たつや駅前店(恵比寿)
新鮮もつとホッピーで英気を養う
創業者の佐藤正光さんは御年90。「45年前にボウリング場の支配人をやめ、酒場を始めました。ボウリング場も朝からやってたから、ここも朝からにしたの」。芝浦から毎日仕入れる豚もつは新鮮そのもの。コリコリでうまみの濃いガツ刺し380円をつまめば朝からパワーみなぎり、やきとりのテッポー190円は脂のうまみが口にあふれる。「日本一のやきとり」の看板に偽りなし! 酒を誘引する肴の数々に、すみません、三冷黒ホッピー470円お代わりで~。
信濃路蒲田店(蒲田)
出汁の匂いの先に朝飲みの特等席
奥の席をのぞくと、朝からうなぎの串焼き400円とカレーの頭(あたま)(ライス抜き)300円で一杯やる常連が。うらやましい! 「普段、入り口側の立ち食いでそばだけ啜(すす)って帰る人が『今日は休みでやっと奥に来れた』って飲みに来る人もいるよ」と店主の関守(せきまもる)さん。2~3時間煮込んだ牛スジや牛バラがやわらかいどて焼き大根400円と、関さんとの世間話をつまみにしながら、瓶ビール大550円をグビリ。朝から公民館で飲んでるような幸福感に包まれるのだ。
区民酒場(平和島)
平和島に潜む明け方の酒場特区
朝7時、テーブルは早くも満席で宴会状態。これは夢か?
「物流の夜勤明けの人や大田市場の人がよく飲みに来てくれるんです」と店主の山田公一さん。味のしっかり染みた名物のから揚げ380円でビールをやる人、キーマカレーグラタン600円で腹を満たす人など、卓上のつまみは百花繚乱(りょうらん)。いつの間にか酒屋で買った一升瓶をみんなに振る舞う常連も!(持ち込み料1000円)
やはりこれは夢なのかもしれない。
岐阜屋(新宿)
活況前の横丁でゆるりと飲み中華
餃子410円の皮は自家製でもちもち、ラーメン430円の麺もメンマも自家製と、老舗の矜持(きょうじ)が随所に。特に骨付きの鶏モモから蒸し煮にする蒸し鶏430円は皮ぷるぷる、肉しっとりで、辛子をちょいとつけると朝酒の肴に最高。酒の品書きに目を転ずればビールはキリンのみ、甘い酒は置かない硬派一徹だ。常連が勧める酎ハイ410円をあおれば強炭酸で飲みやすい……が、結構酒が濃くて朝からフラフラ。
/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄新宿駅西口から徒歩2分
一亀(小伝馬町)
ガード下の思い出の味が酒を加速
店へ向かう路地には「朝飲み大歓迎」の立て看板、暖簾をくぐれば店員のTシャツに「朝から居酒屋」の文字。
「『升亀』のときも午前中から飲む常連さんが多かったので」と神田の名酒場の味を引き継ぐ山本明彦さん。あえて玉ねぎを炒めず食感を残すジャンボメンチ605円や天つゆにひたして提供するいかげそ天352円は、ガード下のあの味のまま。思い出に浸って酒が進み、気づけば昼。〆は納豆冷奴定食550円で!
桜商店603(赤羽)
朝飲み激戦区で貫く男気スタイル
朝から宴会の3人組に店の魅力を聞くと「いつ来ても開いてるのが一番!」。24時間のんべえを迎え入れるこの酒場は、串揚げやハムマヨは各100円、マグロ刺し280円とつまみの安さも魅力だ。出色は新鮮レバテキ380円。絶妙火入れでとろりと仕上げてあり、焼酎や酎ハイのおともにばっちり。お代わりに店長おすすめのメガ角ハイを頼んだらその大きさに驚く。通常の2~3倍の量で500円とは恐れ入りました!
取材・文=鈴木健太 撮影=加藤昌人 本野克佳
『散歩の達人』2020年8月号より