森下の茶問屋『福泉茶店』

『福泉茶店』の4代目、菊地悟さん。

地下鉄森下駅から徒歩4分、江東区新大橋で昭和3年(1928)から茶問屋を営む『福泉茶店』。「なじみのお茶屋さんが閉じてしまった」と相談を受けたことをきっかけに、平成28年(2016年)には卸売に加えて小売も始めた。

扱うのは主に静岡のやぶきた、鹿児島のゆたかみどり・さえみどり、鹿児島と静岡のあさつゆの4品種。店頭に並ぶ20~30種類の茶葉はすべて4代目の菊地悟さんが厳選して買い付けている。

店頭では茶葉を購入できるほか、淹れ立てのお茶をテイクアウトすることができる。

ワンポイントレッスンで淹れ方のコツを教わり、そのままテイクアウト。

新サービスとして、テイクアウトの際にお茶をおいしく淹れるコツを数分で伝授してくれる「お茶の淹れ方ワンポイントレッスン」を始めたほか、茶葉の味比べをしながらお茶の淹れ方をじっくり1時間ほど学べる「お茶の淹れ方教室」を開催している。今回は「お茶の淹れ方教室」に参加し、初心者向けのお茶の淹れ方を教えてもらった。

これだけは揃えておきたい基本の道具

基本のお茶セット。右上から時計回りに急須と湯飲み、茶しゃく、茶托。

おいしい日本茶を淹れるために揃えておきたい基本のセット。

急須」、「湯飲み」、「茶しゃく」、おもてなしの際には「茶托」。これに加えて湯を適温に冷ます「湯冷まし」があれば完璧だが、湯飲みやマグカップで代用できる。

手順1【湯と茶葉の分量】

深蒸し茶はすりきり小さじ1

日本茶とひとくちにいっても、「煎茶」、「玉露」、「抹茶」をはじめいくつもの種類がある。今回は、一般的に最もよく飲まれているという「煎茶」と、煎茶の蒸し時間を数十秒長くした「深蒸し茶」の基本的な淹れ方を教わる。

お湯「100ml」に対する茶葉の量は、「深蒸し茶」の場合は「小さじ1(2g)」、「煎茶」の場合は「小さじ1強(3g)」。

手順2【湯を適温に冷ます】

熱湯を湯冷ましに注ぎ、70~80℃に冷ます。

まずは沸かした湯100mlを湯冷まし(または湯飲み)に注ぎ、70~80℃まで冷ます。

水は30~90mg/Lの硬度がおすすめ。東京の水道水はこの範囲に収まる。

手のひらで包み込むように持った際、ギリギリ持てる熱さが70~80℃の目安。

菊地さんによれば、季節や体感温度によるが、70~80℃の目安は湯冷ましの底を手のひらで包み込むように持った際にギリギリ持てる程度の熱さ。

淹れ方教室でも温度計を使うことはなく、この方法で温度を確認。

手順3【急須の選び方・茶葉の量り方】

常滑焼の急須。左は右利き用。右は『福泉茶店』オリジナルの左利き用。

湯を冷ます間に茶葉の準備をする。

『福泉茶店』では、定番の愛知県の常滑焼の急須を使う。サイズは淹れたい分量以上に自分の手の大きさに合っていることが大切とのこと。実際に手に取り、持ちやすさを確認しながら選ぶのがおすすめ。

もうひとつの急須選びのポイントは「茶こし」だ。取り外しのできるかご網タイプではなく、注ぎ口の内側に目の細かい茶こしがついているものを選ぼう。スペースが広くなり茶葉が十分動けるため、味が抽出しやすいという。

煎茶は小さじ1強

先述のとおり、お湯「100ml」に対して「深蒸し茶」の場合は「小さじ1(2g)」、「煎茶」の場合は「小さじ1強(3g)」の茶葉を急須に入れる。

手順4【湯を注ぎ茶葉を蒸らす】

70~80℃に冷ました湯を注ぐ。

茶葉を入れた急須に、70~80℃に冷ました湯を注ぎ蓋をして、「深蒸し茶は30秒」、「煎茶は1分」ほど蒸らす。

深蒸し茶の方が成分が早く抽出されるため、煎茶より蒸らし時間が短い。湯の温度が高くなるほど苦みや渋みが増し、温度が下がるほど甘みが増す。

手順5【お茶を注ぐ】

濃さが均一になるよう交互に注ぐ。

要はお茶の注ぎ方。濃さが均一になるよう、湯飲みに少しずつ交互に注ぐ。

急須の中の茶葉が動くよう意識して注ぎ、「ラーメンの湯切りのような動きで」絞りきる。最初は薄く、注ぐにつれて濃くなる。

最後の一滴まで絞りきるように注ぐ。

最後の一滴まできっちり注ぐ。そして注ぎ終わったら蓋を外しておく。どちらも2煎目をおいしく淹れるための大切なポイントだ。湯が残り茶葉が蒸れると、2煎目に余分な苦みが出て風味が損なわれてしまう。

加えて最後の1滴には旨みが詰まっているので、2煎目を淹れないときでも注ぎきる。

2煎目以降はどう淹れる?

50mlの小さな湯飲みに2杯分。均一な濃さに入った。

1煎目を注ぎきったら2煎目も楽しみたい。2煎目は1煎目よりも高い湯温、80~90℃を目安に注ぎ、蒸らし時間は不要。一呼吸おいたらすぐに注ぐ。

1煎目も2煎目も、最後の1滴まで絞りきるように注げばできあがり。

茶葉の保管方法は?

開封した茶葉は、できるだけ早く飲もう。

未開封の茶葉は冷蔵保存がおすすめとのこと。開封した茶葉は劣化が進むため、できるだけ早く飲もう。

『福泉茶店』でお茶の淹れ方を教わるには

テイクアウトは店の紙カップ、またはマイボトルで。

お茶の淹れ方教室に参加して、淹れ方による味の違いに驚いた。高い温度で淹れたり蒸らしすぎたりしたお茶は、渋みが強すぎて飲みづらく、同じ茶葉でお手本通りに淹れたお茶は、渋みがまろやかで甘みがあり、風味もしっかり楽しめた。

今回、初心者向けのお茶の淹れ方を教えてくれた菊地さんが店主の『福泉茶店』で提供しているレッスン内容は下記のとおり。ワンポイントレッスンは、テイクアウトの際に数分で淹れ方のコツを教えてくれるので、気軽に参加してみてはいかが。

【お茶の淹れ方教室】-身体の中へ美容液-
人数:2~4名/回
開催日:土曜
開催時間:11時・14時
所要時間:1時間程度
費用:1,500円/名
注意事項:要予約

【お茶の淹れ方ワンポイントレッスン】
人数:適宜
開催日時:随時
所要時間:2~3分程度
費用:450円(テイクアウト料金のみ。レッスン料の追加料金なし)
概要:テイクアウト時に「ワンポイントレッスン」と依頼。
淹れ方を説明しながら急須から紙カップへ注いだお茶をそのままテイクアウトできる。

住所:東京都江東区新大橋3-17-5/営業時間:9:00~17:00/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄新宿線・大江戸線森下駅から徒歩4分

文・撮影=原亜樹子(菓子文化研究家)