする子ぞう 中目黒店』。オーナーの鶏肉好きが高じて始めた店では、まずヘルシーな鶏のむね肉を使ってタイ料理のカオマンガイを作ることが決まっていたという。
いくつもの銘柄鶏で試作をした結果、いちばん柔らかく、しっとりゆであがったのが、オーナーの地元でもある岩手県産のブランド鶏・菜彩鶏(さいさいどり)だ。菜彩鶏の胸肉をしっとりゆで上げたスープで、タイのジャスミンライスを炊いている。チキンのスープをたっぷり吸ったジャスミンライスはいい香り。
野菜・ライス・鶏を盛り付けたお皿のそばには、自家製ジンジャーソースとソイソースが添えられる。卓上にある4種類も含めて6種類の調味料と一緒に、スプーンで鶏肉を小さく切って、混ぜて食べる。提供時間の速さも自慢のひとつだ。明るいデザインで、テイクアウト用の窓もあるなど、立ち寄りやすい雰囲気。
『タイランドキッチン たびする子ぞう 中目黒店』店舗詳細
懐かしくて今っぽいネオノス系中華そば『麺や みかん』
昭和を思い出すような懐かしさあるラーメンを、現代的にアレンジしたことを意味する“ネオノス(ネオ・ノスタルジック)系”中華そばの店『麺や みかん』。かつて同じラーメン店で修業した2人の男性が立ち上げた店のおすすめは、2種類のチャーシューが入ったMIXチャーシューだ。
ひとつはバラ肉を巻いてスープと一緒に煮た王道の巻きバラチャーシューで、柔らかさとしっかり染み込んだ味が魅力。もうひとつは、窯の中に吊るした豚の腕肉を炭火で焼いて、さらに燻製させた炭火つるし焼きチャーシューで、こちらは香りのよさも堪能したい。
スープは、豚のゲンコツや鶏のガラに、途中から煮干し、昆布、サバ節を加えてしっかり味と香りを引き出した後、火から下ろして翌日まで寝かせることで、コクと旨味が強く感じられるようにしている。シンボリックなナルトも印象的なネオノス系の一杯を試してみては?
『麺や みかん』店舗詳細
看板メニューはクセになる酸っぱ辛い酸辣湯麺『新潟三宝亭 東京ラボ中目黒店』
新潟に本拠地を置く中華をメインにした飲食店グループが、東京に進出。看板メニューのひとつが酸辣湯麺(サンラータンメン)だ。酸辣湯麺といえば酸っぱさと辛さの融合、そしてとろみのあるスープが特徴的。『新潟三宝亭 東京ラボ中目黒店』でも胡椒や山椒、自家製辣油といった辛みのある素材と、酸味が柔らかなお酢をスープに加えている。
麺は酸辣湯麺と、もうひとつの人気メニュー・全とろ麻婆麺のためだけの専用の麺で、とろみのあるスープが絡んでも切れることがないようにとコシを強めに作っている。
とろみのあるスープには具材が一体となっていて決して辛すぎることはないが、酸っぱさと辛さで体が温まる。クセにならないはずがない。
『新潟三宝亭 東京ラボ中目黒店』店舗詳細
幻の地鶏・天草大王のスープがポイントの鶏そば『炭火焼MARU』
2013年のオープン時から熊本の地鶏、天草大王の焼き鳥をメインとしている店。幻の地鶏とも呼ばれる天草大王は九州で水炊きに珍重されてきたが、なんと昭和初期に一度絶滅。のちに関係者の努力で復活したという逸話を持つ。
その貴重な天草大王のおいしさを存分に抽出したスープで作られているのが鶏そばだ。丸鶏1羽と鶏ガラをニンニクと生姜と一緒に圧力鍋で長時間煮込んで白濁させたスープは鶏の味が力強く、香りも高い。
スープはもちろんだが、鶏チャーシューも心して味わいたい一品。使っているのはもちろん天草大王で、部位は胸肉。ブライン液に1日漬け込んでからオリーブオイルと一緒に真空低温調理して仕上げている。もともと弾力ある肉質に絶妙に火が入ったものを、薄く削ぎ切りにしていて鶏肉らしからぬしっかりした歯応えを楽しめる。
『炭火焼MARU』店舗詳細
急成長ブランドが作る鴨ガラ由来の上品なスープ『らぁ麺はやし田 中目黒店』
各地に出店する成長著しいラーメン店が出したこの中目黒店は、駅の改札を出て徒歩30秒という便利な立地。女性客から外国人観光客まで誰もが入りやすい清潔感のある店構えだ。
スープは鶏清湯(ちんたん)だが、鳥取県産大山鶏丸鶏に加えて高級食材である鴨のガラを利用している点が珍しい。スープの味に特徴が出るのはもちろん、『らぁ麺はやし田』というブランドを知ってもらうきっかけにしたいと鴨ガラの採用に至った。
醤油らぁ麺にはキレと甘みのある特製醤油ダレを使用。コクや力強さの中にどことなく上品さも感じるのは、鴨ガラの力なのか。麺は複数の小麦をブレンド。醤油らぁ麺に使っているのは全粒粉を配合した細めのストレートだ。力強いスープに負けない小麦の香りと歯切れのよさが味わえる。
『らぁ麺はやし田 中目黒店』店舗詳細
香り高い澄んだスープとなめらかな手延べ麺が融合『うどん豊前房』
福岡県豊前の出身の創業者が店をオープンしたのは1998年のこと。当時、うどんの専門店が少なかった東京でおいしいうどんをと、店を開いた。現在は、最初はアルバイトとして働いていた2代目が店を切り盛りしている。
創業者が慣れ親しんだ出汁の味をベースに、麺は岡山県の製麺所から、揚げは京都南禅寺から、さつま揚げやかまぼこは下関からと、全国から選りすぐった材料を集めて一杯のうどんに仕立てている。
