何が「ザ・フューチャー」なのか

単行本に収録されている風景は、2017〜20年にかけての東京とその近郊。ちょうどオリンピックを目前とした再開発の真っ最中であり、掲載されたスポットの中には、実は現在はもう取り壊されてしまった場所もある。本当は残っていてほしかった。あるいは、いつまでも残っていてほしい。住宅地になぜかあるトンネルや、地図上で見てもどうなっているのかわからない道。きっと地元住人にとっては取るに足らない風景だし、使い勝手を考えたらきっと合理的ではない場所だけど、そこにはその土地に積み重なってきた歴史や人の痕跡がちゃんとある。そしてそこは、どこか愛おしい。

だからといって、能町さんは過去のものに固執しているわけではない。「未来を味気ないものにしないために、過去をちゃんと踏まえて、明るい未来のためにこういうことをしているのだ!」(「まえがき」より)。「ザ・フューチャー」と命名された本書には、そんな気持ちが込められている。

こんなスポットが盛りだくさん

街(まちなか)の章

港区、日本経緯度原点がある行き止まりの路地。全体的に物々しい雰囲気のなか、非常に奥ゆかしい「原点」が顔を出す。(ほか12編収録)

築(たてもの)の章

横浜市緑区の竹山団地は、まるで空中に浮かんでいるようでどこから見てもときめく建築なのだ!(ほか12編収録)

路(みちすじ)の章

昭島市の東中神にある八清ロータリー。80年近い歴史を誇る、この街のよきランドマーク。(ほか13編収録)

「ほじくりストリートビュー」の連載は2021年11月号で通算100回を突破し、能町さんの散歩はまだまだ続く。何気なく歩いている街も、能町さんの視点を借りたら新しい発見が見つかるかもしれない。これはバーチャルとリアルを行き交う、「ほじくり」散歩の入門書でもあるのだ!

【好評発売中】ほじくりストリートビュー ザ・フューチャー
本誌で連載中の「ほじくりストリートビュー」2017年9月号から2020年8月号までをまとめて単行本化。2021年12月刊、1760円。単行本第1弾の『ほじくりストリートビュー』も合わせてよろしくです!

文=吉岡百合子