【ワインにもつまみにも死角なし!】
渋い店内でいただく、和と洋の競演『ほ志の』[清澄白河]
店主の星野さんは、表参道や青山の洋食店で修業を積み、店構えはそのまま、父の寿司屋をフレンチ割烹としてリニューアル。まずは、酒のアテにぴったりの5品を豆皿に盛り合わせた晩酌セットから頼みたい。そのほかも和洋折衷の食材を使った品の良いメニューが並び、コースでお願いするのも◎。銘柄数こそ多くはないが、ワインの目利きも確かで、料理との絶妙なペアリングを提案してくれる。
『ほ志の』店舗詳細
ワイン選びと食材の良さに太鼓判『ワインバー杉浦印房』[茅場町]
天井の高い心地よい空間で、印象的なのが2階ワインセラー。「家業であるハンコ屋の空間を改装しました」とは店主の杉浦卯生(うじょう)さんとソムリエの千里さん。ワインは、有名でなくとも造り手の哲学に共感した日本とフランスのワイナリーをチョイス。料理は栃木県ワタナベファームの有精卵を使うウフマヨなど夫婦のほれ込んだ食材を使う。「作り手や生産者、お客さんに寄り添えるお店が理想です」。
『ワインバー杉浦印房』店舗詳細
老舗酒屋が手掛けるワインバル東京代表『MARU 2F』[八丁堀]
酒販店・宮田屋が2階で営む繁盛店。料理は、粗びきでジューシーかつスパイシーな仔羊のソーセージ660円や定番のクレソンとアボカドのサラダ825円など、食材のうまさを引き出すフレンチベースの無国籍料理。料理ごとにグラスワインのペアリングを楽しんでもいいが、客の多くはボトル。例えばシャンパンのボランジェ・スペシャルキュペ5478円と破格値で飲めちゃうのだ。
『MARU 2F』店舗詳細
ユニークな料理と酒で毎夜大盛況。『Le Ginglet』[飯田橋]
フレンチ出身の店主・有沢貴司さんは、出汁や醤油の素晴らしさに目覚めて「ワインだけだと幅が狭い」と日本酒にも力を入れた。現在はワイン500種、日本酒50種と力強いラインナップ。「やるからには本気で」と料理もフレンチから居酒屋メニューまでハイレベル。お酒とのペアリングときては、極上コロッケは熱燗でクイッ、脂がとろける鯖の干物はなんとワインでグビッと、サプライズ満載。この両刀遣いを知ったらやめられません。
探せば出合えるこだわりの手作り空間。『ワインと燗酒 Ombra』[亀戸]
駅から少し離れた路地に2017年オープン。一歩入れば「おいしいものをおいしいお酒とどうぞ」と、緩やかな接客で迎えてくれる。ナチュラルなイタリアワインと燗上がりする日本酒が中心で、おすすめはその場で薄くスライスしてくれる様々な種類の生ハムと燗酒。「和食だから日本酒とか決めつけたくなくて」。和洋にこだわらない料理の間を、料理人でシニアソムリエの安西康晴さんが提案する日本酒とワインで抵抗なく行き来できる。
『ワインと燗酒 Ombra』店舗詳細
だしとワインでほろ酔うコの字カウンター。『燗コーヒー 藤々』[四谷三丁目]
出汁が香る和食。そこに料理をおいしくしたいという試行錯誤が加わり、ワインにも日本酒にも合う料理ができた。例えば炊き込みごはんは、桜海老を揚げるから香ばしさもつまみ感も倍増。焼き豚にはくせのあるチーズ、エポワスと蜂蜜を添えて、と気負いなく食の東西を併合する。店主の藤極武志さんはもともと日本酒もワインも大好き。「好きなものを集めたら」こういう店になったという。食後は女将の淹れる絶品コーヒーでホッとしたい。
『燗コーヒー 藤々』店舗詳細
若々しい感性が生むフレンチからの居酒屋料理。『BOLT』[牛込神楽坂]
王道フレンチで修業した店主の仲田高広さん。実は居酒屋好きで、その2つを大胆にも融合してしまった。これが大当たり。世の食通の間で瞬く間に評判を呼んで人気店に。塩らっきょうとオリーブが一緒に出てきたり、ビストロの定番アンドゥイエットがあったり、シメはカレーに油ぞ~めん? しかもワイン、日本酒、サワーまで。このメニューの楽しさはいったい何だ? そう思ったらもうすでにこの店の術中にハマっているのかも。
『BOLT』店舗詳細
多彩な引き出しから新作が続々『ばくらいワインダイニング』[新宿三丁目]
手描きメニューが壁一面に貼られ、思いつかないような食材の組み合わせに圧倒される。「食べたいもの、知りたいことをとにかく勉強した」というオーナー吉田さんの食に対するまじめさがひしと伝わってくる。「食べることが大好きなんです」と笑うのが共に働くソムリエ。4000円台で2人がおいしいと満足できるワインをベストテンで紹介している。吉田さん曰く、「ワインがいっぱいある居酒屋」として気ままに利用したい。
