▪︎あんこが苦手だった
そもそもなぜあんこが苦手だったのか思い出してみた。遡ること20数年、おそらくその苦手の起源は小学校の卒業式の時にもらった紅白饅頭であった。白い箱に熨斗がかけられ開けると赤と白のお饅頭が
はいっていた。食べてみるとつぶあんが中に入っていたがあのシャリっとした粉のような食感、そして小豆の皮が口にいつまでも居座ること・・・
それから節目で2回くらいもらったがいつもカバンから出してすぐ親に渡したのを覚えている。
▪︎唐津城のふもとで
それから時は流れわたしは社会人になり福岡で暮らすことになった。福岡にきてから九州のいろんな県に遊びにいったが、特に佐賀県が大好きになった。
さらにこの唐津城の周辺はお気に入りスポットで、海が近くて唐津城が見えて夕暮れどきは夕日が綺麗で、なんとも言えない気持ちになる。そんな唐津のふもと、松浦川沿いの道路にあるのが「Tea &Space 基幸庵」さんだ。
見てください、この夕焼けに染まったお店の外観を。控えめに言って最高じゃないですか?この外観の写真を見ただけでなんかよくわからないがノスタルジックで目頭が熱くなってしまう。
◼︎いざ、ぜんざい
木の温もりが感じられる店内に通され着席して早速メニューを選ぶ。他にも和生菓子やあんみつパフェなど沢山メニューがあるがここらであんこと向き合いたい(?)わたしとしてはぜんざい(ほうじ茶添え)を注文。待っている間も餅のぱちぱちと焼かれる音が聞こえたり、大きな窓の外を眺めたり、併設されているギャラリーの焼き物を眺めたりと実に穏やかな時間が流れていた。
やってきました。いただきます。
深めの椀に手を添えるとほかほか温かい。一口食べると、ほのかな小豆の甘味がとろりと広がった。その甘みはわたしの知るあの「あんこ」とは別物でシャリっとしない、皮も気にならない、いくら食べ進めてもずっと美味しい。お餅も外はパリッと焼かれていて、すこし口の中の甘みが強くなってきたなと感じたら添えられたたくあんと塩昆布を摘んでみる。
うーん、秀逸なバランス。
(ぜんざいと接点がなさすぎて恥ずかしながらお漬物が添えられることすら知らず最初は??と戸惑ってしまった。)
さらに感動したのが、ほうじ茶がとても美味しい!茶葉をお店で売っているので買って帰ってしまった。
ごちそうさまでした。
こうしてわたしはあんこを無事克服し、その後あんこが大好きになり、今や和菓子屋ではあんこのお菓子を積極的に注文するまでに成長しましたとさ。
めでたしめでたし。