審査員 総評

「よき」と思えば、それが「よき文字」!(松村)

今回、コンテストという形式で「さんたつ」編集部と私で何点かの文字を選びましたが、入選に漏れたからと言って、それが「よき文字」ではないということではありません。投稿者のみなさんが「これはよき文字!」と思われた段階で、それはあなたにとってよき文字なのです。(ゲスト審査員 松村大輔)

松村大輔
小誌2020年6月号「ご近所さんぽ」特集では、街の文字探索のエキスパートとして登場。1973年生まれ、出版社パイ インターナショナルに所属するブックデザイナー。著書に『まちの文字図鑑よきかなひらがな』(大福書林)『まちの文字図鑑別冊 商店街看板めぐり』(私家版)などがある。

選ぶのが苦痛でした(武田)

力作ばかりで選ぶのが大変というより苦痛でした。書体だけで選ぶべきか? 店の看板や外観全体でアピールするのも捨てていいのか? そもそも「よき文字」とは何か? と言った根源的な問いに何度もぶち当たった結果です。僅差で選ばれなかった作品が5倍ぐらいあると思ってください。(さんたつ編集長 武田憲人)

選考会の様子。力作ばかりで悩みまくる審査員一同。

受賞作品

2名の方の作品2点を「きわめてよき文字で賞」、28名の方の作品41点を「よき文字で賞」として選出させていただきました。

きわめてよき文字で賞

asさん(@as94503168)

ネオンが好きな私の心をつかんだ文字。「バ」の二画目と濁点が一本のネオン管で構成されていることがわかりますか? ネオン素材だから生まれた文字のデザインだと思い選びました(ネオン看板はネオン管が少ない方が製造コストが省けるんです)。「バ」一画目の元気なカールも楽しいです。(松村)

 

manaさん(@moll_mn)

なんと力強い。そして「アララ」と各文字に走る縦二本の線がシャレている。店は岡山だそうですが、ひと味違うこだわりがにじみ出ています。ネットで見る限り確かにそういう店のようで、文字は体を表すのだなあ。(武田)

 

よき文字で賞

*紹介は順不同です。

(株)ワッカデザイン🎄わっかさん🎄豊島区池袋💫さん(@Wacca3_u_u)

私が勝手に「回転カタカナ」と読んでいるジャンルの手法で、「ヨ」がよっつで「ヨシ」、真ん中に「池」で吉池となるマークです。「回転カタカナ」は家紋や社章にも使われる古くからある手法のようで、市町村の章などにも用いられるケースがあるので、探してみてください。(松村)

 

Mayasan 摩耶山さん(@sumo_maya)

見どころが多い看板ですが、まずは「園」の略字。漢字の略字に片仮名を充てるケースはままありますが、大胆にも平仮名を入れ込んだ優しさとオリジナリティに拍手! 加えて「花」の草冠もループしていて楽しい(「生花」の方の草冠の形は普通!?)。チューリップのイラストもかわいく、思わずニンマリしてしまう看板でした。(松村)

 

kanさん(@kan126)

四画目を二画目にインする「ふ」をはじめて見ました! マルやテンの要素が続く「ふぢや」という屋号だから生まれたデザインなのかもしれません。「ぢ」の濁点もすっぽりインしているのに、「や」の点は半分しか入れてないところもニクイです。(松村)

 

Emilyさん(@toryhilove)

看板の形自体も矢印になっていてとても目立っていますが、経年劣化によるひび割れが追加されたことにより、可読性こそ落ちたものの、さらにインパクトが上がり、〈読んでみたくなるお知らせ看板〉になっている点がミラクルです。歌舞伎の隈取のようでもあります。(松村)

 

ハイジさん(@nemuijan)

焼き印が押された棒の文字自体も少しやんちゃで可愛らしいのですが、おでんなのに所狭しとすし詰めになってる様子がなんともいじらしい。1本斜めに倒れかかっている子がいることで、それぞれが意思を持っているようにも見えてきます。良い写真ですねー(松村)

 

パスカさん(@freak575)

パソコン搭載のデジタルフォントで制作されたものなので、本来このコンテストにはエントリーされないはずの文字なのですが、「できます」の文字間が詰まりすぎていて、新しい文字が誕生したかのような美しいシルエットを見せてくれています。これをエラーとして扱わず、違和感込みでヨシとし掲示したディーラーさんの優勝です! すごくカッコイイ!!(松村)

 

パスカさん(@freak575)

よく見ると前と後ろの看板の書体が違う。「プ」は「゜」の付き方が違うし、「リ」はもしかしたら同じかもしれないが、「マ」は全然違う。いずれにせよ相当凝っているにもかかわらず「プリマ」と読みにくいのがオシャレだ。(武田)

 

パスカ_44

これは「ピッコロ」だろう。こんな文字はないのに、誰でも一発で読める。下にぶら下がった「たばこ」もいい。「焼き肉メインですが一応たばこも売ってます」という姿勢が一目瞭然。個性的だが大変明解である。(武田)

 

茜ナツキさん(@akane3natsuki)

いわゆる「ベルバラ書体」(by 松村大輔)ですが、「ファンシー」という言葉の意味は日本語と英語は結構違います。「高級でおしゃれで派手で大げさ」さらに「性的魅力を感じる」という意味もある。書体的には概ね正解。(武田)

