ノルウェーで水揚げされたばかりのフレッシュ生サーモン
有楽町~新橋間の高架下におよそ50店舗が立ち並ぶ商業施設「日比谷OKUROJI」。その一角にあるのが2023年オープンのサーモン料理専門店『salmon atelier Hus』だ。
この店では、北極圏の海域で育ったノルウェー産のアトランティックサーモンだけを取り扱っており、水揚げしてすぐにサーモンを氷締めにし、生の状態で空輸。漁獲から最短3日で日本に届くため、どの料理も獲れたてサーモンのおいしさを満喫できる。
フレンチ、イタリアン、和風と多彩なテイストの料理は、どれもサーモンが主役。サーモンステーキやクリームパスタ、自家製スモークサーモンのマリネなど、豊富なラインアップだ。
『salmon atelier Hus』のサーモンは、牛肉のように身にサシが入っていて、甘みが強いのが特長。北半球の冷たい海で時間をかけて育てられたサーモンは良質な脂を蓄えており、この脂ののり具合が甘みに比例する。ひと口でほかのサーモンとの違いがはっきりわかるのだ。
サーモンの場合、牛肉やマグロのようにランク付けがされていないため、その価値や品質を測る明確なものさしがなく評価をしにくい。その現状を打破し、「この店を通じてサーモンの魅力を伝えたい」というのがスタッフたちの思いだ。
サーモンは栄養価が高く美肌効果も期待できるそうで、特に女性の注目を集めているのだとか。昼も夜も女性客で満席になることもあるという。
それでは早速、鮮度抜群のノルウェー産サーモンを堪能すべく、ランチをいただくとしよう。
トロ感がたまらなく旨い! トリュフが香る炙りサーモン
今回いただくのは、3種あるランチメニューの中の一番人気、炙りサーモンのクリームパスタ。料理が運ばれてきた瞬間、美しい桜色をしたサーモンに目を奪われた。
「ノルウェー産はほかの産地のものに比べて良質な脂を多く含んでいるため、火を入れるとほんのりピンク色に染まるんです」とこの店の料理長が教えてくれた。
さらに「生のサーモンのおいしさを存分に味わっていただけるように、切り身の両面をさっと炙ってレアに仕上げています」と話す料理長。
表面を軽く炙るだけでナイフやフォークの先が身にささりやすくなるそうで、パスタの上でも難なくひと口大に切り分けることができた。料理を食べやすくする、こうした気遣いはうれしいものだ。
炙りサーモンは、まずその食感におどろいた。しっとりとした舌触りに、まるでマグロのトロのような口溶け。続けてサーモンの濃厚な甘みが口いっぱいに広がり、気が付けば身がスッと消えている。しっかりサシが入っているのに全然脂っこくない。このとろけるサーモン、めちゃくちゃ美味!
ノルウェーサーモン特有の甘みを際立たせるため、炙りサーモンの味付けは塩と胡椒だけ。クリームソースもまた、やさしい味わいで実に良い塩梅なのだ。
ソースに使用しているチーズの塩味と茹で塩で味を調えているそうで、サーモンの味を引き立てている。
サーモンをほぐしてパスタにからめていただくと、おいしさが無限ループする。
おかわりしたくなるほどおいしい炙りサーモン&クリームパスタに大大大満足!
無限大の可能性を秘めたノルウェー産サーモンに魅了されて
『salmon atelier Hus』のオーナーは、本業である水産卸業の関係でノルウェーを訪れた際、サーモンの虜になった。
なかでも北極圏で育ったサーモンのおいしさに感動し、日本に広めたいという熱意をもってこの店を開業。
オーナーがほれ込んだのは、ノルウェー北部の海域で育てられたサーモン。その良質な脂は、豊かな自然のもと、サーモンにストレスを与えずに育てることで蓄えられるのだそう。寒冷な気候や水質・水温など、ノルウェーの北極圏はサーモンの成育に最適な環境が整っているのだ。
この特別なサーモンだけを使用することに決めて、サーモンに特化したメニューづくりを行い、2023年ついに日比谷の地で開店にこぎつけた。オープン後も、よりサーモンのおいしさが伝わるように日々試行錯誤しながらメニューをアップデートしている。
「今後はいろんなところとコラボしたり、店舗を増やしたりしながら、おいしいサーモンを多くの方に楽しんでいただけるようにしたいです」。
サーモン料理専門店の歴史は今始まったばかりだ。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=コバヤシヒロミ