『ばくらいワインダイニング』店舗詳細
オセアニアワインを飲むならここ『ワイン屋 西新宿店』[西新宿]
オーストラリアとニュージーランドのワインインポーター直営。ボトル1980円~と格安で、地道に開拓してきた小規模ワイナリーや試験的に提供しているものなど手に入りにくい銘柄が出ることも。「味と価格で驚いてほしい」というマネージャー青野修平さんのおすすめは、ニュージーランドのソーヴィニヨンブランとオーストラリアのシラーズ。ピンチョスのようなお手頃メニューも増える予定なので、ふらりと一杯飲みたいときにも最適。
『ワイン屋 西新宿店』店舗詳細
【日本ワインが飲める!こだわりの店】
和食と日本ワインのベストマッチ。『みつや』[新宿御苑前]
日本国大使の料理人としてノルウェーやチェコで勤務した小長光(こながみつ)史也さん。海外で日本の良さを再認識し、「日本の食材には日本ワインが相性がいい」と、和食と日本ワインの店を開いた。常時12、13種類の日本ワインと海外ワインが揃うが、どれも小長光さんが惚(ほ)れ込んだものばかりだ。魚は徳島や唐津漁港から直送、山菜やキノコは秋田の知人から、野菜は九十九里に自家菜園をもつ奥様の実家から送られてきたものと、食材の旬と産地に気を配る。料理5、6品のみつやコース4400円、6、7品のごちそうコース5800円がおすすめ。
『みつや』店舗詳細
ワインで楽しむ日本旅行。『ワインカフェ タンブラン』[下北沢]
2005年の開店時から日本ワインのみを扱っており、気軽に飲める食中酒としてのワインを中心に約100種類を用意。グラスワインが10種類以上あるので、料理に合わせてあれこれ楽しめる。「日本各地のワインがあるので、その土地の風景などを想像しながら飲むのも楽しいですよ」と話す代表の大場尚子さん。料理はイタリアンをベースとしながら、醤油を使ったり、油脂を控えたり、野菜を多めにするなどワインに合う調理を心がける。日々のメニューは大きな黒板に書かれた定番、本日のおすすめ、ピザ、パスタから選ぶ。
『ワインカフェ タンブラン』店舗詳細
和の料理人を魅了した日本ワイン。『夕』[三軒茶屋]
店長の五十畑(いそはた)豪人さんは日本料理一筋。10年前にこの店に来るまでは日本ワインのことは何も知らなかったという。やがて日本料理によく合うことを知ると、自らワイナリーに足を運ぶようになり、日本ワインの魅力にはまっていった。ワインリストに並ぶのは、五十畑さんが吟味したワイナリーのものを中心に約30種類。料理にはメイン食材の産地が記されており、旬を追求する姿勢と味へのこだわりがうかがえる。本格料理と居心地の良さは、五十畑さん曰く「居酒屋以上、割烹未満」。早い時間から席が埋まることも多いので予約が望ましい。
『夕』店舗詳細
【日本ワインのワイナリーはこちら】
ユニークなラベルにも注目!『葡蔵人』[御徒町]
ワイン造りを任される須合美智子さんは、飲食店勤務時にワインに引かれ、醸造家を目指した。ブドウは茨城の自家農園と長野、山梨の契約農家から仕入れるが、自ら収穫に出向くなど情報収集や勉強も余念がない。10種類ほどのワインは、ブドウの品種がブランド名になっており、ラベルにはワインと合う食材や料理、香りのイメージが描かれる。
『葡蔵人』店舗詳細
ガラス越しの醸造タンクは圧巻。『渋谷ワイナリー東京』[渋谷]
醸造所併設のワインバル。「ワインの醸造には最低でも2カ月かかります。オープンにギリギリ間に合わせることができました」と話すのは醸造人・村上学さん。シニアソムリエが選りすぐった世界のワイン約100種類が並ぶほか、日本産ブドウを中心に海外産の原料も仕入れ日々仕込み中。
『渋谷ワイナリー東京』店舗詳細
【こだわりワインショップならここ】
老舗が並ぶ資料館通りのニューフェイス『ワインショップ アンジュール』[清澄白河]
深川資料館通りに2021年4月にオープン。奥行きがある店内の壁一面にワインが並ぶ。「自分で味を見て気に入ったもの」を基本とし、生産国は限定せず、家飲みにちょうどいい2000円前後のものを中心にセレクト。店主の伊倉さんはどんな店にするか思案し、「自分の目が行き届く規模の商いがいい」と、小さくともこだわりの詰まったショップにした。クラッカーやピクルスなど、酒に合うフードも見逃せない。
『ワインショップ アンジュール』店舗詳細
取材・文=塙 広明、千葉香苗(アド・グリーン)、岡本ジュン、井島加恵、鈴木健太、木村悦子 撮影=逢坂聡、加藤熊三、本野克佳、オカダタカオ、原幹和、yOU(河崎夕子)、丸毛透