店内も広々として落ち着いた雰囲気。ランチタイムはもちろん、ディナータイムはだし巻き玉子などをつまみにお酒を飲む人も多い。近隣に住む常連客は第2の台所と話す人もいるほどだ。中目黒にあって身構えることなく、体に染みわたるような一杯を味わえる貴重な店だ。
『うどん豊前房』店舗詳細
希少な短角牛を使った ヘルシーで旨味たっぷりハンバーグ『中目黒グリル』
人気メニューに岩手県久慈市で育った短角牛を使用。短角牛は脂肪分が少ない高タンパクの赤身肉で、しかも旨味のもととなるアミノ酸をたっぷり含んでいる。その吊るし熟成短角牛をリーズナブルに食べられるのが、ランチのハンバーグだ。もちろん短角牛100%。
熱せられた分厚い鉄鍋フライパンにのってハンバーグは提供される。しっかりとした厚みと大きさ。添えられたソースをかけるとジューッと音がしてさらに期待が高まる。ハンバーグは挽き肉がギュッと詰まっているが、口の中で肉がほどける様も力強くて食べごたえもばっちり。
ボリュームはあるが、脂が少ないせいか最後のひと口まで飽きない。
『中目黒グリル』店舗詳細
喫茶店文化をつなぐ王道オムライス『アート喫茶フライ』
『アート喫茶フライ』は、昭和の日本を意識したインテリアが落ち着く店。店は山手通り沿いに立つビルの2階で、店へと続く階段の脇に、メニューのサンプルが入ったショーケースが置かれていところから懐かしさが感じらえる。
名物はオムライスとナポリタン、ツートップと言える洋食の王道だ。迷った末に頼んだオムライスは、フライパンで丸く焼いた卵にチキンライスをのせて包むオーソドックスなスタイル。なめらかなで明るい黄色の卵にスプーンを入れる瞬間もワクワクしてしまう。添えられたトマトソースは、酸味にフレッシュさもあって、プロが作るオムライスの魅力をしっかり備えている。
広い店内では、月替わりでアート作品の展示を行っているのも魅力のひとつ。きっかけは懐かしい洋食でも、アート作品でも、どちらのよさも味わって欲しいと考えられた店だ。
『アート喫茶フライ』店舗詳細
人気メニューをひと皿に。とろとろ玉子のオムリバーグ『麻布笄軒(あざぶこうがいけん) 中目黒店』
とろとろ玉子のオムリバーグは7~8割ほどの人が頼む中目黒店だけの人気ナンバーワンメニュー。ケチャップライスの上にハンバーグ、そしてオムレツが重ねられ、チーズソースとデミグラスソースが組み合わせられていて、写真や動画を撮らずにはいられない。
ハンバーグはひとつ180g。注文が入ってから最終的な成形をしてフライパンで焼き、中目黒店ではスチームコンベクションオーブンへ。スチームを使っているので中までふっくら仕上がる。
厨房ではハンバーグの焼き上がりに合わせてオムレツを焼き始める。じっくり火を入れてからフライパンの持ち手をトントントン。焼き上がったオムレツがハンバーグの上にのせられて弓なりにカーブする姿も微笑ましい。
『麻布笄軒 中目黒店』店舗詳細
サクサクのミートパイが味わえるガストロパブ『SWAN & LION Modern British Pub』
イギリスの料理につきまとっていた「質素で味気ないイメージ」は、今や過去のものらしい。現代的なイギリス料理、モダン・ブリティッシュを提供するガストロパブが、2024年に目黒銀座商店街に誕生した。イギリス人オーナーのイアン・ギビンスさんは、15年ほど前に仕事で日本に住むようになり、「もっとイギリスの味を知ってほしい」と市ケ谷にテイクアウト専門店を開いて評判に。そして中目黒に念願だったガストロパブ形態の『SWAN & LION』をオープンした。
ミートパイは看板メニューのひとつ。パイは専用の機械をイギリスから取り寄せて、一つひとつ作って、焼きたてサクサクで提供している。グレービーソースを使ったミートパイは、トロッとしたフィリングとともにボリュームのあるお肉の塊が中から顔を出してボリュームも充分。
平日のランチメニューは、サラダやスープがたっぷり添えられる。イギリスでは、季節の野菜がたくさん食べられることもオーナーのイアンさんが、中目黒の店から伝えたいことのひとつだ。
『SWAN & LION Modern British Pub』店舗詳細
甘じょっぱい自家製クイニーアマンのサンドイッチをセットで『Chou de ruban(シュードゥリュバン)』
パティシエが手作りしているクイニーアマンは、フランス・ブルターニュ地方の郷土菓子。甘じょっぱくてバリバリした食感が魅力で、生地は密度があり食べ応えもある。ランチのおすすめは、このクイニーアマンを使ったサンドイッチのセット。塩気の効いたサーモンを挟んだものが人気だ。
店主はブライダル業界で花を中心に据えたディレクション経験があり、店は花屋を兼ねている。
店内のあちこちには店主のセンスが感じられて、特にテーブルのディスプレイが華やかだ。ガラスの下に季節に応じて花やグリーン、そしてジオラマ用の動物たちが飾られていて、どんな季節も楽しい時間を過ごせる。
『Chou de ruban』店舗詳細
取材・文・撮影=野崎さおり




