これもさくらの仲間!?「緑のさくら」をご存知ですか?
さくらといえばピンクのソメイヨシノが一般的ですが、「緑色のさくら」があるのをご存知でしょうか?
ソメイヨシノが見ごろを過ぎ、4月中旬~下旬頃になると満開を迎えるのが「御衣黄(ぎょいこう)」と呼ばれる品種です。御衣黄は八重桜の一種で、緑色の花を咲かせます。遠くから見ると葉っぱのように見えますが、近づくと花びらがいくつも重なり合っている様子が分かります。
御衣黄という名前は、貴族が着ていた衣服「御衣」の萌黄色(もえぎいろ)が由来だそうです。
また、御衣黄の仲間の「鬱金(うこん)」も変わった色合いのさくらです。淡い黄色をしていて、少し緑色も混じっています。
御衣黄や鬱金の緑色は葉緑体によるもので、御衣黄のほうがその量が多いため、はっきりとした緑色になります。
新緑を思わせる緑のさくらはフレッシュなイメージで、新年度のスタートにもぴったりです。
めずらしい品種ですが、御衣黄は首都圏では新宿御苑(新宿区)などにあり、沖縄県を除く日本各地の100か所以上で見られるため、春のお散歩を楽しむときに探してみてください。
実は気温に敏感? ある温度を超えると花開くチューリップ
「咲いた咲いた~♪」とリズムに合わせて口ずさんだ思い出がある人は多いのではないでしょうか?春の公園や街中を明るく彩る花といえば、チューリップです。
いつ見ても同じように可憐に咲いているかと思いきや違うんです。
チューリップの花は、気温に反応して開き具合が変わります。気温が大体10℃以下だと花は閉じていますが、15℃くらいで開き始め、20℃以上と暖かくなると大きく開くようになります。春は、日中は暖かくても朝晩はまだ冷える日が多く、一日の寒暖差が大きい季節です。昼間にお散歩するとき、夜の帰り道など気温の変化に合わせて姿を変えるチューリップに注目してみてください。
ツツジはなぜ道路沿いでよく見るのか?
道路沿いの植え込みでよく見かける花、ツツジ。赤やピンク、白などさまざまな種類がありますが、なぜ道路脇に多く植えられているのでしょうか?その理由は、ツツジには知られざる力があるためです。
実は、ツツジには空気を清浄にする力があり、さらに、大気汚染や乾燥などの過酷な環境にも耐えられるため、車の排気ガスやアスファルトの熱にも強いのです。4月も半ばになると、あちこちで鮮やかなツツジの姿が見られるようになります。お散歩中に見かけたら、たくましく空気を綺麗にしてくれるツツジに思いをはせてみてください。
高貴な見た目と香りが魅力。「バラ日和」な気温と天気
初夏が近づく頃、華麗な花を咲かせるのがバラです。バラは多種多様な品種があるため通年で楽しめる花ですが、5~6月にかけて開花するものが多いようです。ゴージャスな見た目とともに魅力的なのは、その気品高い香りです。
晴れた青空の下、お散歩に出かけるのはとても心地良いですが、バラの観賞を楽しむのに私がおすすめしたいのは「曇り」の日です。
なぜなら、香りを堪能するのにぴったりなのは、雲が広がって湿度の高い日なのです。湿度が高くなり、空気中の水蒸気の量が増えると、香りの成分が空気中に長くとどまるため、香りを強く感じられます。
また、綺麗なバラの風景を写真におさめるのにも曇りの日はおすすめです。晴れた日は光の差し込み方によって、花の明るさが変わってしまいますが、曇りの日は影ができにくいため、特別な技術がなくても誰でも植物の写真を撮影しやすいといえます。どんよりとした空が入り込むと暗い印象になるので、できるだけ花に近寄って撮影しましょう。
さくらは散っても、まだまだ春爛漫の風景は続きます。お散歩しながら、季節の移ろいを味わってみませんか?
写真・文=片山美紀