有名人が足繁く通う焼きカレーの名店!
『ストーン』の店内にはひときわ輝く“カレー TOKYO 百名店”のプレートが飾られている。
店主の大島さんも、突然プレートが送られてきて驚いたとのこと。
「まったく知らなくて、突然届いたんですよ。別に積極的に何かしたわけではなくて、ほんと突然送られてきて。そんな受賞するようなお店じゃないんですよ」。と大島さんは照れながら語る。
ちなみにこの周辺でカレー TOKYO 百名店に選ばれているのは、『ストーン』だけ。東京のカレー店においてユーザーが選んだ名店の一つなのだ。
焼きカレーの意外なこだわりとは?
大島さんいわく「それこそ幼稚園くらいの小さなお子さんから、おじいちゃんおばあちゃんがおいしいって言ってくれれば、僕は満足なんですよ。素材にこだわるとか、そうしたことは特にやっていないんです。どこの家庭でも食べられる普通のカレーなんです。週に一度は食べたくなる、そんなカレーを提供しています」。
早速焼きカレー900円を注文する。
大島さんのお話の通り、焼きカレーの第一印象はなつかしい味だった。まさに実家で食べるカレーの味。カレーの中にはウインナーやブロッコリーが入っている。焼きカレーの表面はトロトロのチーズで覆われており、さらに卵もトッピングされている。
熱々でうまい。これはくせになる旨さ。カレーは、子どもの頃から楽しみなメニューだったけれどその感覚が蘇るのだ。家庭で出されるカレー。そのカレーをそのままではなく「焼く」という工程を通すことにより、家庭のカレーがお店のカレーに変わる。
こうした焼きカレーだが、きっかけは常連さんからの一言だったらしい。
焼きカレーを始めたきっかけは常連さんからの要望だった
「もともとこの店は喫茶店から始めたんですよ」。と大島さんは語る。
「喫茶店なんですが、夜も遅くなるとお酒も提供していた。そんなお店だったんですね。常連のお客さんがいつもカレーを〆で食べていたんですよ。そんなときに、もっと変わったカレーが食べたい、他のカレーを食べたいって言い出したんで、うちの嫁がカレーをオーブンで焼いて出したんです」。
カレーにチーズを加えて焼くことで香ばしさが強くなり、ドリアのようになった。これが口コミで広がり人気のメニューになったそうだ。
「少しずつ焼きカレーの注文が多くなって、喫茶店ではなく焼きカレーのお店にしてしまおうと思ったんです。それで焼きカレーのお店を2000年からスタートしました」。
2000年と言えばまだSNSなどもなく、『ストーン』の焼きカレーは常連さんからの口コミでどんどん広がっていったそうだ。
なんと韓国のメディアでも取り上げられた
『ストーン』は韓国からのお客さんも多いのだそうだ。
「コロナ前に旅行で日本に来てくれていた韓国の女の子が、何度も何度も通ってくれたんですよ。それこそ週に4回くらい。SNSに載せてもいいですか?と聞かれて、もちろん大歓迎ですよと言いました」。
次の年から韓国のお客さんが増え、うれしいことに韓国のテレビ番組が取材にくるまでになったそうだ。
「テレビ番組で来たタレントは韓国では有名な方らしいんです。店内に飾ってあるサインを見て、へぇーすごいですね!とお店を訪れた韓国の方も驚かれるんです」。
『ストーン』の人気はSNSや雑誌の影響だと大島さんは言う。けれど大島さんの人柄が人を呼んでいる、そんな気がした。
最後に大島さんはこう話す。
「私は地域の町会にも積極的に参加しているんです。浅草橋界隈がより住みやすい地域になるように、警察や消防と協力して地域の安全にも取り組んでいるんです」。いろいろな形で地域に貢献し、『ストーン』を続けてきた大島さん。地域愛にもあふれているのがわかる。
取材・文・撮影=アサノカツヒト