カフェを通じて地域とコミュニティを作りたい
JR渋谷駅から山手線を左手に見ながら歩くこと10分、「渋谷キャスト」の1階にカフェ『Marked 渋谷』を見つけた。
ガラス張りなので開放感があり、木を基調にしたインテリアはとても温かみがあっていい。朝日が差し込む席に座ったらヨガでもしているような爽快感。日光を浴びていると、どんどん目が覚めていく。
筆者のチャクラがすっかり開いたところで集中力はMAXに。もっとこのカフェについて知りたい。店長の宇留島塁さんに話を聞いた。
「“Goodies by good ones. よい人のつくるよいもの。” をコンセプトに、全国各地の農家さんから自然栽培の野菜を仕入れ、良質な調味料を使ったメニューを提供しています。食材の仕入れ先は自然な作り方をしている農家さんだったり、手間がかかっても安心安全なものを生産・製造している方ばかりです。カフェを通じて生産者さんに触れられるきっかけをお届けし、そしてそのお客さまのお友達もまた知ってつながっていく……というふうに、コミュニティを作る存在でありたいと思っています」。
農家さんの顔は知らないけれど、誰が作っているかがわかるとちょっと安心。2022年4月にオープンして以来、自然なおいしさが好評を得て渋谷で暮らす人々の憩いの場として人気を博している。
店頭で安心安全の調味料や雑貨なども販売
入り口とレジの周辺にある棚には珍しい塩やスパイスといった調味料や、お茶やコーヒー、雑貨が陳列されている。「“Marked”は英語で“気になるもの”、デンマーク語では“市場”という意味なんです。店内のメニューで使用・提供しているコーヒーやお茶、調味料は店頭で販売もしています。また、スキンケアグッズやトートバッグといった雑貨もありますよ」
墨田区の本所にある『Marked1号店』では、国産小麦や全粒粉を使ったパンや、旬のフルーツの自家製アイスクリーム、野菜たっぷりのヘルシーなデリも揃っている。「姉妹店の『COFFEE WRIGHTS』からは自家焙煎のコーヒーが届きます。店内で召し上がっていただき、気に入った方が豆を買って帰ることもあります」
ふと、コーヒー好きの知人の顔が浮かんだ。今度会うときにここのコーヒーをあげたらどんな顔をするのかな。物販コーナーにはスーパーやコンビニでは見かけないものばかりだから、おみやげにするのもアリだ。
キンカンのはちみつ漬けとマスカルポーネの山食トーストはおしゃれな味がした
9時から11時まではモーニングを実施しているという。メニューを見ると、品数豊富でしっかり食べられるものから、サッと食べられるトーストメニューもあり、とくにトーストはバリエーションが豊富だ。
「パンはウチの1号店で毎朝焼いているんです。牛乳とバターで仕込んだきめ細やかでふんわり食感の角食パン、トーストすることでハード系パンのようにカリッとして中はもっちりの山食パンがあります」
メニューによってはパンを選べるものもあって悩んだのだが、フルーツに目がない筆者は旬のフルーツとマスカルポーネのトースト1180円を注文した。オープンキッチンだから、客席に座ったまま調理風景がよく見える。
「ドリンクはどうしますか?」と尋ねられ、先ほど物販コーナーで見かけた『Coffee Wrights』のホットコーヒーを選んだ。ドリンクはほかにも紅茶、とうきび茶、プラス150円で柑橘ジュース、りんごジュース、スパイスチャイから選べる。
テーブルに運ばれてきたトーストにはキンカンのはちみつ漬けがキラキラと宝石のように輝いてキレイだ。ナイフでひとくち大に切って食べてみた。
歯を立てるとカリッと軽快な音がしたが、中はもっち〜り&しっと〜り。甘酸っぱいキンカンは爽やかな香りがして、マスカルポーネのミルキーさとバターのコクが相まっている。咀嚼しているうちにキンカンからふわっとスパイスが香ってきた。あら、とっても華やかなトーストだわ〜。
トーストやコーヒーのおいしさはもちろん、広々とした店内でゆっくり食事ができる環境がとても気に入った。渋谷はいつも混んでいるからカフェに入るのを躊躇してしまいがちだが、ここならこっそりひとりで楽しめそう。思いがけずステキな隠れ家を見つけてしまった。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