 

真尚さん(@Krj_Sweet_Soul)

絵も文字も、昭和の名ドラマ『プレイガール』がネタ元でしょう。「しんばし」はかなりデフォルメされてますが、読みやすく力強くていい存在感です。博多のビルの看板だそうですがテナントより目立ちそう。(武田)

 

大福書林さん(@daifukushorin)

昭和51年のドラマ『高原にいらっしゃい』は信州のすべてを「ペンションと白樺」に塗り替えましたが、その傷痕です。よく見ると「信」の口の部分、「州」の枝ぶり、「肉」の一画目のくぼみなどディテールも泣かせます。(武田)

 

玄冬さん(@kourun)

トラの縞を表現したのか、ただプリンターの調子が悪かったのか、にわかには判別できないのだが、ところどころ途切れた文字がいい味を出してます。気合の入ったロゴのわりに、掲出のされ方がちょっと雑なのが、ますます愛おしい。(さんたつ編集部 星野)

 

けっとるさん(@caitloup)

黒い箱である。黒い箱なのであるがちょっとした凹凸でしっかりとBLACK BOXと読めるのが、とにかくスゴい。恐らくどこかのボーイスカウトの関連施設なのだろうが、ホワイトなイメージのボーイスカウトに対してこういう名前を付けたストーリーが知りたくなる。(さんたつ編集部 星野)

 

kanさん(@kan126)

ぱっと見は読めないけど、よ~く目を凝らすと見えてくる文字が、なんだか謎解きみたいで楽しい。さぞかしオシャレな骨とう品屋さんなんだろうな!と思って調べたら静岡の定食屋さんだった。土器売ってないんかい。そんなズッコケ感も愛おしくなってしまった。海鮮丼と天ぷらが売りらしいです(食べログ調べ)。(さんたつ編集部 白瀧)

 

パスカさん(@freak575)

うんうん、「ピカソ」を文字であらわすとこんな感じだよね!! 解釈一致!! と思って直感で選びました。三角形で統一された文字のつくりが美しいです。鏡面の文字に青空が映し出されていて、なんだかビルが透けているみたい。(さんたつ編集部 白瀧)

 

サナエさん(@megasne)

みなさん気が付きましたか? 彼と目が合いましたか? 「縄」の文字に潜むシーサーに……。私はその視線に射抜かれてしまいました。「沖」の字に浮き輪の面影が見えるのも、「タウン」に波の音を感じるところも秀逸です。(さんたつ編集部 中村)

 

ポリベビーさん(@1217_Xxxunicorn)

ちょっと顎がしゃくれて得意げな「ミサワ」もよいのですが、私が惚れたのは「アツアツ弁当」のほう。ちょっと「ワーオ♡」な感じのアツアツ感がたまらんのです。(さんたつ編集部 中村)

 

かったさん(@Skatttt)
千夏さん(@1072_c)
千夏さん(@1072_c)
哲さん(@tetolaboratory)
はらやきりさん(@harayakiri)
Zzzさん(@zenigata0024)
わたしさん(@watashi19931105)
KanaeCpさん(@CalmoPasar)
ポルカ社さん(@po_polka)
ポリベビーさん(@1217_Xxxunicorn)
小西秀和/日常採集標本家さん(@hdkzkony)
コードデザインスタジオさん(@chord87)
asさん(@as94503168)
村中貴士@編集ライターさん(@LR445)
雨の日グラフィックスさん(@amenohigraphics)
にしむらこうすけさん(@djv3SLSQOlizCrb)
かったさん(@Skatttt)
kanさん(@kan126)
パスカさん(@freak575)
kanさん(@kan126)
けっとるさん(@caitloup)
パスカさん(@freak575)
山尾信一さん(@notfound800)

賞品は本染めの「さんたつオリジナル手ぬぐい」

受賞された30名の方には、東京本染「さんたつオリジナル手ぬぐい」をお送りさせていただきます。
*2作品以上入選された方でも、賞品はおひとつです。ご了承ください
*受賞者のみなさまには順次TwitterのDMをお送りしておりますので、ご確認をお願いします

渋くて小粋な素敵なデザインの手ぬぐいです。詳細は下記の記事をどうぞ。

手ぬぐいと聞いて「お百姓のおばあちゃんが頭にかぶってるやつね」と思ったあなたは古い。いや、そんな方はさすがにいないのだろうか。タオルやハンカチに比べて乾きやすく、かさ張らず、工夫次第で用途もさまざまとあって、近年にわかに人気が高まっている手ぬぐい。雑貨屋やみやげ屋でもよく見かけるようになり、筆者も愛用しているが、“染め”にこだわって選んでいる方はどれほどいるだろう。小粋なオリジナルグッズを用意することと相成ったこの秋、「さんたつ」編集部は、人形町『戸田屋商店』の協力のもと本染めの手ぬぐいを制作。染めの工程は足立区花畑にある「旭染工」で行われると聞き、その技術を見せていただくべくお邪魔した。

講評会「よき文字について語る会」

ゲスト審査員・松村大輔さんと、さんたつ編集長・武田憲人とで、「よき文字について語る会」と題し、本コンテストの講評会を行ないました。

その様子は動画としてYoutube「さんたつ」チャンネルで配信。“よき文字”たちへの愛を熱く語っています。ぜひご覧ください。